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そんなある日、誕生日に何が欲しいかとギデオンに聞かれ、リオはアトラスから聞いた、領内にある、自然に湯が湧いている温泉という所に行きたいと話した。 ギデオンは|快《こころよ》く了承してくれた。
リオは、アンを連れて行けたらいいなくらいに思って楽しみにしていたのだが、ギデオンから結構な人数で行くと聞いて驚く。
ギデオンは、リオの誕生日の五日前までにあらゆる職務を終わらせると約束した。そして誕生日後の数日を温泉地でのんびり過ごすための計画も立てていると知って、リオは、忙しいギデオンに無理をさせていると申しわけなく思った。しかしそれ以上に、飛び跳ねたいくらいに嬉しかった。
ギデオンは、必ず有言実行する男だ。
約束していた通りに仕事を終わらせ、計画通りにリオの誕生日の五日前に温泉地へ向けて出発した。
リオとギデオン、自ら護衛に志願したアトラスとロジェ、そして他三人の護衛を伴っている。もちろんアンも一緒だ
領地内であるから安全ではあるが、ケリーのようにリオに危険を及ぼす者が、万が一にも襲ってくるかもしれないと、ギデオンが護衛をつけたのだ。
リオは一人で旅をしていたから、護衛なんて大げさだなと思う。それにギデオンも一人で旅をしていたのに?と疑問を口にすると、ギデオンが教えてくれた。実はギデオンは全くの一人旅ではなく、目立たぬように、ケリーとアトラス、ロジェが、ギデオンを警護していたそうだ。
まあそうか。ギデオンは領主様だもんな、とリオは納得する。そして一人旅も気楽で楽しいと思っていたけど、大人数はもっと楽しいだろうと、温泉地に行く日のことを考えて、ワクワクが止まらなかった。
温泉地へは、騎馬で半日かかった。
途中深い森を通ったが、魔獣に|遭遇《そうぐう》しなかった。寒い時期は、魔獣は冬眠するからだ。
でも|極《ごく》たまに冬眠できなくて、気が立っている魔獣に出会うことがあるらしい。
そういう魔獣は、かなり|手強《てごわ》く厄介だそうだ。
リオは数年旅をしていたが、そのような魔獣に遭遇したことはない。それはきっと運が良かったのだ。
温泉地に着くと、雪が降っていた。
城の五分の一くらいの立派な屋敷に入ると、暖炉に火が灯っていて暖かかった。近くに住む老夫婦が管理しており、行くと知らせていたために、綺麗に掃除をして部屋を整え食材も用意してくれていた。
そして護衛の二人が調理ができるらしく、城で出される食事と変わらないくらい美味しい料理を食べた。
食事後は、アトラスと共に、アンをつれて屋敷の周りを散策した。うっすらと雪が積もり始めており、土を踏むとサク…と軽快な音がして楽しい。雪道を歩くのは初めてではないのに、仲間がいるだけで何倍にも楽しく感じるのかと、リオは感動した。
二人と一匹は、興奮してかなり遠出をしてしまい、屋敷に戻った時には、空が暗くなり始めていた。
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