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南雲修一がコーヒーブレイクを始めて10分ほどで、頼りになる乙女たちが彼を発見した。
「あっ! 南雲さーん!!」
「みみっ! 芽衣たちがお手伝いに来たです!! みみみっ!!」
まだ第4層なのに、なんだか疲れている南雲修一。
もしかすると、サーベイランスから流れて来るビデオレターが影響しているかもしれない。
「ああ。ありがとう。小坂くんに木原くん。正直、私だけでは不安だったところだよ。こんなに若い女の子をおじさんが頼って情けない限りだが」
そんな訳で、南雲は最大限の警戒をしながら協会本部との回線を開いた。
『うーっす。どうしたっすか。南雲さん』
「やーめーろーよー!! ……いや、やらないのかよ!! ビデオレターは!?」
『南雲さん。今は緊急事態っすよ? そういう、ふざけた態度。自分、よくないと思うなぁ』
「私は生きて帰ったら、まず君のご実家を訪ねるからな!! 絶対だぞ!!」
南雲はコーヒーをもう一杯飲みながら、山根健斗Aランク探索員に状況を伝えた。
攻略パーティーが3人になった事を聞いた山根は、心の中で「良かったすね。これで危険は減ったっすよ」と呟いたが、決して口には出さない。
『南雲さんがクソみたいなコーヒー飲んでる間に、先の階層をサーチしてきたんすよ』
「それは助かるな。……ちょっと待って。今、クソみたいって言った?」
『次の第5層が難所っすね。いわゆるモンスターハウスっす。強力なヤツがうようよと我が物顔で歩いてるっすよ』
「そうか。それならば、なおのこと小坂くんと木原くんの助太刀がありがたいな。あとさ、私のコーヒーをクソみたいって言ったよね?」
山根は「今、情報を送るっすね」と言って、サーベイランスのモニターにモンスターの種類一覧を表示させた。
『ダンジョンモンスター百選』に名を連ねる獰猛な獣タイプのモンスターが多く、これはもしかするとかつて通じていた異世界・ウォーロストが影響しているのかもしれなかった。
かの極寒の地でも、獣型のモンスターが多く生息している。
「以降の階層はどうなっている?」
『あとは結構サッパリしてるっすよ。第9層が少しだけ混雑してるっすね。でも、とりあえず難所が次の第5層なのは間違いないっす』
南雲は「分かった。ありがとう」と言って通信を終えた。
「小坂くん、木原くん。煌気の残量はどの程度だね?」
「わたしはまだまだ元気です! 『苺光閃』なら、あと3発は撃てちゃいます!!」
「ああ、そうか。君は相変わらずの煌気総量だなぁ。木原くんは?」
「みみっ。芽衣はちょっと余裕ない感じです。半分くらいしか残ってないです。ごめんなさいです。みみっ」
南雲は「とんでもない。地上で戦いを終えた後に駆け付けてくれているだけでも本当に嬉しいんだから」と芽衣を元気づけた。
続けて、彼は言う。
「では、早速第5層の攻略に取り掛かろう。私が先陣を切る。小坂くんはミドルレンジから援護を頼む。木原くんは状況に応じて戦局に加わってくれ」
「はいっ! でも、なんだか不思議な感じですよぉー。南雲さんと同じパーティーでダンジョン攻略するなんて!」
「確かにね。私もまさか本格的なダンジョン攻略をする事になるとは思いもしなかったよ。申し訳ないが、ブランクがあるからね。2人を頼りにしている」
莉子と芽衣はニッコリ笑って応じた。
「任せてくださいっ! おじさんの扱いには慣れてますから!! えっへん!!」
「みみっ! 芽衣も、おじさんを傷つけない言葉遣いを日々学んでいるです!! みっ!」
「そう言えば、私って逆神くんの中身より若いのにな……」と思うにつけ、南雲の心が少しだけモニョっとした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
第5層は山根の報告通り、モンスターで溢れていた。
余りにも数が多いので、彼らは満足に身動きが取れない様子。
僥倖であった。
「これは好機だ! 『双銃』!! 『篝火草・踊』!!」
監察官室対抗戦で山根健斗に奪われたままになっていた『双銃』だが、今回の作戦に際し再び所有権は南雲の元へと戻っていた。
『双銃』の長所は少ない煌気で強力なスキル弾を撃つことができる点。
さらに、広域を攻撃しても良し、目標をピンポイントに絞っても良しと、使用者の要望にだいたい応えてくれる万能イドクロア装備。
「すまない、小坂くん! 2匹ほど討ち漏らした!!」
「了解です! やぁぁぁっ! 『轟・旋風波』!!」
「みみーっ! 2人とも強いです! 芽衣は久しぶりに見学ポジションです! やっぱりここは落ち着くです!! みみぃっ!!」
南雲の銃捌きもなかなかのもので、両手に持つ2丁拳銃は360度、全方位が射程に入る。
それでもいくつか仕留め損なう事もあるが、南雲も確実に息の根を止めるのではなく、アバウトに攻撃を繰り返しているのでそれは織り込み済み。
小坂莉子と言う探索員の実力を信頼しているからこその分業スタイルであった。
「よし! あと12匹だな!! 大きいのを喰らわせる! 『金鳳花・繚乱』!!」
南雲が『双銃』を持ち、高くジャンプする。
続けて天井に煌気で張り付き、猛烈な勢いの銃弾の雨でモンスターたちを討伐していく。
「やれやれ。最後に残ったのがアレか。少し厄介だな」
「あっ! マーゼルタイガー!! 2年前のモンスター格付けで10位だった子ですね!」
「さすが、詳しいな小坂くん」
「えへへー。六駆くんがいたら絶対喜んだのにぃー」
「みみっ。さてはあのトラさん、イドクロア持ちです? みみっ!」
「そうなんだよぉ! あの紫色の牙! 触るだけで人間の致死量を超える毒を含んでるんだけどね! とっても希少価値の高いイドクロアなんだよぉ!」
南雲が『双銃』から『双刀』に装備を持ちかえた。
マーゼルタイガーは素早い動きをするため、確実に仕留めるには接近戦がベター。
その分、前述の毒の牙には注意が必要だが、銃撃でチマチマと削っていくよりは時間短縮を優先すべきだと監察官一の知恵者は考える。
「私が注意を引き付けるからね。2人にはトドメを任せる!!」
そう言って、南雲はマーゼルタイガーへと駆けて行く。
トラはトラで「なんじゃい、おどれぇ」と威嚇代わりに毒液を吐く。
「これはなかなか! 久しくモンスターと戦っていないものだから、感覚を取り戻すのが骨だな! しかし!!」
「やぁぁぁぁっ! 『伸びる苺光閃剣』!!」
南雲が本気を出す空気だったのに、莉子の使った新スキルが全てをさらっていった。
これは、六駆がカルケルに収監される前に莉子に伝授しておいた、『苺光閃』の形態変化スキルの1つ。
普段は放出し続ける『苺光閃』をある程度のところで凝固させる事で、剣で一突きするように鋭い攻撃を繰り出す事が可能になる。
さらに、使用煌気も少なくて済むと言う良い事づくめ。
コントロールが難しいため、未熟な莉子が使うと暴発し彼女にも危険が及ぶと考えてこれまで教えて来なかった六駆だったが、もう良いだろうと言う判断である。
そして、莉子も師匠の期待に応えて見せた。
「……小坂くん。新スキル使うなら言ってよ。私、ものすごくドキドキしてるよ。あれ、うっかり喰らったらね。私、多分死んじゃう」
「えへへー。平気ですよぉー! わたし、失敗しないので!!」
「キメ台詞を大御所から引っ張って来る辺りに、怖いもの知らずの恐ろしさを感じるなぁ。まあ、いいか。進もう! 時間が惜しい!!」
「はいっ!」
「みみっ!!」
奮闘は続き、結果、わずか1時間でドノティダンジョン第11層まで到達した3人。
ここまでくれば、隣のカルケルに移動するだけ。
そこには異界の門がある。
コメント
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読み終わりました〜! 第399話、すごくテンポよくて面白かったです!特に莉子ちゃんの「伸びる苺光閃剣」にはビックリしました…新スキルかっこよすぎです😳💕 あと、南雲さんが内心「私って逆神くんの中身より若いのにな…」ってモニョるところ、ちょっと笑っちゃいました😂 芽衣ちゃんの「おじさんを傷つけない言葉遣いを学んでる」もじわじわ来ますね。 三人の連携、めっちゃ頼もしかったです!次は異界の門…どんな展開が待ってるのか気になります🌙