※青黄 デス
※若干感動?
※普段こうゆう系は絶対に書きません
※好評であれば解説と続きを書こうかなと思ってます
僕は雨が嫌いだ。じめっとしていてどんよりした気分になる。髪はうねるし偏頭痛に襲われる。体はだるく何もやる気が起きない。それになんだか涙が出てしまう。何故だか分からない。分からないのだが自然と涙が溢れ真っ白いシーツと枕カバーをぐしょぐしょに濡らしてしまう。
なんで今日も雨なんだろう。
コンコンコン
「様子はどうですか?」
「あ、えっと。」
この人、昨日も来てくれた。
爽やかな雰囲気を身にまとってサラッとした髪を揺らせば清潔感が漂う。いつ見ても素敵だなと思う。いつも花瓶の花を変えてくれて果物を剥いてくれる。
「元気…です、、?」
あやふやな答えで返すと「大嘘つきですね」と微笑みながら返された。
「目尻が赤いし、湿ってますよ」
ふんわりと返されると、きっと僕はこの人が好きなんだと錯覚してしまう。
こんな僕は最低だ。
僕には恋人がいる。名前も顔も思い出せない。だけど恋人が居たのは確かだ。でもどんな人か分からない。こんな僕を好きになるくらいなんだからとんでもない物好きに決まってる。
「今日はみかんですよ」
「みかん。綺麗な色ですね」
「そうでしょ?あなたに食べて欲しかったんです」
苦しそうな笑顔を僕に向ける。なんでそんな顔をするの?そんな悲しそうな顔しないで。そんな事言える立場じゃないけどなんだか、この人には元気でいて欲しい気がする。 もしかしたら僕が入院する前、僕と関わりがあった人なのだろうか。でもこんな人記憶にない。それに僕は毎日記憶がある訳じゃない。だから正直、昨日の記憶は無いに等しい。でもこの人は何度も見たことがある。雰囲気に見覚えがあるし、服から香る柔軟剤の匂いはいつも柑橘系。果物と一緒に持って来てくれる花束にはいつも赤い薔薇と青いアネモネ、紫色の胡蝶蘭みたいな小さい花に黄色いヒヤシンス、それとミニひまわり。まとまりのない花束にはだけど、雨に濡れても咲き続け輝きを絶やさない花を見ると元気になれた気がするからこの人が持って来てくれる花束は好きだ。
「雨、止みませんね」
「あ、そうですね」
「僕、雨が苦手なんです」
「……」
「大切な人が事故にあった日が雨だったので。雨の匂いとあの人の香水の香りに血液の匂いが入り交じったなんとも言えないあの湿気はもう二度と味わいたくない。あの日に戻ってやり直したいくらいには後悔してます。
……………なーんちゃって……!ごめんなさいこんな話、聞きたくなんてないですよね〜!」
きっとこの人は雨の日に大切な人をなくしたんだ。空元気で言ってもわかる。
僕と………
「僕と一緒ですね」
「え」
「僕も雨の日が嫌いです。じめじめするし、髪がうねるし、偏頭痛が痛くて体がだるい。それに僕は何があったか思い出せないけど、雨の日になると泣いてしまいます。いつの間にかポロポロ涙が溢れてきて布団を濡らしてしまいます。大切な恋人のことを忘れてしまって思い出せない。これから先も。ずっと。でも僕はその人とまた出会いたい。そして恋に堕ちたい。あの人に依存してあの人とずっと触れ合える。そんな日常に戻りたい。
きっと似たような思いをしたんですね。」
「…………」
「あ、えっと、、」
泣かせてしまったのか、彼は俯いたまま顔を上げてくれない。近くにあったティッシュを渡すとメイクの崩れたボロボロの、くしゃくしゃな泣き顔で問いかけた。
「僕のこと覚えてる?」
コメント
4件
フォロー失礼します߹𖥦߹ 出来れば続き欲しいです😭
フォロー失礼します(*´-`)