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「笑顔です!笑顔が足りません!、そんな笑顔に淡路の人々が、未来を託すとお思いですか!!」
パシャパシャパシャ!!
メガホンを持った野々村さんの激が飛ぶ中、秒速で永原さんのフラッシュが焚かれ、北斗が引きつりながら愛想よくカメラに笑顔を向けるが目と口元が歪んでいる
その横で浜田さんが北斗の髪を、目の細かい櫛で整える
永原さんが反復横跳びのように忙しく、飛び回って北斗にシャッターを切る
「もっと右を向いてください!」
「目線青空にお願いします!」
「そうそう!その調子! 」
「もっと淡路を魅了するメガトン級の笑顔が出来ないんですか!それでもプロですか!」
「俺は素人だよ!」
今度はレフ版を持った野々村さんの激励に北斗が叫ぶ
「なんだか彼女達アキ君以外には容赦ないわね・・・」
ポツリとアリスが呟く
ボソ・・・・「ロケーションを変えるわ」
大きなバッグからレンズを変えながら、永原さんが呟く
「は~い!ここでの撮影はOKでましたぁ~!」
「場所変えます!モデルさんは衣装をチェンジしてください!」
「だからモデルじゃないって!」
アッキーズが困り果てた北斗に次々と指示をし、それをアリス達がうっとりと後ろから見学している
はぁ~「さすがだわぁ~~~」
「良い写真が出来そうだね~」
明も嬉しそうにアッキーズに笑顔をむける
「しかしすげ~なあの子達、Z世代こえ~なぁ~」
直哉も感心して母屋の前で次々と北斗にポーズを、取らせるアッキーズを見て笑った
そこから数時間顔面神経痛患者のような北斗を、牧場中さんざん引きずり回して、そして出来合った写真がなんとも圧巻だった
今はリビングで全員が信夫のパソコンを囲んで、永原さんが信夫の横に座り、彼のパソコンに全てのデータを移しながら、大きな画面で撮れ高を確認している
どよっ・・・
「いいよ!これ!」
「すごいわ!」
「あの選挙ポスターと全然違うぞ!」
全員が永原さんの撮影した写真の、出来栄えをそれぞれが褒めた
真っ青な広い空をバックにパリッとした、紺色のスーツの北斗は、一分の隙も無く希望に満ちていた
そして永原さんの特殊加工で目鼻立ちはハッキリし、顔色も良くとても若々しい
「う~ん・・・・後は・・・スローガンかな?ほらみんな選挙ポスターに書いてるだろ?」
信夫が画面に向かって腕組みをして言う
「あ~・・あのダサいヤツ?やる気!元気!とか?」
直哉がにんまりしてバカにしたように眉を上げた
「でも結構大事よ!あと北斗さんの選挙カラーも、遠くからもひと目見て、北斗さんだと分かってもらうためにキャッチコピーは必要よ」
「鬼龍院は赤だぜ?」
その時永原さんがボソッと信夫に耳打ちする、途端に信夫がひらめいたとばかりに、キーボードに何やら打ち込む
―淡路の風に乗って~成宮北斗―
真っ青な空をバックの北斗の、頭上に白浮きでその文字が信夫の手によって加工される
おおっ!「いいぞ!」
「そうよ!北斗さんは淡路の風よ!」
「そうだよ・・・淡路の風と聞いたら、兄貴がすぐに地元の人間だとわかるな!わかりやすくていいよ!」
直哉も感心する
「すごいぞ!永原さん!」
「詩的だわ!」
みんなが一斉に画面に向かってそれぞれ話す
しかしまだ永原さんは納得していないようで、次々と信夫に指示を出す
ボソ・・・
「もっと・・・明朝体を効かせて・・文字フォントを斜めにして・・・風が吹いているように・・ 」
「こうかい?」
永原さんが細かな支持を信夫に耳打ちする、信夫がカチャカチャマウスを操作するたび、北斗のポスターが良くなっていく
「いいよ!すごくいい!早速これを全SNSのプロフィールヘッダーにするよ!」
ボソ・・・「他にも別アングルで500パターンほど・・・」
「全部僕に送ってくれ!動画もほしい!」
ボソ・・・
「お任せあれ 」
永原さんと信夫はどうやらとても気が合うようだ
「ありがとう永原さぁ~ん(はぁと)」
明の笑顔にポッと永原さんが、頬を染めコクコク頷く
「みなさぁ~ん、レオ君来ましたよぉ~」
「あ~~レオくぅ~ん(はぁと)」
お福さんとレオがなんともワイワイ騒々しい、リビングに入って来た
「こんちゃっス!これ母ちゃんからっス!中身プリンっス!」
レオがアリスにケーキの箱を渡した
「いつもいつも悪いわぁ~!今週末お母さんのサロン予約してるのよ」
アリスが笑顔でレオの頭をナデナデする
「ハイ!お待ちしていますって、母ちゃん言ってました 」
ヒソヒソ・・・・
「レオよ・・・」
「レオだわ・・・」
アッキーズがなんだかザワザワしだした
「わ〜い!レオ君いらっしゃぁ~い(はぁと)」
「抱き着くな!」
この二人のやり取りをアッキーズがじっと見ている、全員瞳の中には星が飛び、両手をグーにして口元に持っていっている
それからアキレオはソファーにうつって、Switchに夢中になっている
ピコピコ・・・
「あ~っ!もう違うよ!レオ君右の洞窟に入って!」
「この滝を通ってからだぞ」
「違うったら!右!右!」
Switch両手に必死にゲームをするレオの肩に、顎を乗せぴったり明が引っ付いて、後ろからヤイヤイ言っている
この二人のおかしい距離感に、野々村さんと浜田さんが身悶え、獲物を捕らえた永原さんの、シャッターチャンス魂が燃え上がる
キラキラ・・・
「ああ・・・目が幸せ・・」
「眼福よ・・・」
「来てよかった・・」
パシャパシャパシャ!
そこにアリスに選挙事務所に先に入っている、選挙対策部長の貞子から電話が入った、実際部長の貞子はものすごい勢いで支持者を集めている
「以前に佐原議長の有権者だった、2ブロックの「あわじ小児疾患医療センター」の、増田院長が法人と個人両方で限度額まで献金してくれそうよ!明後日夫婦で病院訪問のスケジュールを入れたわ!」
それから貞子がドレスコードまで、すべてを計画したスケジュール表が届いた