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「ねえ、覚えてる?」
彼は優しく微笑んで、私の目を見つめた。
「何を?」
私は少し照れくさそうに答えた。
「君が言ったこと。『愛してる』って。」
その言葉が私の胸を温かく包み込んだ。
あれは、私たちが初めて出会った日、まだお互いに名前すら知らなかった頃のこと。
あの時、私がぽつりとつぶやいたのは、ただの冗談だった。でも、今、こんな風に彼が覚えているなんて思いもしなかった。
「もちろん覚えてるよ。」
私は少し恥ずかしそうに答えた。
彼が前に出てきて、私の手を取る。その温もりが、また私の心を動かす。
「でも、君が本当に言いたいことは、もっと素直な『愛してる』だろ?」
彼の言葉は、私の心を打つ。あの時、私はただの冗談で言っただけだった。でも、今の私の気持ちは、本当にそう思っている。
「うん。」
私は彼を見つめた。
「本当に愛してる。」
その瞬間、私たちの間に何も言葉は要らなかった。ただ、お互いに微笑みあって、時間が静かに流れた。
だけど、ふと彼が少し寂しげに言った。
「でもさ、僕たちの『愛してる』って、ちょっと変わってるよね。」
私は驚いた。
「どういう意味?」
「だって、僕たちが愛を交わすたびに、何度も新しい『愛してる』を見つけてるから。前に言った『愛してる』も、今の『愛してる』も、少しずつ違ってて。」
彼の言葉に、私は胸がきゅっとなった。
確かに、最初に言ったあの言葉と、今言っている言葉では、意味が少し違う。でも、それは変わらない気持ちから生まれたものだから、きっと同じなんだと思う。
「それでも、私たちの愛は続いているよね。」
私は彼に微笑んだ。
「ずっと続くと思うよ。」
彼も微笑んでくれた。
その後、私たちは手をつないで、静かな夕日を見つめた。
愛は、言葉だけではなく、時に行動や、目に見えないものとして形を変えながら続いていくものだと思った。
私たちの『愛してる』の続きを、ずっと見守りながら。