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部屋中にテンポの早い音楽が流れる。時間は早く経っていく。そんな世の中を見つめながら、私はただ、呆然とその音楽を聞いている。
一人、朝に起きる。カーテンは開けない。開けたって、眩しい世界が私にのめり込んでくるだけだもの。
〝ピンポーン〟
インターホンが鳴る。私の心に勝手にメリメリと入ってくる、嫌な音。重たい体を持ち上げて、扉を開ける。
〝ガチャ〟
そこには、私と中学が同じだった男が立っていた。名前は…忘れた。その男は不気味ながらにこう言った。
『こんにちは〜。今宵、ハナノさんを
救いに来たもので〜す。』
にまにまと笑いながら話してくる嫌な奴。この顔、見た事がある。鮮明に覚えている。でも、ここで名前を聞くのもめんどくさい。
『…あんた、誰。』
私は、濁った水みたいな冷たさで返事を返した。
そもそも、話す気力さえない。
『いやだな〜。俺、ケンセイですけど。
やっぱ覚えてない〜?』
そうだ。思い出した。こいつの名前はケンセイ。中学では結構の問題児で、窓割ったり、、バスケットゴール壊したり、してたやつ。
『あぁ、ケンセイ。
なんで私なんかのところに?』
そもそも、救いに来た、とか意味の分からない言葉だけ吐いて、覚えてない?なんて気軽きなことばっかほざいて。
『…全く〜。ハナノさんは〜。
君が俺に、助け求めてきたからでしょ?』
にんまり微笑むこの男には、どこか、不気味さがあり、反抗しようにもできずにいる。
『取り敢えず、家、入るね〜。』
ケンセイは私の家にズカズカと入ってくる。
『ちょっと、やめてよ。』
私はケンセイの腕を掴んで、それ以上入られるのをなんとか防ごうとした。 けれど、無駄だった。
『俺が救ってあげるからさ。』
意味の分からない言葉を言うケンセイが、この一瞬で大嫌いになった。
『汚い部屋だし、薄暗〜。
俺だったら、耐えらんないよね〜。
この音楽もうるさいし、 消しちゃえ〜。』
音楽を消された。私の唯一の生きがいなのに。私はその場にへたっと座り込んだ。
『もう嫌だ…。』
ケンセイは、泣きそうになる私の前にしゃがんで、
『どしたよ、ハナノさん。まぁ、
ハナノさんにはこれから、俺と一緒に
行動してもらうけど。』
そんな戯言を私にぶつけると、ケンセイは私をヒョイと持ち上げた。
『は、なに、ちょ、下ろして。』
私は彼の上でじたばた動く。
『暴れんな〜、ハナノさん。
今楽にしてやるからさ。』
。