knside.
その時響いたのは、ドアを開ける乾いた音と、妙に間延びした声だった。
川谷「……大層感動的なムードのところ申し訳ないねぇ」
nk「……!川谷、くん……」
そこに現れたのは、
諸悪の根源、とでも言うべきであろう川谷くんがいた。
sha「……てめぇ、何しに来たんだよ」
川谷「怖い怖い。そんなに睨まないでよ」
こんな時でも薄ら笑いを浮かべている目の前の人間は、もはや不気味だった。
川谷「悪いが僕は、君たちじゃなくNakamuさんに用があるんだ」
nk「……用って、何……?」
川谷「ずっと前から聞きたいことがあって」
川谷「……なぜ、あなたのような人間が、このような碌でもない人間と共にいたがるのか、と」
そして川谷くんは、俺の方をちらりと一瞥した。
nk「…………碌でもない……?きんときが……?」
nk「……お前が言うな」
nk「きんときは、どんな時だってオレたちのことを考えてくれてた……!傷ついたって、苦しんだって、ずっとオレたちのことを……!!」
川谷「でもあなたたちは僕の嘘にまんまと騙されてそいつから離れた。あなた達が傷つけた。違いますか?」
nk「……っ!!」
br「…………」
川谷「傷つけるならいっそ、最初からそいつと関わらなければ良かったんじゃありませんか」
川谷「それなのに、あなたはそいつと共にいるという選択をした。なぜです?」
nk「…………オレが、オレたちが、きんときのこと、大好きだからだよ。大切だからだよ」
nk「お互い傷つけあったけど、それでも、一緒にいたかったから」
nk「きんときがそう、望んでくれたから」
kn「……Nakamu……」
川谷「…………っ……」
川谷「……なぜ、お前なんだ」
kn「……え……?」
川谷「……なぜ、僕ではないのだ!!なぜ、Nakamuさんの隣に立つのは、お前なのだ!!!」
先程の不気味な笑顔は消え去り、川谷くんは声を荒らげ、瞳には怒りが宿っていた。
kr「……っ!?」
kn「……は……?」
川谷「なぜ……!!お前のような中身のない人間が!!」
川谷「Nakamuさんは僕をいじめから救ってくれた!!お前とは大違いなのだ!!」
kn「……そう、だね。俺は中身のない人間だったよ」
kn「他の人がいじめられてる所を救うなんて、俺にはできっこない」
kn「…………でも、変わったんだよ。Nakamuたちと出会って」
kn「昔は、本当に空っぽだった。成績が良ければ、それで親や周りは褒めてくれたから」
kn「友達なんて、邪魔な存在だって、思ってた」
kn「でも、今は違うんだよ」
kn「空っぽな俺を、満たしてくれた。俺も、友達のために傷つくことだって、苦しむことだって、できるようになった」
kn「それが正しい友達の形なのかは分からないけど、友達に正解なんてない」
kn「……俺は、変われたんだよ」
br「……きんさん……!」
俺は、思いの丈を全てぶつけた。
もう、揺るがない。
俺は、変われたから。
kn「……もう、中身のない人間だなんて、言わせないから」
川谷「……っ……!!」
kn「……ほら、もう朝のホームルーム始まっちゃう。行こ、みんな」
nk「……うん!」
br「……きんさん」
kn「ん?何?」
br「……頑張ったね」
kn「……うん……!」
✧• ───── ✾ ───── •✧
その後。
無事に俺たちは元の関係を取り戻し、また6人で過ごすようになった。
川谷くんはというと、その後も俺たちに嫌がらせを続けていたが、先生に見つかり、親にも激怒されて家に引きこもっているようだ。
nk「きんとき〜!今日一緒にゲーセン行こ!」
kn「お、いいじゃん!行こ行こ」
sha「スマイル、早くしろよ」
sm「待て、まだ本を読み終わってない」
kr「スマイル〜、置いてくぞ〜!」
br「……きんさん、良かったね」
kn「…………ぁ……ふふ、ほんと、良かったよ」
kn「……ありがとね」
br「いいえ〜!ほら、早く行こ!置いてかれちゃう!」
kn「うん!」
俺たちの絆は、一度絶たれてしまった。
けど、何度すれ違っても、俺たちはまた同じ糸を紡ぎ始める。
傷つくのだって、苦しむのだって、
全ては、また糸を紡ぎ直すために必要なことなんだ。
俺たちが紡ぐ糸は、友情は、これからも長く長く、
続いていく─────。
完結!!!
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