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40 - 第40話凌太side<出会い6>

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2023年11月25日

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奥山さんから絶叫マシンのある遊園地に誘われた。レンタカーで奥山さんの友人達と行くということで誘ってくれた。

遊園地なんて行ったことがないし、それほど興味もなかったが奥山さんが行くなら行ってみたいと思った。

免許を持っている人間が交代で運転をすると言うことで奥山さんを含め女性3人のうち2人が俺を含め男性3人のうち二人が免許を保有者で4人で交代で山梨県に向かった。

じゃんけんで行きは俺と奥山さんになり、俺が最初に運転して途中から奥山さんに交代するため、奥山さんが助手席に座った。


「運転はよくするの?」


「ごめん、下手だった?」


「違う違う、何となく慣れてる感じだから」


「家の車を時々運転するくらい、奥山さんは?」


「春に免許をとって、数回、家の車で練習したくらい」


ワゴンタイプの車で後部座席にいる4人も盛り上がっている。

親父と二人で出かけたことは数えるくらいしかないし、複数となると修学旅行くらいしか経験がない。

女性たちは即ホテルだったし、いままで恋人はいないからデートもしたことがなかったため、こういう状況は新鮮でたのしい。


「じゃあ、高速に乗って最初のサービスエリアで交代して、降りる手前でまた交換しよう」


「でもそれじゃあ甲斐くんの負担が大きくない?」


「本当は全部俺が運転してもいいけど、それだと奥山さんが納得しないだろうし、これが妥協案かな。絶叫マシンに乗る前に絶叫するのは怖いからね、高速なら飛び出しもないしアクセルキープすれば大丈夫だから」


「それって、何気にバカにしてない?」


そう言うと背後から

「「「「甲斐にさんせーい」」」」

と、満場一致の声が聞こえてきた。


奥山さんの性格上、免許を持っているのに運転しないのは悪いと思っていたのか、きっと後ろのメンバーもそう言ったが聞き入れなかったのかもしれない。


首都高速から中央道に入る。

最初のパーキングエリアである石川パーキングに入ると全員がすっかり買い食いを始める。

奥山さんはホイップあんぱんを幸せそうに頬張っていてその姿がリスのようで可愛い。


「アクセル踏んで、流れに乗れるように加速して」


「えっ、でも」


「大丈夫、踏んで!入って!」


サービスエリアから本線に戻る時の合流、奥山さんは教習所の高速教習以後、初の高速でかなりビクビクして合流地点で停まりそうな様相だった。


無事に合流すると、後ろのメンバーも固唾を飲んでいたのか、一気に緊張がほぐれて


はああああああああ


と、大きなため息が聞こえてきた。


「酷い」

ちょっと拗ねたような口調が可愛くてつい声を出して笑ったら車内が爆笑になった。

しばらく高速道路を走っていると富士山が大きく見えてくる。


親父と二人でキャンプに行った時のことを思い出した。

親父は母さんとずっとあんな関係で離婚をしたいとか思わなかったんだろうか?

好きだと思わない人と子供を作って、そんな俺をどう思っているんだろう。


「やっぱり綺麗、富士山は正義だね」と運転に慣れてきた奥山さんが嬉しそうに言った。

大月インターチェンジで河口湖方面に入ると谷村パーキングエリアに入る、ここで運転を交代してあとは目的地までわずかだ。


「楽しかった」


「すごく緊張した表情だったから心配してたけど、楽しかったのならよかった」


「そりゃ緊張するよ。みんなの命を預かってたんだから」


奥山さんがそう言うと、カッチンと呼ばれている阿部克ニが「この後絶叫マシンに乗っても怖くないかも」と言うと他のメンバーも笑いながら肯定している。


「ひどーい」と言いながら奥山さんはカウンターに向うと信玄ソフトを買って戻って来た。


「甘党?」


「というか、ご当地スイーツは外せないから」


「そうそう」と鈴木里子と山本真美の手にも同じものがあった。


運転を交代して中央道を降りるとほどなくして目的地に到着した。


初めて乗った絶叫マシンに放心したあと、恐怖迷宮に入ることになったが、山本真美と佐久間大のカップルはホラーはNGということで4人で入ったが想像したよりもずっと怖かった。

何度もリタイアを考えつつも、なんとかゴールをすると体力もゴッソリと持って行かれてヘロヘロになって出てくると山本さんと佐久間がにこやかに迎えてくれて6人揃って昼食を食べたが、食欲はでなかった。

高所を二人乗りの自転車のような乗り物で園内を巡るというもので、何故か奥山さんと阿部、山本さんと佐久間、そして俺は奥山さんの親友である鈴木里子と乗ることになった。


自転車を漕ぎ出してしばらくすると


「松本あゆって知ってるよね?」


鈴木里子がそう聞いてきた。

もちろん知っている、何度か寝た子だ。

ただ、どう言う意図でその話を始めたのか黙っていると


「あと、堺まみも知ってるよね」


「確かに知ってるよ」


「瞳に近づいたのはそ言う意味?」


前の前にいる奥山さんの後ろ姿を見る。


「そういう意味とは?」


「瞳は大切な親友なの。甲斐くんのセフレコレクションに入れるつもりなら、絶対に許さないから」


なるほど、鈴木さんの俺を見る目がキツいのはそいうことか。


「まさか、それに奥山さんと会ってからそう言う関係は終了してる。ただ、今までの行動が無かったことになるわけじゃないから鈴木さんが俺を信用しないのはわかる」


「瞳のこと好きなの?」


「そういうことか」

つい声がでてしまった。

そうか、ストンと何かが落ちてきた。


「瞳はあんたがセフレコレクターだって知らないから、もし瞳をそんなふうに扱おうとしたら合コンヤリチン野郎って教えるから」


「怖いな。でも、奥山さんにいい親友が居るってわかって安心した」と言うと睨まれた。


本心だったんだが。


ゴールになってアトラクションから降りると奥山さんが楽しそうに微笑んでいた。その姿が天使に見えたが天使だと思った奥山さんが悪魔だと気がついたのはコーヒーカップに二人で乗ると、明らかに他のカップとは違う動きをしていたことに気がついた時だ。

遠心力により俺の首はずっと座ったままで何か話をしたかったが一言も喋らず時間切れとなった。


最後に観覧車にのることになり、二人づつ乗り込み、俺は奥山さんと乗った。

ゴンドラがゆっくりと登っていくと富士山の美しさがはっきりと見え、それをみている奥山さんが楽しそうでつい頬が緩む。


ああ、好きだ。

親父はこんな気持ちを知っているんだろうか。


「奥山さんは付き合っている人っている?」


ずっと景色を見ていた彼女は驚いたような表情で俺を見た。


「居たら、甲斐くんを誘わないよ。もしかして、甲斐くんって付き合っている人がいる?」

そう言ってから何かまずいことを思い出したように「ごめん、いるよね」と言って口元を抑えた。


「いや」


「でも、たしか部屋とかって言っていたよね」


そう言えば、奥山さんの前でアユが部屋に誘ってきたことがあった。

流石に、体だけの関係だとは言えず「もう別れたよ」とだけ言った。


「よかった。彼女のいる人を誘ったと思って焦った」


「何で、俺を誘ってくれたの?」


「ごめん、嫌だった?ちょうど3:3になると思って」


「誘ってもらえて嬉しかったよ。奥山さんのこと好きだから」


「よかった・・・・・え?」


驚いた表情から徐々に顔が赤くなっていく。


可愛いな


「俺と付き合ってくれないか」


「え・・あの・・」


「返事はすくじゃなくていい」


「私も多分、好きだと思う」


「多分?でもいいや。今から、カレカノって思っていい?」


ハニカミながらコクリと頷いた所でゴンドラはスタート地点に戻ってきた。

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