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今日の克巳さん、いつにも増してしつこく責めてくるな――これで何回目だっけ?
「もぉっ……ダメだって、ばぁ!! あぁっ、そんなに…したら、壊れちゃうって。ぁあ、あんっ」
俺の腰を持ち上げながら、真上から貫くような恰好をとらされる身になってほしい……。すっごく恥ずかしいのもあるけれど、それ以上に感じさせられて、さっきからイカされっぱなし。
「選挙戦が始まったら、こんなことしてる、くぅっ……余裕なんて、ないだろ」
「ひゃっ、あっ、ぁあっ、も…絶対っ、する、クセにっ」
ふたりきりになった途端に、目の色を変えて俺に触れてくるはずなんだ。
『たまには、息抜きしなきゃ。それに溜まっているだろうし』
とか何とか言っちゃって、俺が一番感じる部分を口に含み、簡単にイカされちゃうんだろうなぁ。こうやって心身ともに癒してくれる有能な秘書は、どこを捜したっていないだろう。
それにイヤというほど感じる、克巳さんからの独占愛――。
上げていた腰を下ろして俺を横たえさせ、ぎゅっと抱きしめた。だけど腰の動きを止めずに、ずーっと感じさせるのって、すごいと思うんだよね。
「愛してる、稜……」
囁くように告げられた言葉と一緒に、重ねられる唇。俺も愛してるって言いたいのに、それを飲み込むような、熱いくちづけをする。
ねっとりと絡められる舌と、音を立てながら下半身に与えられる刺激が強すぎて、克巳さんの背中にガリッと爪を立ててしまった。
「痛っ! ほどほどにしてくれ。快感が遠のいてしまう」
口ぶりは余裕がありそうだけど、表情は全然それを示していない彼に、ニッコリと微笑んでみせた。俺だって余裕がないんだから。
中でどんどん質量を増す克巳さんのモノが、ダイレクトにいいトコロを擦りつけるから、多分あと3分も持たない。イクなら、一緒にイきたいところなんだけど――。
「克巳さ……っ、俺の、お願いぃ…聞い、て」
「わかってる。ココをこんなに濡らして、おねだりしている稜のお願いは、当然ひとつだろうし」
言いながら俺のを握りしめて扱き出すなんて、そんなのすぐにイっちゃうよ。
「やだぁっ、も……すぐにぃっ、イっちゃうって、はあぁん」
「悪い。稜が感じ、るたびに……俺のを絞めつけるから、我慢して、いられなく、てっ。はあっ…ダメだ、イカされる」
「ちが…俺が、イカされてるん…だってっば、ぁ、ああっ……ううっ!」
克巳さんの額からぽとりと汗が滴り落ち、俺の躰に触れた瞬間、それだけでイってしまった。程なくして克巳さんも俺の中でイって、崩れるように倒れ込んでくる。
荒い息遣いが、耳元に聞こえてきた。俺よりも動いてるから当然なんだけど、それすらも愛おしく感じてしまうな。
喘ぐようなその呼吸も、重なってる肌から伝わる熱も、何もかもが愛おしくて堪らなくなる。
「うぅっ、稜……挿れたままにしてる俺のを、さりげなく締めつけるなんて、まだ足りないのか?」
「あれ、締まってた? そんなつもり、全然なかったんだけど。克巳さんのことが愛おしいなぁと、しみじみ感じていただけなのに」
「また締めつける……このまま四回戦を続ける、羽目になるけど」
ちゃっかり腰を小刻みに上下させて、俺を煽ろうとするなんて、ヤル気満々じゃないか! これだから、克巳さんとのHは止められないんだ。
「明日からは、こんなことをしている余裕なんてないし……こうやってずっと、繋がっていたくて。ねぇダメ?」
短く切った髪の毛を撫で、俺のことを宥めるように触れる克巳さんの手を取って、すりすりと頬擦りをしてみた。
「繋がっていたいなんていうワガママを、聞かないワケがないだろう。それに――」
「うん?」
「いつもよりしつこくしていた俺の作戦に、まんまと君が乗ってくれたから」
克巳さんは切れ長の一重瞼を少しだけ震わせて、俺の顔に近づいた。その顔をもっと引き寄せるべく、両手で包み込んであげる。
「克巳さん、俺の躰に火をつけるために、ねちっこく責めていたんでしょ?」
ちゅっと触れるだけのキスをしてから、改めて愛おしい人の顔を見つめた。どこか寂しげに見えるのは、どうしてなんだろう?
「……躰だけに、火をつけたつもりはないんだよ」
「だったら、燃料を投下されちゃったのかな。克巳さんに、燃え盛っている俺の気持ちを見せられないのが、すっげぇ残念かも」
「証明してみて欲しい。俺のことをどれだけ好きなのか……稜」
胸を締め付けるような掠れた声が、耳と一緒に心にも響いた。
何か、不安に思っていることでもあるのかな。もしかして知らない間に、何かしでかしちゃったとか?
「ごめっ……克巳さん俺は――ぅうっ!?」
続けようと思った言葉が唐突に、傍にある唇によって奪われてしまった。荒々しいそれのせいで、口の端からよだれが滴る始末。
「んぐっ、もっ……くるしぃ、っ……あぁん」
俺の苦情も何のその、貪るようにくちづけを続行した。
いつもよりしつこいワケといい、今のコレといい、いったいどうしちゃったんだろ。
理由を考えたくても、徐々に追い込まれていく躰から、見事に思考が奪われていく。
しかも中に挿れっぱなしになってる克巳さん自身が、みるみるうちに回復しているせいで、ぐりぐり気持ちいいところに、これでもかと当たっている状態。
大好きな人の気持ちを察してあげたいというのに、心と躰が裏腹なんて、本当に辛すぎる!!
「はあぁん……克巳さ、ああっ……いっ、いきなり腰をっ!?」
何とかして、やり過ごそうとした俺の隙をついて、腰を更にぐいっと奥の方へと押し進めてきた。
「稜、もっともっと深く繋がっていたい。今だけは誰のものでもない、俺だけのために」
そして痛いくらいに両腕で、ぎゅっと抱きしめる。
「何、言ってるの。俺は克巳さんのものだよ。克巳さんだけを愛してる。だから安心して」
腕ごと躰を抱きしめられているので当然、克巳さんの躰には触れることができないけれど――
「もっと愛して。触れていなくても思い出せるくらい、強烈に愛してほしい」
貴方を求める言葉なら、たくさん告げることができる。愛してるっていう気持ちを込めて、これでもかとたくさん言うことができるから。
微笑む俺の顔を見た克巳さんから、さっきまで浮かべていた切なげな表情が消え失せ、ふんわりとした柔らかい笑みを口元に湛えた。切れ長の一重まぶたが細められ、愛おしそうに俺をじぃっと眺め倒す。
その視線だけで、どうにかなってしまいそうだよ。
「君は、本当に凄い恋人だよ。早く寝かせてやりたいと思っている傍から、俺をこんなふうに掻き立てるんだから。ありがとう、稜」
重ねられた唇から沁み込むように、克巳さんの気持ちが流れ込んでくる。そんな愛おしさを、充分に感じることができた夜だった。