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タクミは硬直していた。
目の前にあるのは、本物の火葬場。
レンガ造りの建物の天井には煙突がそびえ立ち、暗闇に黒煙を吐き出している。
周囲の”参加者”たちはみな楽しげに笑いながら、ビュッフェに並ぶかのように、司会者の前に列を作っていた。
だが、その列の先にあるのは、巨大な火葬炉だった。
「え……? 冗談だろ?」
タクミはコウジに尋ねるが、コウジは悪びれもせず笑っている。
「おいおい、タクミ、何ビビってんだよ! 渋谷で騒ぐのもいいけど、こっちはもっとアツいぜ?」
「お前……これ、どういうことだよ?」
「言っただろ? 今年のテーマは”かそうパーティー”だって。いやあ、毎年盛り上がるんだよなぁ!」
「いや、仮装じゃなくて……火葬じゃねえか!!」
タクミはようやく確信した。これはジョークなんかじゃない。本当に人を焼くパーティーなのだ。
「さて、今年のラッキー・トリックスターを決めようか!」
司会者が白い手袋をはめ、満面の笑みで宣言する。
壇上には、回転するルーレットのような装置があり、無数の名前が記されている。
タクミの全身が凍りつく。
そのルーレットには、彼の名前も載っていた。
「さあ、運命のルーレット、スタート!!」
観客たちが一斉に叫ぶ。
タクミの心臓は、鼓動を速める。
回れ、回れ、回れ――!
カチ、カチ、カチ……
ゆっくりとルーレットが回る。
止まるな。俺の名前で止まるな。
誰でもいい。俺以外で止まれ。
カチッ。
「おおっと! 今年のトリックスターは……”タクミ”!!」
「……は?」
観客が拍手し、祝福の声が上がる。
タクミの視界が歪む。
「いや……いやいやいや、冗談だろ!? 俺はそんなの――」
「さあ、皆さん! 我らがタクミに、盛大な拍手を!!」
司会者が両手を広げると、観客たちが笑顔で拍手を送る。
彼らの瞳は、純粋な楽しみに満ちていた。
タクミは後ずさる。
逃げなきゃ。逃げなきゃ焼かれる。
その瞬間、背後から強い腕がタクミの肩を掴んだ。
「いやぁ、おめでとう、タクミ。最高の夜になりそうだな!」
振り向くと、コウジが満面の笑みを浮かべていた。
タクミは理解した。
こいつは最初から知っていた。むしろ、俺をここに誘った張本人だったのだ。
「さあ、炉の中へ!!!」
観客が一斉に歓声を上げた。
🔥 第二話 完 🔥