テラーノベル
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今からX年前。
俺たちは、もう使われていない古びたビルで出会った。
お互い、限界だった。
先に飛び出そうとしたのは紫だった。
それを桃が止めた。
「やめろ」
その一言は、思ったより必死で。
見た目よりずっと若い紫に向けられていた。
「邪魔すんなよ」
紫は怒鳴った。けれど、桃は引かなかった。
震えながら、それでも離さなかった。
桃は何故か分からないが止めたくなった。
その必死さが、なぜか紫の心に引っかかった。
理由は分からない。
でも、目が離せなかった。
やがて2人は、その場に座り込んで話した。
どうしてここに来たのか。
桃は会社での理不尽な扱い。
紫は学校での孤立。
どちらも、もう疲れきっていた。
「お前はまだ若い。生きろ」
桃はそう言った。
その目は、逃げ場のないほど真剣で。
——また、心が揺れた。
「じゃあ、お前も死ぬなよ」
紫はそう返した。
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