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「きたーーーーー!!」
夜、リビングにいた私の耳に、有紗のテンションMAXな声が飛び込んできた。
びっくりして振り向くと、有紗がスマホを握りしめて、ソファの上で飛び跳ねてる。
「ちょ、何!?うるさい!」
「だって!俊哉から返信きたんだもん!!」
「えっ!?なんて!?」
美桜も興味津々で近づいてきた。
有紗はニヤリと笑って、スマホの画面を見せびらかす。
── **「おう、俺も楽しみ」**
「……それだけ?」
私と美桜は思わず顔を見合わせる。
「いやいや、これでも嬉しいの!いい?”おう”って言ってる時点で、俊哉は絶対行く気満々!!それに”俺も”ってことは、あたしが楽しみにしてるの、分かってるってことじゃん!?」
「ポジティブすぎん?」
美桜が呆れたように言うけど、有紗は完全に舞い上がってる。
まぁ、楽しそうだからいいか。
***
「……はぁ」
その後、部屋で模試の勉強をしていたら、大和の深いため息が聞こえてきた。
「ちょっと大和、大丈夫?」
「……あ、姉ちゃん」
机に突っ伏してる大和。横目で見ると、勉強してるはずのノートに「カップル」「会話」「デート?」とか謎の単語が書かれてる。
「……なにそのメモ」
「うるせぇ」
明らかに千奈ちゃんのことだな、これ。
「てか、大和って千奈ちゃんとどんな話してんの?」
「……最近、あんま話せてねぇ」
「え?」
「避けちゃうっつーか……どう話せばいいか分かんなくなる」
大和、頭を抱えてゴロンとベッドに転がった。
「カップルって、何すりゃいいんだよ……」
「……あー、なるほどね」
大和が悩んでるのって、”好き”って気持ちはあるのに、どう行動していいか分からないってことか。
「まぁ、最初から完璧にできるわけないじゃん」
「……そういうもん?」
「そういうもん!」
「……でも、千奈って”しっかり者”だろ?俺、変なことしたら引かれそうでさ……」
「いやいや、それはないでしょ。むしろ、大和が何か頑張ろうとしてたら、千奈ちゃんは応援してくれるんじゃない?」
「……そうなのかな」
大和はまだ不安そうな顔してるけど、少し考え込んでる。
うん、いい方向に向かいそう?
***
それにしても、恋の悩みが多すぎる。
有紗は俊哉に夢中だし、大和は千奈ちゃんのことで悩んでるし。
私は……?
(颯真と会ったら、普通に話せるのかな)
ちょっとドキドキする。
……みんな、恋って難しいね。