テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「あれ?その傘、どうしたの?」
駅のホームで電車を待っていると、ななっし〜に会った。
「行き、そんな傘持ってなかったよね?」
行きも1回、ななっし〜とすれ違ったのだ。
「さもさんに借りた。」
「へ〜。さもくんに感謝しときなよ。」
「ななっし〜こそ、傘はどうした?」
「常に持ち歩いてるんだよ。いつ降ってもいいようにね。」
「意外。」
「えっ!?俺、そんな風に見えない?」
「見えない。」
「え〜、まじかよ…」
そうこうしていると、電車が来た。乗車する。
凸もりは2駅後、ななっし〜は3駅後の駅で降りる。
「そういえば、その傘、いつから持っているとかって聞いた?」
「えっ?」
「あっ」
そう言ってななっし〜は何故か口を手で押さえた。
「でも、前さもさんの家に行った時はなかった気がするよ。確か1ヶ月くらい前だけど…」
「そうなんだ。」
「でも、なんでそんな事を聞くの?」
「え?いや、ちょっと…ね?」
「まぁ、何でもいいけど。」
電車で話すのもマナー違反だと思ったのか、そうして会話は終わった。
『次は☓☓駅〜☓☓駅〜』
「あ、じゃあ俺は降りるわ。」
「おっけ〜。」
そうして駅に着き、凸もりは降りていった。
扉は閉まり、電車が動き出した。
「ふ〜、ちょっと怪しまれちゃったかな。」
ななっし〜はため息をつく。
「俺が最後にさもくんの家に行ったのは、3ヶ月前なんだよね。でも、1ヶ月前に行った凸さんでさえもあの傘、見たことないって言ってたし…」
ななっし〜は窓の外を見る。
「ここ1ヶ月は雨が降っていない。今日が今月初めての雨だ。だから、きっとさもくんも長傘なんか持ち歩かない。そもそも、ここ最近リアルで会ってないしね。」
軽く伸びをする。
「でもなんで、あの傘、安心感が凄かったんだろう?初めて見たやつだったのに。」
「まるで、昔からずっとあの傘を見てきたような………」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!