テラーノベル
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翌朝、ホテルの屋上で目を覚ましたふたりは、穏やかな朝焼けを見ていた。
「……生きてる」
「ねぇ、夢じゃないよね。昨日の全部……」
「いや、夢だったとしても……私たちは、録画ボタンを自分で止めた。
それが、答えだった気がする」
山を下り、電波の届くエリアに入ると、スマホが一斉に通知を吐き出し始めた。
でも、ふたりのチャンネル「はるみなTV」は、更新されていなかった。
フォロワー数は減っていた。
コメント欄も静かだった。
それでも──
【非公開フォルダ:「天鳴館」動画:保存済み】
そこには、ふたりが見たこと、感じたこと、選んだことが、まるごと残されていた。
「ハルカ、公開しないでいいの?」
「うん。これは……“うちらだけの青春”ってことでさ。
再生数なんていらない。
“記憶”になれば、それでいい」
ミナミが、照れくさそうに笑う。
「……なんか、急に大人びちゃってさ。
そういうの、バズらないけど、めちゃくちゃカッコイイじゃん」
「やだ、泣くじゃんそれ〜」
ふたりは笑い合い、手を振りながら歩いていった。
もう、カメラは回っていなかった。
でも、記憶というフィルムは、しっかりと残されていた。
数日後。
動画編集アプリ「QuickCut」が、ふたりのスマホから自動で削除された。
同時に、カメラアプリも更新され、
“録画中”の赤いマークが、静かに消えていった。
再生は終わった。
でも、それは「終わり」じゃない。
彼女たちは、もう一度“自分で撮る”ことを選んだ。
🎬 エンドロール:はるみなTV
出演:ハルカ&ミナミ
脚本:K?それとも、あなた?
撮影:記録と記憶
ジャンル:青春 × ホラー × 選択
再生回数:∞(こころの中で)
《オバケとバズれ!2 〜天鳴館のラストメッセージ〜》
コメント
1件
終わった感じ?めちゃヒヤヒヤしたわ...てか本にできそう...