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6.犬の生活
さあ!僕は犬だ!犬の生活が始まった!!!
…と皮肉ぶって心の中で鳴いた。
まず、目の前にドックフードが置かれている。だがしかし僕はどうにもこれを食べれそうにない。
しかし、犬の僕は「食べろ」と何度も呼び掛けてくる。
だんだんその呼びかけが大きくなり、叫び声になったのでうるさくてたまらない。
しょうがない。食べるしかない。
口を開けてドックフードにがぶりついた。
とても嫌だ。味を感じるまでの一時、僕はずっとそう思っていた。
味覚が働いたとき、意外だったのが結構いけるということだ。
そして、数秒後には美味しいとまで感じるようになった。
僕はすっかり犬の身体に馴染み始めてきている。それは生きることとして当たり前のことだが何故だか少し嫌悪感がある。
僕はドックフードを食べつくした。次に水を飲むことにした。
入れ物に入れられた水は恐らく水道水だろう。ここは日本なので安全面では大丈夫だろうが、少し抵抗がある。
まあドックフードに比べればまだマシだ。僕は水に顔を突っ込んだ。
自然と顔が上がって舌が動いた。ああそうだった。犬は舌を使って水を飲むんだっけ。
7.犬トイレ
水を飲むと突然トイレへ行きたくなってきた。
だがどういうことか、僕は犬だ。
犬はどうやってトイレするのだろうか。
辺りを見渡して(それほど広くはないが)トイレらしき場所があるか探した。―ない。
凛奈は僕のトイレを用意し忘れていたのだろうか。もし飼ってから間もなくならそれも有り得るが…。
仕方ない。人間用のトイレを使おう。
8.部屋
部屋から出て一つ感じたこと、それはこの犬がどのぐらい広さかわからないことだ。
なんならどういう間取りかも分からない。しょうがない。一つ一つ探すしかない。
もしも人がいる部屋を開けてしまったら、僕は一生部屋に閉じ込められる可能性もあるが、凛奈ならきっと反対するだろう。
ということで、一つ一つ部屋をあたることにした。
一つ目、普通のドア、犬ジャンプでドアノブを回す、なんと一回で成功した。僕には犬の才能があるかもしれない。
その部屋は凛奈の部屋だった。もちろん凛奈はいる。
「輪音!どうしたの?」
ワンと鳴いた。
「えっ…一つでドアを開けたの?」
ワンワンと鳴いた。
「すごい!!!ところで輪音はどうしたの?」
寝転がってあれがあるところを指した、伝わるか分からないが。
ところが凛奈には伝わったようだ。
「あ、トイレに行きたいのね。今用意してあげるね。」
僕は人のトイレで用を足す羽目にはならなかった。
9.散歩
そういえば僕は外に全く出ていない。犬といえども流石に家の外に出たくなってきた。
そういえば凛奈の部屋が近くにあったけ。
僕はワンワンと凛奈に向かって鳴いた。
凛奈が扉を開けて「どうしたの?」問いかける。
僕は扉に向かい、ワンワンと鳴いた。察しの良い凛奈になら伝わるはずだ。
凛奈は目を階段に向け「分かったよ。」と言った。恐らく伝わったようだ。
凛奈がリードを持ってきたので僕はワンと鳴いた。
10.新しい世界
リードをかけられた僕、人でなら想像できないことだが僕はリードをかけられている。
僕は犬だ。凛奈が扉を開こうとする、扉の先には何があるのだろう。
また新たなことが始まる。凛奈が扉に手をかける。僕はワンと鳴いた。