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「今日からお世話になります!1年の🌸です!」
🌸は精一杯の笑顔で部室に立ち、頭を下げた。
野球部の部員たちは、それぞれの表情で🌸を見つめる。興味を示す者、無関心な者、そしてどこか冷たい視線を向ける者――。
「マネージャー?どうせすぐ辞めるんじゃね?」
「去年も途中で辞めた奴いたよな。」
陰口とも取れる言葉がちらほら聞こえ、🌸は拳をぎゅっと握りしめた。
(負けちゃダメ。私がここで頑張らなきゃ。)
その時、低く落ち着いた声が響いた。
「……分からないことがあるなら、これから覚えればいいだろ。」
目を向けると、2年生のエースピッチャー、Ifが腕を組みながら言葉を続ける。
「やるって決めたなら、最後までやるそれが部活の基本だ。それができるなら俺は認める。」
その言葉に🌸は救われた気がした。
「はい、頑張ります!」
Ifは少しだけ目を細めると、視線を外した。
マネージャーとしての日々は想像以上に忙しかった。練習中のサポート、道具の管理、部員たちの飲み物やタオルの準備――🌸は誰よりも遅くまで部室に残り、仕事を覚えようと努力していた。
しかし、そんな🌸に対して、冷たい視線を向ける部員もいた。
「真面目にやりすぎじゃね?なんかウザい。」
「せっかくマネージャーなんだから、もっと可愛げあればいいのにな。」
「顔はいいし、俺はいけるけどな笑」
「は?笑それまじ〜?」
「嘘に決まってるだろ笑笑」
「だよな〜笑」
陰口を聞いてしまった🌸は、思わず心が折れそうになる。それでも、辞めようとは思わなかった。
(私がここで逃げたら、何も変わらない。)
ある日の練習後、片付けをしていた🌸の前にIfが現れた。
「お前、いつも遅くまで残ってるな。」
突然の声に驚きながらも、🌸は振り返る。
「あ……はい。分からないことが多くて、みんなより倍やらないと覚えられないので。」
Ifは黙って🌸を見つめた後、ふっと息をついた。
「無理はするなよ。お前が倒れたら誰も得しねえから。」
🌸はその言葉に救われる気がして、小さく頷いた。
「ありがとうございます。でも……もう少しだけ頑張ります!」
亮太は目を細めると、ぽつりと言った。
「……まあ、そういうところ、嫌いじゃねえけどな。」
その一言に🌸の胸が少しだけ温かくなった。
「明日は朝早くからの遠征だ。全員遅れないように集合すること。」
練習後、監督がチーム全体に向けて話している。
「遠征先の試合は相手も強い。しっかり準備して、全力で臨め。」
🌸は監督の言葉をメモしながら、静かに頷いた。しかし、隣で話している2年生の部員たちの声が耳に入る。
「え、マネージャーも来るの?別にいらなくね?」
「本当だよな。邪魔になるだけじゃん。」
その言葉に胸が痛んだが、🌸は顔を伏せることなくメモを取り続けた。
その時、Ifが部員たちを睨むように見やり、短く言い放つ。
「黙れよ。そういうこと言うなら、お前らが全部サポートするか?」
一瞬静まり返る部室。部員たちは口ごもり、それ以上何も言えなくなった。
Ifはちらりと🌸を見て、視線を戻す。
「……明日、頼むぞ。マネージャーがいると助かる。」
その言葉に🌸は驚きつつも、少しだけ微笑んだ。
「はい、頑張ります!」
翌朝、全員で電車に乗り込むと、朝のラッシュで車内はぎゅうぎゅう詰めだった。
🌸は部員たちの後ろに立っていたが、押し寄せる乗客にどんどん前に押される。
「大丈夫か?」
Ifの低い声がすぐ近くから聞こえる。
「は、はい……!」
🌸はなんとか笑顔を作るが、その瞬間、電車が大きく揺れる。
「っ!」
体勢を崩した🌸は、思わずIfの腕に手をついてしまう。
「ご、ごめんなさい!」
慌てる🌸。しかし次の揺れで、二人の距離はさらに縮まる。
「無理するな。」
Ifは短く言い、🌸の肩を支えて自分のそばに引き寄せた。
「ここに掴まれ。」
Ifが指差したのは、自分の腕だった。
「すみません……ありがとうございます。」
小さな声で呟く菜🌸に、Ifが耳元で囁く。
「いいから。こういう時は頼れよ。」
その一言に、🌸の胸は高鳴る。
(近い……先輩、優しすぎる……。)
一方、Ifも内心で戸惑いを隠せなかった。
(なんでこんなに気になるんだ、こいつ……?)
電車の中で縮まった距離は、二人の関係に少しずつ変化をもたらしていくのだった。
次回は遠征中作ります!待っててください!