花咲病、それは叶わない恋をした人がなる病だ。
そして、俺は担任教師に恋をした
晴明「佐野くん!おはよ!」
いつもの朝、晴明が俺だけに向ける笑顔で挨拶をしてきた。
佐野「…るっせぇ!」
俺は頬を赤らめながら晴明を蹴飛ばす。
晴明「ギャッなんで!?」
佐野「黙れ変態!」
俺の腕で生暖かい眼差しを向けてる豆は照れ隠しだと思っている。
俺の中では晴明を思う気持ちが強く、濁っているとは知らずに。
佐野「うッ…」
豆「大丈夫?佐野くん」
佐野「大丈夫だよ、豆」
あぁ、まただ。
口いっぱいに花の苦い味が広がる。
佐野「…少しお手洗いにいってくる」
豆「気をつけてね…?」
佐野「うん」
晴明「佐野くん…?どこか体調が悪いの?」
そんな顔で見ないでよ、晴明。
佐野「大丈夫っつってんだろーが!」
俺はそのまま歩いてトイレに向かった。
これ以上、苦い花が口に広がらないことを願って。
佐野「ぅ゙グッ…うェッ…ゲボッ…」
口から出てくる紫色の花びら。
佐野「はぁッ…」
トイレの扉に寄りかかってペットボトルの水を飲み干す。
佐野「綺麗だなぁ…」
不意にそう言葉にしてしまった。
トイレの水に浮かぶ、紫色の花びら。
昔は好きだったハーデンデルギア。
恋が実らないと知っていても、期待したくなる。
佐野「…あーあ、このまま消えて無くなりたい」
俺はそのまま教室に戻った。
教室に戻ったら豆が心配して駆け寄ってきてくれた。
豆「佐野くん大丈夫?」
佐野「うん、大丈夫だよ」
豆「あれ?佐野くんから甘い匂いがする…」
佐野「…そっか」
豆は甘く感じるんだね。
僕には苦すぎて辛いよ。
晴明「佐野くん、大丈夫?」
心配そうな顔で晴明が近づいてきた。
佐野「大丈夫だって」
俺は迷惑そうな顔で追い払おうとする。
口いっぱいに花と血が広がったから。
晴明「そう?体調悪くなったら言ってね!」
佐野「あぁ」
口の中に、苦みと血…
血…?
俺は顔を真っ青にした。
佐野「晴明、やっぱ早退するわ…」
晴明「うん、分かった!佐野くんも気をつけてね!」
佐野「あぁ、豆もまたね」
豆「うん、またね!」
俺は吐きそうな症状を我慢して駆け足で寮に帰った。
佐野「ゴホッコホッ…うぇェッ…ゲホッ」
口から出てくるハーデンデルギアと黒い薔薇。
それに混ざって血まで出てくる。
佐野「ゴホッコホッ…薔薇…初めてかも…」
薔薇が出てくるのは初めてで、
その黒さと赤い血に見惚れてしまった。
佐野「晴明…晴明…」
初めは俺だけのモノだった。
いつからだった?
晴明が俺以外と関わるようになったのは。
神酒は酒呑童子の時に一悶着あったらしい。
秦中とも親友になったらしい。
恵比寿とも俺の知らない所で会ってる。
たかはしとは異様に距離が近い。
学園長は自分の立場を利用して晴明に近づいてる。
嫌だ、
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ
俺の知らないところで晴明は他の人と会ってる、仲を深めてるッ。
佐野「カヒュカヒュッ…ゲホッ」
晴明、晴明…
佐野「…逢いたいよ」
叶わないと分かってて、愛と名の呪いがかかった俺は今日も花を吐く。
ハーデンデルギア⋯紫色の花
花言葉
「貴方に出会えてよかった」
「運命的な出会い」
「幸せが舞い込む」
黒薔薇⋯
花言葉
「滅びることのない永遠の愛」
「死ぬまで憎みます」
死ぬまで愛してるよ。
愛という呪いに縛られても、
貴方の太陽のような笑顔が見たいよ。
貴方しか見えていないから。
【完】
コメント
18件
佐野晴だぁぁぁッッ!! 頼むッッハッピーエンドで終わってくれッッ
佐野くんぅぅ 幸せになってくれ!!花咲病系ってBADEND多いから……
気づくの遅れてごめん…佐野くんには報われてほしいね🥺