廃墟と化した都市の戦場から少し離れた場所にある、呪術高専の一室。山本と秤が並んで座っており、周囲には急遽召集された他の呪術師たちの気配が感じられる。彼らの目の前には、宿儺との激闘を控えた戦力の手配に関する書類が広げられていた。
山本:「宿儺戦に参加するための戦力を整える必要があるな。現状、戦力は限られている。」
秤:「ああ、ただでさえ戦力が散漫になっているところだ。けれど、戦力補充にはあの連中を手配するのも一つの手だな。」
山本はしばらく黙って資料を見つめると、目をひらいて秤に向き直る。
山本:「婆の連絡先は分かるか?あの婆さんの力が必要になるかもしれない。」
秤:「あの婆さんの能力は確かに強力だ。彼女は呪霊に関する知識が豊富で、封印術に関してもかなりのものを持っている。ただし、手配には時間がかかる。というか、直接連絡を取るのが最も確実だが、あの婆さんには個人情報がないからな。」
山本はため息をつきながら、思案する。
山本:「だが、宿儺との戦闘では呪霊や呪術師の知識を集めておかないとだめだ。もし婆を手配できなければ、他の手段を考えるしかないな。」
秤:「それなら、婆を手配する前に、リストアップした他の呪術師を連絡してみよう。あと、強力な呪具も必要だ。私の知っている呪具商人がいるから、そいつにも話を通しておく。」
山本が頷き、資料の上に手を置いて振り返る。
山本:「呪具商人か…名前は?」
秤:「アクアス・ムーディ。少々癖のある奴だが、信頼はできる。」
山本:「なるほど、話しておいてくれ。あとは、予備の戦力を確保する手段を考えないと。」
秤がメモ帳を取り出し、筆を走らせながら話を続ける。
秤:「ちなみに、俺の方で手配できる戦力がもう一つある。だが、少し厄介な連中だ。」
山本:「誰だ?」
秤:「三途の川の渡し守という異名を持つ男だ。奴の力は計り知れないが、少々その性格が…」
山本:「ああ、あの男か。人を選ぶ戦力だが、重要な場面での戦力になる。頼んでおけ。」
秤は一瞬考え込み、またメモを取る。
秤:「他には、あの大筒呪霊の使い手も呼んでおいた方がいいかもしれない。実力は確かだ。」
山本:「どんな奴だ?」
秤:「名前は青桐。大筒を使う呪術師だが、彼女の技はかなり特殊で、範囲攻撃に優れている。戦況に応じた役立つ存在だ。」
山本:「了解だ。頼む。あと、最終的に戦力が足りなくなった場合は、他校からの派遣も視野に入れておく必要があるな。」
秤はその言葉に頷き、少し迷った後、言葉を続けた。
秤:「あと、山本、ひとつ気になることがある。宿儺戦に備えるには、ただ戦力を集めるだけでは足りない。」
山本:「何が?」
秤:「宿儺の動向だ。あいつの狙いが何なのか。どこまで理解しているのか不確かだ。奴はただの暴力を振るうタイプではない。」
山本はしばらく黙って秤を見つめ、その後、しっかりとした決意を込めて口を開いた。
山本:「それも含めて、あの戦いに臨むしかないな。宿儺はどんな手を使ってくるか分からない。だが、私たちには彼を止めるための全力を尽くす覚悟がある。」
秤は軽く微笑んでから、電話をかける準備を始めた。
秤:「さて、手配を開始する。少しはスムーズにいくことを願って。」
山本はその背中を見つめながら、確信を持って頷いた。
山本:「頼むぞ、秤。」
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