テラーノベル
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「救急車を早く!」
「頭揺らすなよ!」
なんで、違う。
「母さんと父さんが…死んだ」
そんなの望んでない。
「氷織は一旦、躰道から離れるべきだ」
もっと、ちゃんとやるから。
まだ、私は躰道と人生を歩みたいから。
「お前さ、躰道やる資格ねぇよ。武道をやる者としての自覚ある?」
そんなの、私が1番…。
「ッはぁっ!」
「あ、起きた。夜ご飯。お前帰ってきたら即寝たな」
時計を見ると、19時半だった。どれくらい寝ていたかわからないけど、嫌な汗をかいていて気持ち悪い。ご飯よりお風呂に入りたかった。
「いただきます」
「うなされてたけど、夢でも見てたん?」
「…吏温が宝くじ当たって金持ちになる夢見てた」
「兄の幸せを見てうなされてたってこと!?マジかよ…」
そんなわけない、というのは多分吏温もわかっていた。けど、深堀しないのが吏温のいいところだ。
学校3日目。そろそろ制服を着るのにも慣れてきた。今日はどうやってあの人を回避しようか考える。説明した方が面倒くさくならないのだろうか。
いつも通り芽依と合流して、教室へ向かう。すると、またあの人に会った。走る準備をする。でも、芽依はただ普通に歩いている。あの人も同じだ。
「…え?」
「どうかした?」
「…いや」
ただすれ違った。そんなことが今まであっただろうか。今の状況に、芽依はなんの疑問も抱いていない。ということは、芽依が昨日の放課後なにかしたのだ。
「ありがと、芽依」
「えぇ〜、なに急にー」
優しい友達がいてよかった。
その日は、何事もなく平和に過ごせた。このまま放課後まで行くと思っていたが、やはり現実はそう上手くは行かないようで、1番会いたくない人に会ってしまった。
「待てよ。氷織」
「…魁」
魁とは同じ道場で練習していた。故に、私に何があったか知っている。
「道場で話そうぜ。蓮登含めてな」
「レントって誰」
「…散々追いかけられたくせに名前知らねーのか」
あぁ、あの人の差し金かと理解すると、抵抗する気力も失せた。
私はそのまま道場へ行き、神棚に礼をした。畳の上に上がるのは2年ぶりだ。とても懐かしく、故郷のように過ごしやすい。
「さてと、蓮登聞きたかったんだろ?なんでこいつが躰道から離れるのか。本人から聞いた方が早い」
なんとなく想像はしていた。だからこれ以上隠そうとも思わない。
私はレントの方を向いて、震えそうになる声を無理やり強くした。
「私は中2の全国大会で、相手を病院送りにした」
コメント
1件
ああ、読んだ読んだ!第4話…氷織の過去がついに明かされたね。「相手を病院送りにした」って、その一言の重さがすごい。夢でうなされるところとか、吏温兄が深掘りしない優しさとか、芽依のさりげないフォローとか、人間関係の描き方が丁寧で刺さったわ。魁と蓮登の存在も気になるし、道場の畳に上がるシーンの懐かしさと緊張のバランスが良かった。続きが気になる🔥