テラーノベル
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🩷🤍
「じゅう〜、ショート動画撮ろうぜ」
「ん、いいよぉ。何撮るの?」
撮影終わり、楽屋にて。
今日は俺とはやちゃん……さんぱちでの撮影があった。どうやら雑誌で特集を組んでもらえるらしい。
はやちゃんがスマホをヒラヒラさせながら寄ってくる。俺は操作していたスマホの画面を消して立ち上がった。撮影に疲れてのんびりSNSをチェックしていた俺とは対照的に、はやちゃんはいつだってエネルギッシュだ。グループへの情熱は誰もこの人に勝てないだろう。
「この撮り方流行ってるんだって」
「なにこれぇ……。カップル動画じゃん」
はやちゃんに見せられた動画はカップルが楽しそうに踊る動画で、顔をくっつけるような振り付けもあった。はやちゃんはこういう動画をやたら撮ろうとするけど、俺は正直恥ずかしい。
「いいだろ。テレパシーでも散々チューしてんじゃん」
「あ、あれはもう慣れたし…っ」
「毎回可愛い反応してんじゃんか。ほら、撮ろうぜ」
はやちゃんにチューされる曲。何度も披露してる曲なのに。わかっていても毎回身構えてしまうし目を瞑ってしまう。
はやちゃんにキスをされる時。いい香りで、大きな手のひらで頭を支えられて……。思い返すだけで鼓動が速くなる。はやちゃんは誰とでも距離が近い人だから、俺のドキドキなんてきっと全然分かってない。
・・・
「も〜、笑うなよお前!」
「だってぇ……」
音楽に合わせてはやちゃんと向かい合って踊っていた俺は、恥ずかしさを堪えきれずに吹き出してしまった。撮った動画を見返したらグダグダで、あぁ、やり直しかなぁ。
「これ撮り直しだな〜、流石に」
「ごめん、次はちゃんとやる」
撮った動画を何度も真剣に見返すはやちゃんの横顔はまるでギリシャ彫刻のように美しかった。やっぱりかっこいいな。ずっと見ていられる気がする。
同性相手にこんなに思ってしまうなんて、やっぱり俺はおかしくなっちゃったのかな。それに、よりによってメンバーなんて。
……はやちゃんはメンバーとして、友達として、俺のことを好きでいてくれるだけだから。
絶対誰にも気付かれないように。この気持ちはきっと、開けちゃいけないパンドラの箱だ。
「んー……」
「どうしたの?はやちゃん」
「いや、これはこれでファンが喜びそうなんだけどさぁ……。じゅうのこんな可愛い顔、人に見せたくねえんだよな〜……」
「は……?」
何。何それ!?
一瞬、時が止まったかと思った。この人はそうやって、心臓に悪い発言ばっかりするんだ。なんてずるい人なんだろう。
「これは俺用に保存しとく。もう一回撮ろ」
「ま、待って……っ」
もう一回なんて撮れそうにない。はやちゃんの顔が見れない。キャパオーバーの中恐る恐るはやちゃんの方へ視線をやると、長い髪の隙間から見えた耳が真っ赤だった。
「ふふ。じゅう、顔真っ赤じゃん。照れてんの?」
「うるさいっ、はやちゃんだって耳赤いし……!」
「えっ、俺って耳赤くなるタイプ?……じゃあ考えてること同じかもな。俺とじゅう」
……え?
予想外の言葉に思わず顔を上げると、思ったより近い距離にいるはやちゃんとバッチリ目が合った。
その途端。視界が急に暗くなって、唇に柔らかいものが触れた。
「……お前わかりやすいもん。違った?」
さっき俺の唇に触れたであろうはやちゃんのそれが、ニヤリと弧を描いた。
「……ち、ちが……わないです……」
パンドラの箱を無理矢理こじ開けてきたのは、他でもないあなただった。
#ご本人様とは一切関係ありません
あんり
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わりばし
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はう
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#さんぱち
ぬま子
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コメント
1件
ああ、もう、このお話すごく良かったです……! 「これは俺用に保存しとく」って、はやちゃんのあの台詞、心臓にきました。じゅうくんの片思いがバレた瞬間の、あの耳の赤さとか、お互いに照れ合う距離感の描き方が繊細で、すごく好きです。パンドラの箱を開けたのははやちゃんだった、というラストも切なくて胸が熱くなりました。続き、すごく気になります。ありがとうございます🤍