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またまたくもしんを書きました。いやね?本当はもう書く気なかったんですよ。なかったんですけど、くもしんに飢えている方を見つけてしまいまして。これは書くしかねえだろと思って全速力で書き上げてはみたんですけど、なんかおもとったんとちゃう。本当はもっとコミカルにする気だったんだ…。ちゅーするところももっと可愛らしくするつもりだったんだ…。なのになんでかめちゃめちゃやらしくなっちゃった…。苦手な方注意してください。前話以上に意味がわからん内容です。急ピッチで書き上げたからね。けど今回は2000字ぐらいしかないんで前の話より読みやすいと思います。内容は前の話の続きです。
口が寂しい。そう感じた瞬間に胸ポケットを探り、見慣れた小箱とライターを手に取る。二十歳になってから何度もこの動作を繰り返してきたせいか、ついには脊髄反射的にタバコを取り出すようになってしまった。辺りに人がいないことを確認し、咥えたタバコに火を点ける。誰にも邪魔されることのない至福のひととき___
白昼夢の中にいるようなぼんやりとした意識を、それは現実に引き戻した。
ドタドタと足音が聞こえる。それは次第に大きくなっていく。明らかにこちらに向かってきている。
間違いない、隊長だ。
「おい!!!久望くん!!!!まーたタバコを吸っているだろう!!!こっそり吸ったらバレないと思っているのだとしたら大間違いだ!!!」
「うわー…」
今日も来た。声でか。めんどくさ。さっきまでこの辺に人は居なかった。人の気配はなかったし、目視で確認しても誰の姿も見当たらなかった。僕の目や感覚が鈍っているなんてことはないはず。ということは、この人は先程まで遠くにいた。だというのに僕がタバコを吸い始めた瞬間、それに気付きここまで走ってきたらしい。途轍もない察知速度。もはや尊敬に値する。
「ちょっ、またっ…逃げるなって!!」
「嫌です、僕のことはほっといてくださいって」
「ほっとくものか!!いいから止まれ!!!」
逃げ回ること十数分。体力が尽きて足を止めると、同じく息を切らし汗でびっしょりになっている隊長が最後の力を振り絞って僕の腕を掴んだ。今日も捕まってしまった。
「っはぁっ、はぁ…毎度毎度、どんだけついてくるの…」
「ぜぇっ、はぁっ…っふ、はっはっは!!ッ今日もっ、はぁっ、俺の、勝ち、っぜぇ、っだッ、!!!」
喜んでいるようだが、息絶え絶え、顔真っ赤っか、汗だらだら、傍から見たら今にも死にそうである。流石に心配になったので、近くにあった水道の水をコップに入れて手渡した。隊長はそれを受け取ると、ぐび、と一気に飲み干してしまう。普段の慎重すぎるこの人なら絶対にこんな無警戒なことはしない。余程疲れているのだろう。
「また明日も筋肉痛になりそうですね」
「はぁっ、誰のせいだとっ…」
「はいはい、すいませんね」
「はぁ…全く…いい加減、必要な時以外は喫煙を控えてくれ。ライターとタバコは没収だ。」
「えぇー…」
嫌だ、と表情で抗議してみるが、早く寄越せ、と圧をかけられた。渋々胸ポケットに入っているライターとタバコの箱を渡す。それらを回収すると隊長は満足げに子供のように破顔した。めんどくさいとか不満だとかいう気持ちがたったこれだけのことで吹き飛んでしまうのだから、僕は大概この人に惚れてしまっている。
「あーあ、まだ今日の分吸えてないのに」
「吸わなくていい!君は長生きすることに興味がないと前に言っていたが、俺は君になるべく長く生きてほしいんだ。」
「…そう言われましても、いきなりタバコ断ちなんてしたら口寂しくてしょうがないんですよ…あ、」
「どうした?」
そういえば、喫煙の他にもう一つあったな。口寂しさを解消する方法。
「…っえ、ちょ、っと待て!」
「いいから口開けて下さい」
いきなり俺の方にぐい、と詰め寄ってきたかと思えば、口を開けろと命令された。いくらなんでもスイッチが入るタイミングがおかしすぎるだろう。
「なんでこんな前触れもなくっ、ぁがっ」
抵抗虚しく口に指を挟まれ、無理矢理開いた状態にさせられる。
「隊長のせいで今猛烈に口が寂しいんで、責任取って下さい」
「ぅ、おえひゃ、らくへ」
「…?」
「おれ、じゃ、らくても…飴とか、舐めたほうが、」
「飴よりあんたの口の方が甘いんで要らないです」
「…は?、っん…ふ、、ぅ…」
俺の口が飴より甘いってどういうことだ、という問いはいよいよ口から発せられなかった。唇が触れると同時に侵入してきた舌は、口内を弄るように、というより、味わうように動き、耐えきれずに声が漏れた。ほんのりとタバコの苦い味が、匂いが鼻からぬけた。彼の口は、そういえばいつも苦かったな。だから彼には俺の口が甘く感じるのかもしれない。
そんなことを酸素が回らなくなってしまった脳みそでぼんやり考えていると、口が離れた。再び乱れてしまった呼吸を整える。目の前の恋人は
「…あっま」
と呟いた。おそらく無意識に出た言葉だろう。俺の口は一体全体どれだけ甘いんだ。
「ふぅ…どうだ?口寂しさはなくなったか?」
「まぁ、はい。ずっとこれ続けてたら禁煙できそうです。」
「何!?!ほんとか!?ならぜひとも続けてくれ!」
「うるさ…隊長それわかって言ってますか」
「何を?」
「タバコ吸う代わりに毎回こんだけ深いキスするんですよ。それも結構な頻度で。」
「あ……やっぱり飴じゃだめか?」
「タバコ吸いたくなるんで駄目です」
「……うーーん…わかった。元はと言えば俺のわがままなわけだし、やむを得ない。」
「わかったんならもう一回口開けて下さい」
「は?え、なんで?」
「なんでって…また口寂しくなってきたから。それ以外ないでしょ」
「君は一旦自制というものを覚えろ!」
困った恋人である。まさかタバコ依存がここまで深刻だとは思うまい。文句を言ってやろうと思って開いた口は彼に塞がれてしまった。