俺は元貴の幼馴染。
俺は元貴のメンバー仲間。
俺は…
スマホのアラームが鳴る
もう朝か。
今日は涼ちゃんとバラエティの出演。
元貴はいない。
数ヶ月前__
マネージャーに呼ばれ部屋へ行く。
涼「お、おつかれ〜」
滉「おつかれ…あれ元貴は?まだ来てない?」
マ「すみません、本日用事あるのはお2人で大森さんは別のお仕事中です。」
滉「…あ、そーなんだ。」
またか
そんなこと思いながら適当に返事する。
涼「元貴も映画の主演だったり曲の制作もあるし大変だもんね!」
涼ちゃんがわかり易く気を使う。
顔に出ていたんだろうか申し訳ないな。
マ「今回のお仕事はバラエティの出演とロケに行って頂きます。」
仕事の話が続く。
話が終わりマネージャーが部屋を出ていく。
続いて俺も部屋を出ようとすると涼ちゃんに声かけられる。
涼「なぁ元貴がいないのは確かに3人でミセスっていうのもあるから嫌だったりつまらないのもわかるけどこれからこういう形のが続くと思うんだ。我慢しよ。」
分かってるし、そんなこと。
別に元貴がいないのが寂しいって訳じゃない。
プライベートでは3人でよく会ってるし。
……じゃあこの感情は?
元貴は作詞作曲が出来て
沢山の楽器を演奏出来て
顔が良くて
トークも俺より上手い
じゃあ俺は元貴が出来ない事何が出来る?
んなもんあるわけない、俺なんかに。
滉「わかってる。」
涼ちゃんに強く言い放ち部屋を出る。
なんで涼ちゃんに当たってるんだ?
涼ちゃんがなにをした?
元貴がなにをした?
俺は何のために生きてる?
俺はMrs. GREEN APPLEのメンバーでギター
ギターなんて誰でも出来るだろう。
じゃあなんで俺をメンバーに入れてくれた?
本当は誰でもよかった?
頭がグルグルして何も考えられずしゃがみこむ
気付くと病室のような天井が視界に入る。
……いやこれは病室のようなじゃなくて病室だ。
横に人の気配を感じ見るとそこには元貴と涼ちゃんがいた。
滉「…あれ、2人とも仕事は?」
元「なにいってんの、」
涼「ほんっとにお前…」
涼ちゃんが涙を流してる。
元貴は涙を流してはいないが涙目になっている。
上手く状況が呑み込めない。
滉「俺、なにを…」
涼「若井が変なLINE送ってくるから2人で心配して電話してみたら繋がらなくて若井の家族に連絡したら救急車で運ばれたって」
俺は少しだけ記憶が蘇った。
あの時、自己嫌悪に陥った俺は家で記憶が飛ぶ程お酒を飲んで…
滉「俺はなんてLINEを…?」
元貴と涼ちゃんは2人で顔を見合せ見せようか悩んでいたようだった。
だが見せなきゃ話が進まないと思ったのか元貴がスマホの画面を俺に見せた。
“元貴と涼ちゃんのお陰で幸せな人生だった、ありがとう!”
ずっと黙っていた元貴が睨みつけながら口を開いた。
元「若井がこんなLINE送ってきて不安で仕方なかったのにやっと家族と連絡ついたら自宅マンションのベランダから飛び降りたって!!死んだかと思ったんだよ!涼ちゃんだってどれだけ心配したと思ってんの!?」
元貴が胸ぐらを掴んで俺に怒鳴る。
滉「ご、ごめん…そんなつもりは…」
あった。無いと言いたいけど本当はあの夜消えたくてしょうがなかった。
涼「元貴、」
涼ちゃんが止めに入る。
元「俺らのことなんてどうでもいいの?」
ヒクヒク喉を鳴らしながら涙を流す。
涼「若井…何か思い詰めてたの?」
滉「……羨ましかった。元貴も涼ちゃんも」
静かな沈黙が少し続き
滉「元貴にはお仕事がたくさん来ていて俺に出来ないこと沢山元貴はできる。魅力が有り余ってるくらい光ってて、涼ちゃんはバラエティ出てる時人一倍輝いてる。涼ちゃんの優しさは世界一だ。それに比べて俺は…?そんな事を考えちゃってさ」
涼ちゃんが驚いた様な悲しい様な表情で涙を流す。
涼「何言ってんの。俺だったら若井の羨ましいところ俺には出来なくて若井なら出来ることたっくさん言えるよ。」
元「そうだよ、若井のギターは俺の中で世界一なんだからまだまだたくさん教わりたいんだから。」
申し訳なさと嬉しさが同時に込み上げてきて俯く。
滉「ごめん、本当にごめん……」
涼「分かってくれたならいいよ。」
元「まじでもう心配掛けないでよね。」
2人で俺の手を握る。
「それでは本日のゲストはこの方です!」
滉「Mrs. GREEN APPLEのギター、若井滉斗です。」
涼「同じくMrs. GREEN APPLEのキーボード、藤澤涼架です!」
「大森さんがいませんがとふたりで出演は新鮮では無いですか?」
「新鮮ではありますが気持ちは3人で出演してるんで!」
そんな冗談も言いつつスタジオを盛り上げた。
俺たちは3人でミセス。
誰1人欠けることない。
コメント
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アカウント作る前から主さまの作品 拝見させていただいてました☺️ アプリを入れた頃には更新が無かった ので、もうこの界隈から去ったのかと 思っていました……久しぶりに見れて 嬉しいです😳✨️