この作品はいかがでしたか?
182
この作品はいかがでしたか?
182
3話
すたーとぉ~!
「ねぇ、静空、見て!」
ノアの声に、私は急いでピアノの方へ駆け寄った。
ノアが指差していたのは、ピアノの下に半ば埋もれるようにして置かれていた古びたノートだった。
「これ……どう見ても普通のノートじゃないな。」
黃葉が低く呟く。
私は慎重にそのノートを拾い上げ、表紙を眺めた。
薄い革で覆われた表紙は、時代を感じさせる茶色のシミがいくつもついている。
「見てみよう。」
私はおそるおそる表紙をめくった。
ノートの中には、手書きの音符や文字が乱雑に書かれていた。
見慣れた楽譜というよりも、何かのメモや断片のようだ。
最初のページには、一部消えかかった文字がこう記されていた。
「旋律を解けば、扉が開かれる」
「なんだこれ?」
翠が頭をかしげながら覗き込む。
「扉って何だ?」
「謎を解くってことじゃないかな。」
私はノートのページをゆっくりとめくりながら言った。
2ページ目には、何本もの五線譜が書かれていた。
しかし、その上の音符はところどころ抜けており、不完全なメロディのように見える。
「これ、もしかして暗号じゃない?」
紫音が急に声を上げた。
「暗号……?」
私達は顔を見合わせた。
「ほら、この五線譜の抜けてるところが怪しいよ。音楽室に置かれてたんだし、ただのメモってわけじゃなさそうだよな。」
紫音の言葉に私も頷く。
「で、どうやって解くんだ?」
翠が退屈そうに腕を組む。
「まずは、この楽譜が何の曲なのか調べる必要があるね」
私は冷静に言った。
「音楽室には楽譜の資料もあるし少し探してみる価値はあると思う」
「でも、これだけじゃ時間かかりそうだな~、、」
黃葉がぼやく。
「先生たちにバレたらまずいし、、」
「何を怖がってるの?」
ノアが微笑みながら言った。
「こういうのは少しずつ解き明かしていくのが楽しいんじゃない?」
その言葉に、私達は少しだけ笑顔を浮かべた。
その後、私達はノートを慎重にしまい、音楽室を後にした。
廊下に出ると、校舎の中はすっかり夕闇に包まれていた。
普段なら賑やかなはずの学校も、今は不気味な静けさが漂っている。
「さて!次はどうする?」
黃葉が明るく問いかける。
「まずはこのノートをしっかり調べてみることね」
私は答えた。
「それと、、、他の七不思議についても考えておくべきかもしれない」
「そうだね」
ノアが頷いた。
「このピアノの件だけじゃなく、他にも何か繋がってる可能性があるかも」
その時だった。
「、、、え、今の何?」
紫音が立ち止まり、耳を澄ます。
廊下の奥から、何かが軋むような音が聞こえてきた。
まるで、古い扉が誰かの手で開かれたかのような音だった。
「また新しい七不思議の予感、、かな」
翠が少し苦笑しながら言った。
私達はその音の方向に目を向けた。
次の謎が、私達を待っている気がしてならなかった。
next~4話
【鏡に映る影】
、はーとほしぃな
コメント
7件
俺この話めっちゃ好み!!続きが気になりすぎるー
もしかして七不思議全部書くの!?