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私、潔 あやね(いさぎ あやね)。高校2年生の女の子だよ。だけど実は隠れアイドルオタク!
今は授業終わりで、帰りの準備してるんだけど。
「ねぇねぇ、ルームシェアしない?」
声をかけてきたのは早乙女 優奈(さおとめ ゆうな)。同じクラスで親友以上くらいの関係の女子。おしとやかに見えるけれど、本当はすごくおもしろくて楽しい女の子。
「えっ、ルームシェア?」
「そう。4人でやろうよって」
「4人……?」
そこで名前が出てきたのが、皇 夜愛(すめらぎ よあ)と遠藤 炎(えんどう ほむら)。
炎はまあまあイケメンで明るい人気者。けれど優奈にとっては片思いの相手。
そして――よりによって、あやねの想い人・夜愛もそのメンツに入っていた。
「ちょ、ちょっと待って! え、ほんとにその四人で!?」
「うん。いいメンバーでしょ」
「いやいやいやいやそういうことじゃなくて!」
私は内心パニックになりながらも、結局押し切られる形でルームシェア計画は始動した。
物件探しはネットとチラシと口コミ。
予算の少なさゆえ、候補は狭いワンルームや古びたアパートばかり。
「うーん……どこもイマイチだなぁ」
「台所が小さすぎるのは嫌だな、料理しづらいし」
「バス・トイレ別が条件だろ。同じ部屋に両方は無理」
「……ベランダは絶対ほしい」
全員がそれぞれ譲れない条件を出し合った結果、候補はゼロに。
絶望しかけていたとき――。
「待って。これ、どう?」
炎が差し出したチラシ。
そこには“築年数浅い、3LDK、家具付き、広いリビング、駅徒歩5分”と、夢のような条件が並んでいた。
「え?めっちゃいい物件じゃん…って安っ!!」
「ちょっと待って、これ……桁間違えてない?」
「敷金礼金ゼロ、保証人不要……だと?」
「嘘でしょ!? これ絶対なにか裏があるって!」
私たちは顔を見合わせた。
――けれど。
「うん、安いし、広いし。みんなで割れば余裕だな」
「ちょ、夜愛!?即決!?!?」
「俺はここでいい。どうせ他に選択肢ないし」
「うん。私も、ここがいい」
話についていけなかった私は大慌てで口を開く。
「ま、待って! 条件良すぎるし、なにか理由があるはずじゃん!」
その瞬間。
「……ていうか、みんな…なんでそんな必死に探してんの?」と炎。
「ん?」
「もしかして……お前らも家出?」
まさか。
炎も家出?
私もなんだけど。
「「「……えっ」」」
沈黙がさらに重くなり、やがて全員の口から一斉に。
「「「「ええええええッ!?!?!?」」」」
まさかの全員家出組。
その事実に驚愕しつつも結局、私たちはチラシの物件を選び、家賃を割り勘で払い、夢の(?)ルームシェア生活をスタートさせるのだった。
ふぅ、バイト代貯めといてよかった。