🦁⇨悠佑さん
🐱⇨いふさん
カタカタカタカタカタカタカタカタ………。
平凡な毎日。パソコンを打っている自分。
その横で同じようにパソコンを打つ1人の男性。
彼は獅子尾 悠佑先輩。俺が入社する2年ほど前から此処で働いている。
🦁「ふぅ…やっと終わった……」
俺の横で悠佑先輩は溜息を漏らしながらぐぐっと伸びをした。
🐱「先輩!お疲れ様です!」
俺はそんな彼に飲み物の缶を手渡す。
それは彼の好きな苺ミルク。
🦁「…!ありがとうな…!」
そう言って彼はにこっと微笑む。
(可愛い。可愛過ぎやろ…)
実は俺は先輩のことが好きなのだが,未だに気持ちを伝えられていない。
🐱「あ,せや!どっかご飯行きませんか?」
俺はどきどきしながら誘ってみる。
🦁「おー!ええやんいこー!最近見つけた美味い店あってさ!一緒に行きたいって思っててん!」
めっちゃ薦めてくれる。嬉しい…
🐱「ありがとうございます!是非是非!」
そう返すと彼は再び笑顔を見せた。
2人で並んで街中を歩く。
こういうのもありだな、と少し思っていた。
🦁「かなり暗なったな…」
なんだか少し先輩の声が震えているように感じる。
🐱「先輩,大丈夫ですか…?」
恐る恐る尋ねると,先輩はきゅっと目を瞑りながらぽつりと言った。
🦁「…俺…暗いとこ…怖いねんッ……」
え可愛過ぎやろなにこの生物。
悠佑先輩はあまりにも怖かったのか涙目になっている。
俺は冷静さを取り戻し深呼吸をし,ゆっくりと彼の手を握った。
彼は涙目で俺を見上げた。
俺は先輩を落ち着かせる為に言葉を並べた。
🐱「…大丈夫ですよ…!手,握ってれば…怖くないですよ…!」
🦁「あ,ありゃとっ…、」
恐怖で呂律が回っておらず,震えながらも彼は手を握り返してくれた。
再び並んで歩き出すと,突然先輩は止まった。
俺たちのいた所を眺めている。
🐱「どうしたんですか…?」
悠佑先輩は不思議そうに首を傾げる。
🦁「あれぇ…こんな道あったっけ…?」
俺は先輩の見ている方を見るとそこには確かに道があった。彼も行ったことが無さそうだ。
🦁「……行ってみるか…?」
暗いところが苦手な筈なのに先輩は少し興味があるようだ。
俺は黙って首を縦に振った。
その道は俺たちのような成人男性ふたりが並んでギリギリ進めるくらいの狭さ。
(先輩,大丈夫かな…)
心なしか先輩の手が震えている感じがする。
所々道に差し込む光が先輩の怖さを倍増させたのだろうか。
先輩が弱音を吐く事はあまりないから,先輩は無理しがちなところがある。
この前も,休んでいた同僚の仕事を引き受けた結果倒れてもうたし…
そんなことを考えていると,道の端まで辿り着いた。
そこには店があった。その店に入ると更に暗さが増した。
🦁「ひッ…」
先輩が声を漏らす。俺はその声を聞いて急いでスマホのライトをつける。
まだ先輩は震えてはいるが,マシにはなった気がする。
そのまま進むと,ぽちゃんっ、と水の垂れる音がした。
🦁「へぁッ…!?」
先輩はよほど怖かったのか,俺の右腕ににしがみついてきた。
🐱「ちょッ…先輩ッ…水ですよッ…!水…!」
🦁「へっ…?水…?良かった……」
先輩の目には涙が溜まっている。俺はその涙を優しく拭ってあげた。
更に奥に進むと,扉がある。軽くノックをして入った。
ここ以外に別れ道は無かったし,なぜこんなに長い通路を作ったのか不思議に思った。
👤「いらっしゃいませ。」
カウンターらしきところから人影が見える。
🦁「ひッ…!?フラッ…」
先輩は急すぎて恐怖を感じたのか,俺の方に倒れ込んできた。
🐱「…ッわっ…!?」
🦁「ぁ…ごめん…」
🐱「いえ…全然…」
俺はその人影を見た。
その人はこの店の店長さんだった。
店長さんは,近くのベンチで悠佑先輩を休ませてくれた。
先輩は顔が青ざめている。俺は先輩の頭を優しく撫でてあげた。
👤「…だ…大丈夫ですか…?(焦)」
🐱「ぁ…はい…多分大丈夫だと…意識はありますし…」
👤「良かった……お客様。こちらの雑貨店にいらしたということは,何かお求めの物があるのでしょうか…?」
🐱「…雑貨…店…?」
👤「はい,どのような商品がご希望でしょうか?」
🐱「ぁ…えっと…」
俺は店長さんの首元で光っているネックレスに目を向けた。
👤「ぁ,こちらのような商品でしょうか?」
店長さんが首元に触れる。
🐱「ぁ…他のものも見せて頂いても…?」
👤「分かりました。こちらで御座います。」
店長さんが示した先には綺麗なアクセが沢山並んでいた。
🐱「……!!なんやこれ…ばり綺麗やん…!」
🦁「すげぇ……」
いつのまにか隣には先輩がいた。
🐱「悠佑先輩…!?大丈夫なんですか…!?」
🦁「大丈夫やって、!それより,選ぼーや!」
俺は不安な心を放り投げ,先輩と一緒に選ぶことにした。
その時俺はあるものに目を惹かれた。
🐱「…!」
🦁「…!これ……」
先輩も良さげな物を見つけたらしい。青色の透明感溢れる指輪だ。
俺も,黄色と黒のグラデのピアスを手に取り,店長さんのところに向かった。
👤「あの…そちらの方は大丈夫ですか…?」
店長さんは先輩の方を指し,心配そうに尋ねてきた。
🦁「大丈夫っすよ、!ちょっとした貧血ですッ…!」
👤「そ,そうですか、、?」
なんやかんやで会計も終わった頃にはもうかなり遅くなってしまっていたので,俺達は家で飲む事にした。
🐱「ごめんなさい…こんなに遅くまで…しかも家まで上がらせて貰って…」
🦁「大丈夫やでッ…、また行けたらええな…」
🐱「また今度連れてってくださいね…!」
🦁「…!おんッ…!」
リビングに入ったその時俺はこの時急に思った。急ではないな…今までずっと思ってた。
_いつ“アレ”を渡そうか___。
でも,ここで急に「渡さなければいけない」と本能が言っているのだ。
今までずっと,いつ,どこで渡したら良いのかわからなかった。それは,今,ここで渡す。
🐱「あ、の…悠佑先輩ッ……」
俺は鞄に忍ばせたアレに手を伸ばしながら,先輩の名を呼んだ。
🦁「?どないしたん、そんな改まって笑」
🐱「じ,実は,お,俺__」
あぁぁ言えへん…!!どないしよ…
大丈夫や、俺ならいける…!
🐱「スゥゥッ…ハァッ…」
俺はソレを手に取った。
🐱「先輩の事,大好きです。」
🦁「へ…ッ……、?」
🐱「俺と…お付き合いさせて貰えませんか…?」
🦁「ッ…、!?」(照)
そう。“アレ”とは,婚約指輪。
片膝をついて,箱を開く。まさにプロポーズの姿勢。そんな俺に先輩は驚いた様子で顔を赤らめていた。
🦁「…今から,考えても、ええか…?」
🐱「へッ……」
まじか、、と思い俺は唇を噛んだ。
🦁「“初デート”の場所」
🐱「ッ…!?」
俺は嬉しさのあまり崩れ落ち,泣き出してしまった。
先輩はおろおろしながらも,ぎゅっと俺のことを抱きしめてくれた。
嗚呼
こんな先輩が
大好きや____。
🦁「俺がまろの事振ると思ったん…?w」
🐱「そりゃ、怖かったよぉぉ…w」
🦁「ま,俺も、大好きやけどな、!」
to be continued…
コメント
3件
可愛いい〜〜 神作だ!