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「…聞いてくれ」
いつもと違う声で、震える声で話すスキジキに
こんなにも 気色悪く感じたのはいつぶりだろう。
背中がつーぅっ、と流れる汗でたくさんで、シャツに張り付く。
「…どうしたんですか」
喉から絞り出したような声で問いかけてみる。
ごほっ、と俺の返答を誤魔化すような咳払いが電子音と化して聞こえた。
「実は…」
___スンミンがサセンに刺されて死んだ。
「…っ、」
背中が急にひやっと凍りついたようになる。
目からは水がドバドバ流れ、
声にもならない音が口から溢れる。
「…ついさっきのことなんだ。」
俺に追い打ちを掛けるかのようなそれは、
耳元に嫌でも聞こえる。
「…これからの活動はJYPニムにも話した。」
「辛いと思うが……忘れないでくれ。」
プツッと同時につー、つーと無機質な音が流れる。
余りの衝撃に腰を抜かしてしまった俺は床にぺたんと倒れ込んでしまった。
「ぁ”…がっ…くっ”…」
──────────
それから数日のことだ。
部屋の隅で暗闇に話しかけてみる。
「ねぇ、スンミナって幸せだったよね?」
「…俺のおかげだよね?」
俺が声を掛けてもスンミナは答えてくれない
…こんなことわかってる
でも、
スンミナがそこにいるような気がしたから。
スンミナとまた会えるって信じたから。
重たい体をぬんと持ち上げると、スマホから着信音が鳴った。
死んだ目でタップすると、1件のニュースがあった。
…【「Straykids」スンミンさんが死亡か
ケミの恐ろしさを知る。】
「…ケミ、?そんなこと関係ないじゃん」
暗闇に溶ける吐き事を呟いてからスクロールした。
2025.09.01 9000の反応
────────────────
昨夜、StraykidsのメンバーであるSeungmin(スンミン)さんがサセンに刺されたとし、死亡しました。
リーダーのBang Chan(バンチャン)さんが発見し、その後警察に連絡したとされています。
容疑者は
「スンミンがリノといるのが嫌だった。リノはハンだけといればいい。」
と証言しています。
Kpopの文化であるケミカルがこんなにも反映を呼ぶとは…… 続きをみる。
────────────────
「……は、?」
初めて知った。
サセンが刺した理由が、こんなくだらないことなんて。
…感情が次々と飛び交う。
脳のどこかに当たって、壊れて、また出来てを繰り返している。
その時、俺は思ったんだ。
「…ぁあ、俺が死ねばいいのかㅎ」
びゅぅぅっ
風が体に突き刺さる。
「…冷えるな、」
そんな戯言を吐いてもスンミナには届かない。
…わかってる、
高所恐怖症だけど、今は何も感じない。
怖くないんだ。
「…、すぅっ、…はぁっ…」
深呼吸をして、気持ちを整理する。
「…スンミナ、何も悪くないじゃん」
「なんでいるだけでダメなの?」
「味噌じゃないといけないのかよ…っ」
涙が溢れた。
だけど、もう遅い。
「…みんな、今までありがとう。」
俺が最期に見たのは、黒い鉄格子だった。