6話
Start
廃墟から戻って数日、私たちは手分けして情報を集めていた。
しかし、新たな進展がなく、村全体に漂う不穏な空気が私の心を重くしていた。
「私たちは本当に前に進んでいるのかな……。」
私は村の広場で一人考え込んでいた。
手のひらの中に握られたオルゴールが、冷たい金属の感触を伝えてくる。
「静空、大丈夫?」
後ろからリンが声をかけてきた。
無理に微笑もうとしたが、リンの優しい目を見て嘘がつけないことを悟った。
「……正直、不安なの。失踪事件の手がかりを見つけたいけど……何をすればいいのかわからなくて。」
リンはそっと静空の肩に手を置き、柔らかく微笑んだ。
「静空が不安になるのも無理はないよ。でも、みんなで頑張ってる。きっと何か見つかるはずだよ。」
教師たちとの協力
その日の夕方、私たちは黃島先生の音楽室に再び集まった。
紫塚先生がオルゴールの解析を終え、新たな事実を報告した。
「このオルゴール、内部に隠されたメロディがある。これを再現すれば、次の手がかりになるはず…。」
黃島先生はピアノの前に座り、解析されたメロディを弾き始めた。
静かな音色が部屋に響く中、私は目を閉じた。
廃墟で感じた不気味な雰囲気と、鐘の音が頭の中で交差する。
「……このメロディ、どこかで聞いたことがある気がする。」
私はぽつりと言った。
「何か思い出した?」
翠葉先生が尋ねる。
「確信はないけど、昔、村のお祭りで流れてたような気がして……。」
その言葉を聞いたノア先生が、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、村のお祭りの記録は資料館にもあったな。次はそれを調べるべきかもしれない。」
村の人達との会話
次の日、私たちは村の年長者に話を聞くことにした。
古びた家に住むおばあさんが、かすれた声で話を始めた。
「そのメロディは、鐘を作った職人が村に残したものだよ。あの鐘には……悲しい伝説があるんだ。」
「伝説って?」
私は身を乗り出して尋ねた。
「鐘を作った職人は、娘を亡くしてね。その悲しみを込めて鐘を作ったと言われている。そして、鐘の音を聞いた者は大切なものを思い出すと言われているんだよ。」
その言葉を聞いた私は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
自分たちの調査が、単なる謎解きではない、誰かの思いに触れるものだと気づいたからだ。
「その鐘を作った職人について、もっと教えてもらえますか?」
吏都が静かに問いかけた。
「詳しいことは私も知らないよ。ただ、その鐘は森の中で作られたって話だ。」
森への再挑戦
私たちは再び森へ向かう準備を整えた。
前回の廃墟の探索で感じた恐怖が胸に蘇るが、私は拳を握りしめて決意を固めた。
「もう一度森に行こう。今度は必ず手がかりを見つける。」
リンやリルも頷き、吏都は静かにその決意を見守っていた。
教師たちも慎重に計画を立て、森への道を案内することになった。
森の中は相変わらず暗く、どこか冷たさを感じる。
私は心臓の鼓動を感じながら、一歩ずつ足を進めた。
「静空、大丈夫?」
吏都が心配そうに声をかける。
「うん、大丈夫。怖いけど……絶対に諦めない。」
私は震える声で答えたが、その目には強い意志が宿っていた。
6話 終
次回!
【鐘の音に響かれて】
森の奥で、私たちはまた新たな廃墟を見つけた。
その中にあったのは、古びた箱と、一枚の地図……?
その地図は村全体を示しており、鐘の音の秘密へと続く新たなルートを示していた。
「これは……!?」
リルが興奮気味に声を上げた。
「まだ終わりじゃない。これからが本当の始まりだ。」
ハート沢山頂戴!
デュエルスタンバイ☆
コメント
3件
デュエルスタンバイ☆
どきどきしながら読んじゃった ! 謎が沢山でまだまだこれからどうなっていくのかすごい気になる