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コメント
1件
切ない感じのムード好き😳
夢小説 ―
真夏のピークが過ぎ去った。
と、気象予報士が言っていた。
それでも少しまだ街が騒がしい気がした。
夕方のチャイムが校舎に響き、橙色に染まった窓から差し込む光が、教室の机を長く照らしていた。
「……もうすぐだね、花火大会。」
隣の席で君がぽつりとつぶやいた。
俺はペンを止めて顔を上げる。
「え、今年も行くの?」
「当たり前だよ。毎年あそこから見るんだよ、最後の花火 を」
君は当然のように笑う。けど、その笑顔の奥にどこか切なさがある気がして、俺は胸が少しざわついた。
当日。夕方5時。チャイムがなった。
今日は、なんだか チャイムが胸に響いた。
浴衣に着替えたクラスメイトたちの賑やかな声が、川辺へと続く道を彩っていた。
君と俺は、人混みを避けて、秘密のような土手の上に腰を下ろす。
「ねぇ、ゆあん君。」
「ん?」
「……来年も、ここで一緒に見れると思う?」
ふいに真剣な声を出す君に、俺はは言葉を詰まらせる。
花火が空に咲いては散る。
オレンジと青の光が、君の横顔を照らした。
「もちろん。……来年も、その次も。」
気づけば、俺は答えていた。
君が振り向き、驚いたように目を丸くして笑う。
「そっか、なら安心だなぁ。」
その笑顔に、俺はまた心を掴まれる。
まだ恋人じゃない。けど、もう誰にも譲りたくない気持ちが確かにそこにあった。
最後の大きな花火が夜空を彩り、二人の間に小さな沈黙が生まれた。
その沈黙さえも、心地よくて――。
そして、 俺は君に…キスをした。
この日の花火は何年経っても、きっと
思い出してしまうな。
「好きだよ のあさんッ」
ヒューンバ〜ン 花火の音にかき消されてもいいからッ 最後の花火が落ちるまで
少しでも君と過ごしていたい。