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紡ぐは煩雑、千切るは容易

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紡ぐは煩雑、千切るは容易

10 - 最終話 「何度だって」

♥

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2024年01月08日

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knside.



その時響いたのは、ドアを開ける乾いた音と、妙に間延びした声だった。


川谷「……大層感動的なムードのところ申し訳ないねぇ」


nk「……!川谷、くん……」


そこに現れたのは、


諸悪の根源、とでも言うべきであろう川谷くんがいた。


sha「……てめぇ、何しに来たんだよ」


川谷「怖い怖い。そんなに睨まないでよ」


こんな時でも薄ら笑いを浮かべている目の前の人間は、もはや不気味だった。


川谷「悪いが僕は、君たちじゃなくNakamuさんに用があるんだ」


nk「……用って、何……?」


川谷「ずっと前から聞きたいことがあって」


川谷「……なぜ、あなたのような人間が、このような碌でもない人間と共にいたがるのか、と」


そして川谷くんは、俺の方をちらりと一瞥した。


nk「…………碌でもない……?きんときが……?」


nk「……お前が言うな」


nk「きんときは、どんな時だってオレたちのことを考えてくれてた……!傷ついたって、苦しんだって、ずっとオレたちのことを……!!」


川谷「でもあなたたちは僕の嘘にまんまと騙されてそいつから離れた。あなた達が傷つけた。違いますか?」


nk「……っ!!」


br「…………」


川谷「傷つけるならいっそ、最初からそいつと関わらなければ良かったんじゃありませんか」


川谷「それなのに、あなたはそいつと共にいるという選択をした。なぜです?」


nk「…………オレが、オレたちが、きんときのこと、大好きだからだよ。大切だからだよ」


nk「お互い傷つけあったけど、それでも、一緒にいたかったから」


nk「きんときがそう、望んでくれたから」


kn「……Nakamu……」


川谷「…………っ……」


川谷「……なぜ、お前なんだ」


kn「……え……?」


川谷「……なぜ、僕ではないのだ!!なぜ、Nakamuさんの隣に立つのは、お前なのだ!!!」


先程の不気味な笑顔は消え去り、川谷くんは声を荒らげ、瞳には怒りが宿っていた。


kr「……っ!?」


kn「……は……?」


川谷「なぜ……!!お前のような中身のない人間が!!」


川谷「Nakamuさんは僕をいじめから救ってくれた!!お前とは大違いなのだ!!」





kn「……そう、だね。俺は中身のない人間だったよ」


kn「他の人がいじめられてる所を救うなんて、俺にはできっこない」


kn「…………でも、変わったんだよ。Nakamuたちと出会って」


kn「昔は、本当に空っぽだった。成績が良ければ、それで親や周りは褒めてくれたから」


kn「友達なんて、邪魔な存在だって、思ってた」


kn「でも、今は違うんだよ」


kn「空っぽな俺を、満たしてくれた。俺も、友達のために傷つくことだって、苦しむことだって、できるようになった」


kn「それが正しい友達の形なのかは分からないけど、友達に正解なんてない」


kn「……俺は、変われたんだよ」


br「……きんさん……!」


俺は、思いの丈を全てぶつけた。




もう、揺るがない。




俺は、変われたから。



kn「……もう、中身のない人間だなんて、言わせないから」


川谷「……っ……!!」


kn「……ほら、もう朝のホームルーム始まっちゃう。行こ、みんな」


nk「……うん!」


br「……きんさん」


kn「ん?何?」


br「……頑張ったね」


kn「……うん……!」


✧• ───── ✾ ───── •✧


その後。


無事に俺たちは元の関係を取り戻し、また6人で過ごすようになった。


川谷くんはというと、その後も俺たちに嫌がらせを続けていたが、先生に見つかり、親にも激怒されて家に引きこもっているようだ。





nk「きんとき〜!今日一緒にゲーセン行こ!」


kn「お、いいじゃん!行こ行こ」


sha「スマイル、早くしろよ」


sm「待て、まだ本を読み終わってない」


kr「スマイル〜、置いてくぞ〜!」


br「……きんさん、良かったね」


kn「…………ぁ……ふふ、ほんと、良かったよ」


kn「……ありがとね」


br「いいえ〜!ほら、早く行こ!置いてかれちゃう!」


kn「うん!」




俺たちの絆は、一度絶たれてしまった。



けど、何度すれ違っても、俺たちはまた同じ糸を紡ぎ始める。



傷つくのだって、苦しむのだって、



全ては、また糸を紡ぎ直すために必要なことなんだ。



俺たちが紡ぐ糸は、友情は、これからも長く長く、



続いていく─────。





完結!!!

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