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リクエストなんですが…ドスゴーで一部始終ずっと無理矢理やらされ続けているっていうのは出来ますかね…🤔
首輪の指輪
ヨコハマでは名の知れた隠れた名店。
昔ながらの少し字が読みにくくなっている寂びれた看板と
沢山の日々を店と共にしたのか、色褪せたカーペットが良い味を出していた。
幾ら名店と言われていたとて、近年の若者には敷居が高い様で中々店に訪れる者も少なかった為
久々に鳴った錆びた金のベルの音に、店主は思わず顔を上げた
秀麗、綺麗、妖艶、容姿端麗、眉目秀麗
此の世にはうんざりしてしまう程に
“美”
其れだけを言い表す言葉があるが、
どれにも当て嵌まらない程、
当て嵌めてしまってはいけないとすら思ってしまう程、
店の敷地を跨いだ彼は美しかったのだ。
店主は彼が歩いた足跡の分だけ
色褪せたカーペットが紫黎に染まっている様に見えてしまって、
彼の世界に惹き込まれて仕舞いそうに成るのを
瞬きをして堪えた。
「フィアンセに贈る指輪が欲しいのですが、アレキサンドライトは揃えてありますか?」
彼は店主に目線を合わせると、アメジストの瞳を瞼で隠しそう微笑んだ
「ええ、此方に」
手で示されたそのショーケースには、
医学が発達し、永くなった人生で目に入った物たちの中でも類を見ない耀きを持つものばかりで、矢張り値段も数百万円は当たり前だった。
「此の指輪を下さい」
てっきりアレキサンドライトの中でも最高級の耀きの物を選ぶのかと思ったが、意外にも彼が指差したのは菫色に燦めく少し安価な物だった
しかし年の功なのか、
店主はその動揺を見せること無く手慣れた手付きで指輪を小洒落た箱に入れ、彼に渡した。
彼はと言うとドラマで見るようなスーツケースを店主に手渡し、足早に去っていった
成る程、
と彼の考えを察した店主は苦い珈琲を一杯流し込んだ。
先程指輪を購入していた彼、、、ドストエフスキーは
自宅にある膨大な量の本の中から
「外套」と書かれた本を本棚の一箇所だけ不自然に空いた場所に嵌め込んだ
すると地下への階段が現れ、其処へと入っていった。
「帰りましたよ。ニコラーシャ
今日は貴方にプレゼントがあります」
地下の牢屋の様な部屋で主人の帰りを待つ仔猫へと
ドストエフスキーは自身の帰宅を報告する
仔猫、、、ではなくゴーゴリは
使い古されて壊れた白熱電球に照らされるドストエフスキーを少し見つめた後。
カチャカチャと五月蠅く鎖を鳴らせながら彼に近付いた
牢屋の柵の隙間から出された青白い掌には小洒落た小箱がちょこんと置かれており、
ゴーゴリは其れを受け取るや否や直ぐに其れを開けた
「おや、とても綺麗だ。
まるで君の瞳みたい」
紫黒に燦めくアレキサンドライトを早速、
その靭やかな指に嵌め込んだ彼はダイヤモンドの様に瞳を輝かせアレキサンドライトに見惚れる
この耀きを永久にずっと閉じ込めたい。
不覚にもそう考えたのはドストエフスキーには手に取るように分かるようで店主に向けた物とは
また違うゴーゴリの為だけの微笑みを浮かべる
「ふふ、喜んで貰えて何よりです
其れは少し特殊な宝石でしてね、
紫外線を浴びると変色してしまうんです」
ドストエフスキーの説明を聞いたゴーゴリはフッと笑い出す
流石にここまでしなくても、
ゴーゴリは最初から一生をドストエフスキーと共にするつもりだからだ。
「はは!君も重いね!」
牢の南京錠が解錠され、ゴーゴリにドストエフスキーが馬乗りになる
笑うゴーゴリの顎を持ち上げ、その艷やかな唇に柔いながらも激しい接吻を落とした彼はゴーゴリの耳元でそっと囁いた
「此れで少しは僕の気持ち解りましたか?」
雌の獣が雄の獣を誘惑する様に、
彼は一枚だけ羽織っていたドストエフスキーのシャツを脱いだ
それは恐らくこれから行われるであろう行為を想定してであろう行動だった。
其れがドストエフスキーの劣情を酷く煽るものと知っているゴーゴリは悪戯に、妖艶に微笑んだ。
「一生理解してやるもんか」
仕返しとでも言うようにゴーゴリは耳打ちした
ただ、既に耀きを喪った其の瞳は
御主人様であるドストエフスキー。
唯一人だけを写し続け、求めていると云うのに。
永遠の証。
「何、しているんですか?ニコラーシャ」
喜んでもらえるか内心ドキドキしながら彼のお気に入りの店のピロシキを買ってきた僕を裏切る様に、
なんと彼は地下から出ていた。
「、、、、、、」
本棚の階段の前で茫然と立ち尽くす彼は何も答えず、ただ床を見ていた
「何しているのか聞いているんです、!!!」
そんな彼に腹が立ち、声を荒げ頬を思い切り叩く
パァンと乾いた音が鳴り響き、彼は床に座り込んだ。
「、、、、ごめんなさい、」
頬を抑え俯く彼をハイライトの消えた瞳で見下し、蹴り倒しす
「なんで、僕を捨てるんですか?ねぇ、ねぇってば!!」
ドガッ、、、!!ドゴッ、、、、ボコッッッ!!
ぽろぽろと涙が零れては落ち、床に水溜りを作る
「ごべ、、、、、んなさッ、」
それでも変わらず謝り続ける彼に僕はひたすら殴る蹴るを繰り返した
気付くと彼は、虚ろな目で身体中を腫らし、紫黒の輝きを失った指輪を見ていた。
この指輪は、二人の愛の証。そして、
「どれだけ謝ろうと、無駄ですよ?
例え僕が忘れようとも、この指輪に刻まれた輝きを壊した証が刻まれていますから
全て忘れて、僕だけを見てください。貴方には僕しかいらないでしょう?」
僕がぼろぼろになった彼の身体をそっと自身の体で包み込むと、彼はか弱い力でそれを返した
「嗚呼、愛していますよ」
ドストエフスキーは、静かに目を閉じ。
ゴーゴリはドストエフスキーの壊れてしまう程の寵愛を受け、静かに笑った
このために、、、、僕は。
執筆活動を始めて3月28日で、計一年となります。
沢山コメント、いいね、いつも励まされてます!ありがとうございます
この場を借りて見てくれているフォロワーさん含め皆さんに聞きたい事があるのですが、
やって欲しい事(リクエスト募集等)はありますか?ありましたら是非教えてください。
一周年記念でやらせて頂きたいと思います。
最後に、いつも応援ありがとうございます!!