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甘夏 桜
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#すちみこ
クッキー
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気がつけば、夏休みが終わった。9月に入って一番最初、この日が俺は嫌いだ。
❤️「…暑い、だるい、行きたくねぇ……。」
ブツブツと呟きながら、時計を確認する。時刻はそろそろ7時。そろそろ起きないと、本格的に遅刻をかます。
けれど、体が言うことを聞かない。
❤️「…夏休み中の部活、たのしかったな。」
先輩と二人っきりだったあの日、こさたちと馬鹿言って遊んだあの日、先輩たちの演奏や指導を聞いていたあの日。けど、結局最後はふざけて遊んでたか。
…思い返せば、全然練習してなくね。
なんて、焦った気持ちが溢れる。9月最初のテストも、全然勉強できてねぇじゃん。なんて、さらに焦りが募る。
❤️「いや、大丈夫…。勉強は、この1週間頑張ったし……」
落ち着かせるように独り言を述べながら、まとめたノートを確認したりと、遅く起きて時間がないのにバタバタしていた。
すると、そろそろでないといけない時間ギリギリ。玄関のほうから、軽快なチャイムが鳴り響く。
❤️「…??」
モニターを確認してみれば、そこには夏休みにこれでもかと部活で顔を合わせた…あの先輩がいた。
💜『よっ、迎えに来たぞ。』
❤️「ぇ…先輩!?ぃ、今行きます!」
バタバタとカバンを整え、いつもよりもしっかり前髪を整えて。憂鬱で、ゆっくりと開く扉もさっさと開け放って。
俺は、慌てて外へ飛び出した。
❤️「ちょっ…先輩なんで!?」
💜「ん~…?いや、なつと一緒に行こうと思って。笑」
❤️「わざわざ、こんなギリギリに…いなかったら、どうするつもりだったんすか?先輩、遅刻しますよ。」
💜「まぁ…俺のこと大好きな、なつなら。いるかなって、笑」
ニヤッと笑いながら、俺の頭をワシャワシャと撫でてくる。
ゆったりと、2人しかいない駅への道のりを大切に歩いた。
いるま先輩とは、夏休み中ほぼずっと会っていた気がするのに…会えて良かったなんて、なんだか不思議な感覚がする。
まるで、ずっと顔を合わせていなかった時のような寂しさと。会えたことのうれしさ。
首を傾げながら、先を歩きながらもこちらを気にしてくれているいるま先輩に、早く追いつこうと早足で隣についた。
朝の電車は、少しだけ人が多い。狭い狭い電車内に、たくさんの人が押し込められ。人の多さ、密度、熱気、圧。いろんなものに押しつぶされそうなところを、さりげなくいるま先輩が庇ってくれる。
女子にやったら、めっちゃ惚れられそうだな…なんて、変なことを考えながら。熱や圧をただごまかすために、いるま先輩の匂いや気配を感じていた。
電車から降りてみれば、向こう側のホームには同じ制服を着た大量の人がいた。こっから先は、2人の道じゃない。
💜「向こう側、相変わらず人多いな。笑」
❤️「そっすね。まじで大変そう…」
💜「…よかったな?俺らだけで。笑」
❤️「…!うっす!笑」
そんな事を笑い合いながら、学校までの道を上がっていく。まだ少し暑くて、夏が残る9月の上旬は、みんな半袖のポロシャツにズボン。
先輩も、俺と同じものを着てて。なのに、なぜか俺より似合っている。多分、なんでも似合う。
💜「…んじゃ、テスト頑張れよ。」
そう言って、ニコッと笑いかけながら俺のクラスの前で先輩と分かれた。階段登っていく後ろ姿を見送りながら、急いで見返して何とかテストを乗り切ろうと席に着く。
❤️「はぁ゙ぁ゙ぁ゙……こんなん、今から覚えらんねぇよっ……!!」
🩵「なつくん、勉強しなかったの?」
❤️「勉強なんて、やってられっかよ……。」
💛「苦手なんよなぁ~…。笑」
困ったように笑いながら、みことも椅子を180°回転させ、俺の机のうえに数学の教科書を広げている。
こさめは国語。俺は英語。それぞれ、今から始まる地獄に向けてそなえているのだ。
❤️「もぉ゙ぉ〜、おれかえるぅぅぅ〜っ……。」
💛「駄目やてなっちゃんっ!!」
🩵「こさめも頑張るんだから、頑張ろ!」
❤️「お前、この前の定期テスト順位いくつだよ…。」
🩵「えぇっと…総合7とか?」
❤️「こんな奴に言われても、やる気になんねぇよっっっ!!」
💛「こさめちゃんが7位って、意外よなぁ。笑」
🩵「どういう意味!」
そんな事を言い合っていれば、チャイムが鳴り響き、全員がガチャガチャと動かした机をもとに戻していく。
俺等も周りと同じように、机をもとに戻しては先生の長いHRに付き合うのだ。
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❤️「…ぉわった……。」
1日中ずっとテストという地獄を乗り越え、とうとう今日という1日が終わりを迎える。
ほとんど人がいなくなった教室で、一人突っ伏しながら1日の疲れをどっと感じていた。しかし、まだ出していない課題もあるため、俺はまだ家に帰れないのだ。
❤️「そうだ、先輩に連絡…」
そうスマホに手を伸ばしかけて、ピタリと止まった。…連絡??
俺が先輩と一緒に登下校してるのは、別に約束したからじゃなくないか?別に、毎回なわけじゃないし…いたら一緒に帰るくらいの……。
そんな事を考えては、ココで連絡いれるのって…めっちゃ勘違い野郎では?と思い、電源を落としたままのスマホに触れることなく課題を再開した。
まだ多くのこったページ数。半分以上が白紙のままで、今日中なら先生もセーフだって言ってた。
俺は死ぬ気で手を動かすしかない。
❤️「まじで、明日になって1人で職員室とか無理っ……。」
コミュ障陰キャの弊害は、こういうところでもでる。
コミュ障陰キャは辛いぜ…。
❤️「くっそぉぉっ……、こさめもみことも、なんか約束あるからって帰りやがって…。テスト終わったからって、浮かれてんじゃね?彼奴ら…リア充かっ…!!」
なんて、勝手にクラスメイト(親友)に八つ当たりをしながら、その怒りを何とか手に伝え、課題を爆速で進めていった。
答えを写している手を止めないように、……実はどこかの片隅では、先輩のことを考えていた。
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#Side 💜
💜「…何やってんだこいつ。」
いつもの電車の時間にこねぇから、何かと思って学校に戻ってみれば。
俺の家の近くに住んでいる。俺の近くをちょこちょことついてくる。俺のことを、ずっと見ている。そんな、なんてことない俺の…いや、俺たちの後輩。
ちょっと整った顔してて腹立つけど、まぁ…俺も人のこといえねぇか。なんて思いながら、なんでかいつもいっしょにいる。
今日も、こいつがいるだろうと思って、いつもより早く駅についたけど、一本見送って待っていた…なのに、こいつは連絡もなしに……。
💜(手が真っ黒…課題提出後か??)
多分、疲れて眠ったんだな。そんな事を予想しながら、風になびく薄いカーテンに隠されるように眠っているそいつを見た。
やっぱり顔が整ってて、光と相まって今あいつの透明感、半端ない。
じっと見詰めては、隣の席に腰を下ろした。見ていたら、なんだか触れたくなってくる。けど、触れたら壊れていってしまいそうだ。
❤️「んんっ……。(眠)」
💜「…なつ。」
無意識に手が出て、そっと優しく包み込むように頭を撫でる。髪を撫でる。頬を撫でる。
そいつは起きない。
💜「はぁ゙……、マジで。俺いつ帰れんだろうな。」
別に、待つ必要なんてないはずなのに。俺はそいつの隣から動かなかった。
ただ、飽きもせずそいつの寝顔を見つめて。まだ揺れているカーテンが、まるでヴェールのように俺からそいつを覆い隠してしまわないように。
まとめて、窓を閉めて。そいつと俺の間を遮るものをすべてなくして。
そうまでして、俺はコイツが起きてくるのをこのテストで疲れた身体で待っていたのだ。
それも、また無意識に。
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