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紫×桃
紫×モブ
桃さんがただ可哀想な話
紫さん屑です
「遅いな……」
らんは時計を睨むように見上げた。針はすでに日付を跨いでいる。
机の上にはスマホ。画面に浮かぶのは、たった一行のメッセージ。
『今日は遅くなる、ごめん』
「…また、か」
唇を噛む。言葉では謝ってくれているけど、その裏に隠されたものを、らんはもう知ってしまった。
____________
数日前。
駅前のカフェ。
ガラス越しに見た光景。
「いるま…」
男が女の肩を抱き、耳元で囁いていた。
あの、優しい声で。
らんにだけ向けられていると思っていた声で。
____________
ガチャリ。
玄関の扉が開いた。
「ただいま」
低い声。懐かしい響き。けれど香ってきたのは甘い匂いーー女物の香水だった。
「お、おかえり……」
「悪い、遅くなった」
いるまはそそくさと靴を脱ぎ、視線を合わせないまま浴室へと消える。
らんはソファに座ったまま、震える手を膝の上に置いた。
「ねえ」
シャワーの音にかき消されそうな声。
返事はない。
____________
翌朝。
テーブルに並んだ朝食を前にしても、沈黙が続いた。
「昨日…」らんは口を開く。
「何してたの?」
いるまの手が止まる。
「仕事だよ」
「嘘だ」
らんの声が震える。
「俺、見たんだ。駅前で…女の人と、笑って…」
いるまの表情が凍った。
「……見たのか」
「ねえ…誰なの?俺、何も聞いてない。ちゃんと、教えてよ」
沈黙。
やがているまはため息をつき、冷たい声を落とす。
「らん、お前は優しい。俺に尽くしてくれる。…でも、それじゃ足りない 」
「…足りないって、なに…?」
「俺は、あの子と生きていくつもりだ 」
らんの心臓が止まったように感じた。
「やだ…やだよ……」
「らん」
「俺、ずっと一緒にいたいんだよ。いるまがいないと…何もできないのに……!」
いるまは視線を逸らし、立ち上がった。
「ここには、もう戻らない」
「待って!お願いだから、俺を捨てないで!」
震える声が、部屋に響いた。
だが、扉は容赦なく閉じられた。
____________
数日後。
らんは必死で普通を装った。スマホに連絡を送る。
『会いたい』
『少しだけでいいから 』
けれど返事は返ってこない。
深夜、ふと窓の外を見ると、街角でいるまとあの女が並んで歩いていた。
笑っていた。手を繋いでいた。
「……嘘でしょ……」
らんは窓に額を押し付け、声を殺して泣いた。
____________
一週間後、偶然いるまと再開した。
仕事帰りの駅前。隣には、やはりあの女。
「いるま!」
声を張り上げると、彼は振り返った。だが、その瞳には驚きと、そして…迷惑そうな影。
「…らん」
「会いたかった…ほんとに…」
駆け寄ろうとした瞬間、いるまは女の肩を抱き寄せた。
「ごめん。今は…こっちが大事なんだ」
らんは立ち尽くした。
「……俺のことは?」
「もう、忘れてくれ」
女は不安そうにいるまを見上げた。いるまは微笑んで「大丈夫だ」と囁いた。
それは、かつてらんに言った言葉だった。
「…そんなの…ないよ…俺、忘れられない……」
声が掠れ、涙が頬を伝う。
人混みの中、誰も気にとめない。
二人の背中は遠ざかっていった。
____________
夜、らんは部屋で独り、スマホの写真を眺めた。
いるまと並んで笑う自分。
「俺たちらずっと一緒だな 」って言葉を思い出す。
「嘘つき……」
画面が滲む。
枕に顔を埋める。彼の匂いはもう薄れていた。
「いるま…帰ってきてよ……」
どれだけ叫んでも、返事はこない。
世界は灰色に沈み、らんの心は静かに壊れていった。
𝐹𝑖𝑛.