コツコツ…コツ……色々な人の靴の音が廊下に響く。
…あぁ、身体が痛い。
・・・・
そうだ…医者から、もう歩いても大丈夫。と言われていたな。
なんとなく院内を散歩する。もう痛みなんて忘れていた。…入院なんてしたことないなぁ。そんなことを思いながらひたすらぶらつく。
・・・
足音がやけに響く。心臓の音まで聴こえてくる。
…そしてある病室の前で立ち止まる。
不思議な程に確信していた。
…この先にいる。
夢の中で何度も見た笑顔。名前を呼ぶ声。
目をギュッと瞑る。
……ガチャ…
ドアを開けてしまった。…そこにはあの頃を思い出させるような美しい光景が広がっていた。
……ユウ…。つい涙が溢れてしまった。
すべてを理解した。そうだよ。ユウも元はこの世界を生きる、一人の人間だ。……やっぱり僕達は運命の相手。どこかで会えると信じていた。
・・・・
そこにはたくさんの管がつながれていたユウが眠っていた。枕元には香り立つラベンダーが置かれている。この瞬間、世界に鮮やかな色がついた。
ユウ…。 静かに名前を呼ぶ。
え…? ユウの指がかすかに動いた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!