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「ついたよ」
「運転ありがとうございます、翠さん」
「いいえ」
目的の場所についたらしい。
体内時計では1時間ほどであった。
「遥呼んでるので、ちょっと待ってもらってもいいですか」
「もちろん」
ハルという人を待ち数分。
「来ましたね」
「おつかれさまです〜尋くん、翠さん」
「おつかれ」
「この子が那央ちゃんですか?」
「そうだ。あとで罰を受けたくなかったら丁重に扱うんだな」
「は〜い」
また、体が浮いた気がした。
たぶん、ハルという人に抱えられている。
「翠さーん、この辺で大丈夫ですかね」
「あ、うん。大丈夫だよ。ありがとう遥」
10分ほど歩いたところでわたしは降ろされた。
「おつかれ、遥、翠」
「黒さん、お疲れさまです」
「おつかれ黒くん」
降ろされてからしばらくして
クロと呼ばれる人が来たらしい。
「遥はもう帰っていいよ。翠は残ってほしいな」
「わかりました」
ドアが開く音がしたから
ハルという人はきっと、帰ったのだろう。
「灰と蒼は?それに、桃もいないじゃん」
「灰と蒼は仕事だよ。桃はたぶん栞菜で遊んでる」
「やめてよ〜黒くん翠くん。僕、そんな意地悪じゃあないのに」
「桃。来たんだね」
「新しく女の子が来るって聞いたからさあ、来ないわけにはいかないじゃん?」
「桃らしいね」
モモと呼ばれている人は
とてもふわふわした話し方をしていた。
話を聞く限り、モモは私に会うためにきたらしい。
「てか、かわいいねこの子。目隠しくらい取ってもいいんじゃない?」
「灰と蒼も来たらな」
「え〜?灰くんと蒼くんならドアの向かうにいたよ?」
「言わないでよ、桃」
「そうだよ、うまく隠れてたのに」
ここにいるのはおそらく
シロ、ミドリ、クロ、モモ、カイ、アオの6人。
「もう6人全員揃ったし、目隠し外してもいいよね?」
「いいよ」
「やった〜」
喜ぶ声が聞こえたと思ったら
耳のあたりに冷たい手が当たった。
そして、目隠しが外された。
壁、床、机、椅子、ソファ。
部屋にあるものすべてが黒色だった。
唯一色が違うのは
壁に掛けてある絵画のみ。
6人の男が部屋にいた。
だれも、親しい人はいない。
「わあ〜可愛い!お名前なんだっけ?あ喋れないか」
「口のやつも外していいよ」
「ありがと〜翠くん」
そして口のヒモも外された。
「かわいいね。お名前はなんていうの?」
「な、七瀬」
「それは苗字だよ。下の名前は那央」
「那央ちゃんっていうのか〜かわいい」
「栞菜のときよりうれしそうだね」
「やめてよ翠くん。栞菜よりかわいい子なんていないよ」
そんな会話が交わされている。
なぜわたしがここにいるのだろうかと
不思議に思うことしかできない。
「この子、白くんが連れてきたんでしょ?白くんのものになるの?」
「ううん。これは翠に誕生日プレゼントだよ」
「え、僕?いらないんだけど…」
「え〜じゃあどうしよう」
「じゃあ俺がもらおうか」
一際低い声が聞こえた。
混乱からか話が全く入ってこなかったわたしでも
『俺がもらおうか』という言葉だけははっきりと聞こえた。
「え、?黒くんが?」
「うん。だって誰もいらないんでしょ?」
「そうだけど….」
「じゃあ、俺がもらうよ。興味あったしね、もともと」
「わかった。じゃあ黒くんのってことで登録しとくね」
「ありがとう。じゃ、栞菜と美宇に那央を会わせたいから、桃と灰は2人を連れてきてくれる?」
「はーい」
「おっけ〜」
そうしてわたしの地獄は始まった。