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夏の思い出、君との恋
真っ白な肌は透き通っていた。
夏というのに涼しげで、どこか儚さがある。
その手に触れてしまえば、消えてしまいそうに。
1.夏の知らせ
「潔!久しぶり!都会はどうよ?」
「千切!お前髪伸びたな〜、やっぱ広すぎて落ち着かねぇよ笑」
電車を降りると懐かしい景色が見えた。
改札の先に転校前の友達、千切豹馬が立っている。
「みんなは?元気してる?」
「おう、みんな就職先とか大学進学とか…まぁ色々あったからな、俺らも落ち着かねぇよ。」
(みんな緊張してる…みたいな意味か?)
千切の言葉を深く考えずに俺たちは歩き出した。
「あの駄菓子屋なくなったの!?」
「あぁ、ばあさん腰痛めて仕方なく。」
「よかった、まだ居るんだな。」
懐かしさはもちろん蘇ってくる。
でも女女しかった千切の声が低く響いていて、昔通っていた店がなくなって、1日1本しかなかった電車が3本にまで増えて。
俺が居なくなってから、確実に時は進んでいるんだと実感させられる。
「あ、蜂楽…!それに氷織と黒名…凛は?」
みんなの笑顔が引き攣ったのが分かった。
その雰囲気は異常なほど冷たい。
「…なんだよ、え、?笑凛は?」
「……凛ちゃんは…居なくなったんだ。」
蜂楽の話はこうだった。
去年の冬頃、凛が家に帰らないと親から連絡があった。
最後に見た人の話だと山の中に入っていったと言う。その話をもとに周辺を創作するも手がかりすらない。
そう、俺の転校した次の日の話だった。
「…凛は、まだ見つかってないのか?」
「……」
誰も俺の問いかけには答えてくれない。
その代わりに視線を下に向けて見せた。
「そっか、そっかそっか。」
何か話していないとおかしくなってしまう。
夏休み、俺が両親とこの田舎に帰ってきてすぐ、俺は後輩の行方不明の知らせを聞かされた。
宿泊先の宿で両親と合流する途中、教えて貰った例の山を横切るとたしかに入口には「立ち入り禁止」の文字があった。