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3 - 第三章小さな選択の重み

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2025年11月08日

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第三章:小さな選択の重み

朝、目覚めた瞬間に感じる身体の軽さは、まだ18歳の感覚のままだった。ベッドから起き上がり、カーテンを開けると、窓の外に広がる景色が一層鮮やかに見える。見慣れた街並み、通り過ぎる自転車、朝の陽光に照らされる歩道――しかしそのすべてが、28歳の記憶を持つ自分の目には新鮮に映った。

「今日も…やり直せるのか」

心の中で小さくつぶやきながら、真央は朝食をとる。母の手料理の香り、コーヒーの温かさ、テーブルの上の皿の並び。それらすべてに、かつての自分では気づけなかった細やかな幸福が見える。28歳の自分は見過ごしてきた日常の美しさを、今の自分はかろうじて認識していた。

学校への道を歩く。今日は特別に意識して、通学路の人々の顔を一つひとつ観察する。以前なら気にも留めなかった小さな仕草、笑顔、会話のトーン。どれも微妙に変化していて、世界は静かに動いていることを知らせる。

教室に入ると、友人たちが声をかけてくる。美咲は昨日と同じように微笑む。「おはよう、真央!」

「おはよう!」真央は少しだけ元気よく返事をする。自分の声が、過去の自分の声と微妙に違うことに気づくが、それも今の自分らしい。

授業が始まり、ノートを開く。教師の声はいつも通りだが、真央の心は違った。28歳の経験から、今日この授業で重要なポイントを瞬時に理解できる。頭の中に、先の展開が鮮明に浮かぶ。だが、知識を活かすかどうかは自分の選択次第だ。

放課後、真央は美咲と話す。「昨日、何してたの?」と聞かれ、自然に答える。しかし内心、少しずつ勇気を持って小さな行動を変える自分がいることに気づく。今日は、クラスメイトの困っていることを助けるために、声をかけてみようと思った。

廊下で困っている男子を見つける。落とした教科書を拾おうとしていたが、他の人は気づかない。真央は少し躊躇した後、意を決して手を伸ばす。「大丈夫?」と声をかける。彼は驚いたように振り返り、すぐに感謝の笑顔を見せた。その瞬間、胸の奥に温かい感情が広がる。小さな選択が、目の前の世界をほんの少し変えたのだ。

その日の帰り道、真央は考える。28歳の記憶を持つ自分が、18歳の体で行動することの意味。小さな選択一つで、未来は無数に分かれるのだ。もしあのとき友人に優しく声をかけなければ、もしあのとき逃げていたら、未来の人間関係や出来事は変わる。だが、その不確定さこそが、自分の人生の面白さでもある。

家に着くと、母が笑顔で迎える。「おかえり、今日も元気ね。」真央は微笑みながら頷く。小さな家の中のやり取りにも、以前の自分では気づけなかった喜びと責任を感じる。

夜、真央は机に向かい、日記を書き始める。今日の出来事、感じたこと、そして未来への小さな決意。「明日は、もっと勇気を出してみよう」と綴る。過去をやり直すことで、世界は少しずつ変わるかもしれない。だが、変えることの責任も同時に生まれる。それを受け止める覚悟が、自分には必要だと痛感する。

窓の外に月が浮かぶ。静かに夜風が吹き、遠くで電車の音が響く。真央はそっと目を閉じる。今日の小さな選択が、未来の大きな変化につながるかもしれない。心の奥で、希望と不安が混じり合いながらも、前に進む決意が固まった。

「やり直せる人生は、怖いけど面白い――」

真央は、明日もまた小さな一歩を踏み出すことを誓い、布団に身を沈めた

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