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続きです。
エピソード2:佐野勇斗
『俺さ、ずっと思ってた』
勇斗の声は穏やかだけど、いつもより少し震えていた。
『仁人を見てると、安心する。でも同時に誰かと笑ってるのを見ると、すっごい苦しくなる。
……多分、これが”好き”なんだと思う』
静まり返る教室。
仁人の喉が乾いた。
吉田 『……勇斗、、』
佐野 『答えはいらない。だけど、仁人に知っててほしい。』
勇斗はほんの少しだけ笑って、後ろに下がった。
エピソード2:山中柔太郎
その次に、柔太郎が一歩前に出た。
『勇ちゃんの言葉を聞いて思った。俺も、ずっと仁ちゃんが好きだった。多分、他の誰よりも仁ちゃんの隣にいたくて、”守る”って言い訳で、自分の気持ちを隠してた。』
『…お前……』
『優しいふりしてた、本当は仁ちゃんを独り占めしたかったんだ』
柔太郎の瞳は、少しだけ切なく光っていた。
エピソード2:塩崎太智
『ずるいよ皆、先に言うなんてさ!』
太智が照れくさそうに笑う
『仁人、……俺も、仁人のことが好き。
いっもツンツンしてるくせに、めっちゃ優しく笑うじゃん?あれ見たら、もうダメなんだよ』
仁人は顔を真っ赤にして、視線を逸らす。
『……なんでお前ら…』
『好きだからだよ。全部』
太智の笑顔がいつもより少し大人びて見えた。
エピソード2:曽野舜太
最後に、舜太が仁人の前に立つ。
『仁人、俺ね、ずっと前から仁人のこと見てた。
頑張ってるとこも、照れてるとこも、
ぜーんぶ好きなんだ』
『……っ』
『だから、他の誰かに泣かされたくない。俺が一番近くで笑わせたい』
舜太の真っ直ぐな言葉が仁人の胸に突き刺さる。気づけば、心臓が痛いほど鳴っていた。
そしてーー
『……なんなんだよお前ら………。』
仁人は頭を抱えて俯いた。
『、、いきなりそんなこと言われたら、わかんなくなるだろ……』
勇斗が静かに言う。
『わかんなくていいよ。すぐ答えようとしなくてもいいから……。
…でも、逃げないで。仁人の気持ち、ちゃんと聞かせて』
教室の窓から吹き込む風が、4人の髪を揺らす。
仁人はゆっくり顔を上げた。
『……俺、ずっと”誰かに守られる”のが怖かった。でも、お前らといたら……それが、悪くないなって思った』
『…だから、ちゃんと考えたい。誰が一番じゃなくて、俺の”好き”がどこにあるのか』
その言葉に、4人が静かに頷いた。
誰も笑わず、誰も責めず……ただ優しく見守るように。
夕焼けの光の中で、仁人の頬にほんのり赤が差した。
(……俺、やっぱりこいつらが好きだ、、)
夜風が、カーテンを揺らしていた。
仁人は机に肘をついて、窓の外の月を見つめる。
(……あいつら、どうしてあんな真っ直ぐ言えるんだよ)
思い出すのは、それぞれの声。
勇斗の静かな強さ、柔太郎の包み込むような優しさ、太智の真っ直ぐな笑顔、舜太の真っ直ぐ過ぎる言葉。
胸が苦しい。けど、それ以上に、心地良い。
次の日の放課後。
4人を屋上に呼び出した仁人は、少し俯きながら口を開いた。
『昨日……お前らの気持ち、ちゃんと聞いた。……ありがとな』
『でも俺、誰か一人なんて選べねぇよ』
4人の表情が一瞬、動いた。
けれど仁人は続ける。
『だって、誰かを選んだら……
他の誰かを “いらない”って言うことになるだろ?そんなの、俺にはできねぇよ』
『みんながいて、始めて俺なんだ。
お前らが笑って、俺が笑って、、それでいい
それが、俺の”好き”の形なんだと思う。』
静かな沈黙。
その中で、柔太郎が最初に微笑んだ。
『……そういうとこ、本当仁ちゃんらしいね 』
次に勇斗が口を開けた。
『一人に決められない優しいところ、好きだよ』
太智が笑って言う。
『寧ろ、全員で幸せになっちゃえばいいじゃん!』
舜太が嬉しそうに跳ねる。
『やったね!じゃあ仁人、今日から、皆の彼女決定やね!』
吉田 『おい!勝手に決めんなっ!!』
佐野 『決定事項です〜!』
皆で笑いながら、仁人は小さく息を吐いた。
頬がほんのり赤くて、心は不思議なくらい軽かった。
(……これが、俺の幸せなんだろうな)
夕焼けの空の下、5人の影が重なる。
恋の形はひとつじゃない。
誰かを想う気持ちが、確かに繋がっているならーー
それが”答え”なんだ。
END