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『やぁ、新入生の諸君。』
そう、この学校長である1人の男性が告げる。
入学式の後の体育館で行われる新入生だけの説明会。広々とした体育館で、私がいた小学校まるまる収まり切りそうだ。この学校は寮生の学校だ。だから親と離れて暮らさなくてはならない。そうしていくうえでの心構えや行動について校長が語っていた。
穏やかな笑顔で話す校長。
年は若そうに見える。30代くらいだろうか。
いままでこんな若い校長先生は見たことがなかった。
淡々と話していくその話し声はどこか緊張感があり、余裕そうにも聞こえた。しかも少し不気味で、新入生になる私たちにはさらなる不安と緊張を与えた。
『では、当学校について説明しよう。』
謎大きこの優秀な高等学校の名前は
【優秀高等学校】。そのまますぎる名前だが、実力は確かなもので、人気な学校ではある。
ここには以前通っていた中学校での知り合いの先輩方も多く進学している。スポーツや芸術などの面でも強豪校なのだ。私は中学の頃やっていた、サックスという楽器を吹いていた。もちろん吹奏楽部に属していた。ここの学校は吹奏楽も強くて、私が通っていた中学校の部活の先輩方はほとんどここへ行った。だが先輩たちがここの学校に入ってからは寮生だからかまったく連絡が取れなくなった。そのため先輩たちに会うのが実に楽しみだ。そんなことを思っているうちに、校長は次の話を始めた。
『皆さんは、高校面接の時にこんなことを聞かれたと思います。』
校長の声は低くなり、私たちにさらなる緊張を与える
『____ 貴方の正義とはなんですか、と。』
校長は笑顔のままだった。しかし実際に発した声はドス黒い、悪役のような口調だった。確かに聞かれた。こんなことも聞くんだ、って思った。
『貴方たちは、その問いに対してなんと答えましたか?』
校長はその問いをした後、しばらく黙った。
その時、急に照明がパッと消えた。
真っ暗だ。体育館の窓のカーテンが開いていたはずだが光がまったくない。いつのまに閉めたんだろうか?新入生たちがザワザワし始める。
しばらくしたのち、ステージ側の照明のみがパッと光った。
そこで目にした光景に対して、私たちは絶句した。
『新入生の諸君、君達には期待しているのだよ!』
さっきまで穏やかな笑顔で話していた校長が、ステージ中央で話し始めた。
だがさっきまでの笑顔とは違う、不気味で恐ろしい笑顔で話していた。
『みんな、改めて入学おめでとう。』
『知っている通りここの教育方法は誰も知らない。知らないようにしている。』
生徒達の話し声が止まない。
なぜなら目の前の光景が幻ではないかと錯覚してしまうほどの光景だから。
『今からその教育方法を教えようと思う!』
校長が甲高い声でそう叫ぶ。
なんと恐ろしい光景だろう。この世に存在していいものなのだろうか。
『それは_____』
『”自分の正義を貫くこと”‼︎』
周りにいる職員は無表情で大人しく立っているだけ。まるで校長を引き立たせるように。主役を引き立たせる脇役のように。
『自分の正義を貫くことができたもののみ卒業ができる。そういうシステムだ。』
『そう、認められなければいけない。』
新入生の中には、失神する者もいた。だが職員達はお構いなし。とにかく大人しく立っているだけだ。
『目の前の光景に驚いているだろう?絶望してるだろう?』
『いまこそ、自分の正義を貫くんだ』
校長が熱く語っている。目の前の光景がなければ、感動的な話だったかもしれない。校長はただ、ずっと笑顔だった。
『この中に君たちの顔見知りの先輩達もいるだろう』
『それを、利用させてもらう。』
…なんのために?なぜ?どうしてこんなことをするの?自分のため?誰かのため?どうして?
こんな疑問を皆思うだろう。
だが、私が思うことはただ一つだけだった。
『____さぁ、今こそ勇気を出そう‼︎』
『そして、自分の正義を貫き、目の前の状況を変えるのだ‼︎』
目の前に広がるのは、体育館のステージ場のすみずみまでひろがる大きな牢屋。一つ一つの牢は小さく、それが何百もの数があり、一部屋に1人入っていた。ざっと全部で600人だろうか。泣いている者もいればもう諦めた顔の者もいる。全員ボロボロの服を着ていて、中には仲良かった先輩もいて、とにかく腹が立った。
『____さぁ、いよいよだ‼︎』