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55
狭いプレハブ小屋にて、
「あー、あの、高杉くん?これはぁ…」
名前をよばれこてんと首を傾げて、さもあざとい仕草をする。
あざとい仕草をする男は眼帯をしていないほうの目で、目の前にいる銀髪の男を捉える。
拳一つ分しか空いてない距離の中、
抵抗もできずに距離は縮まり、
そして───。
体育館の裏手にある古びたプレハブ小屋には、この銀魂高校一の最強ヤンキーと恐れられる高杉と、煙草をくわえた銀髪の教師───3年Z組の担任である、坂田銀八がいた。
高杉は部屋のおくにある一人がけの椅子に、銀八は向かい合わせの状態でパイプ椅子に腰掛けている。
「ねぇ高杉くん?」
先に話を持ち出したのは銀八だ。
「これどういう状況かな?俺君にカツアゲされんの?」
それについて高杉は、脚を組み換えしたあと、
「……なんでここに呼んだか、分かるか?」
少し薄ら笑いを表情にうかべて問う。それに銀八は…
「いやぁ、先生それが分かんないから聞いてんのよねぇ」
いつも通りの低い声で喉をくくっとならす。
煙草をふかしながら天井を向き、姿勢もだらしなく、向かいにいる高杉とはまた違う態度の悪い座り方をする。
「なんの用かな。もしかして万事部のこと?俺が顧問だから呼んだとかそういうの?」
「あ、それとも───」
銀八が言葉を続けようと口を開いた。
…が、高杉が間髪入れずに口をはさむ。
「違う」
「じゃあなに?1ヶ月延長っていうのが気に食わなかったのかな?」
「それも違う」
口にした予想できる要件はすべてハズレだった。
「1ヶ月延長…ってことに関しては別にいい」
組んでいた脚をおろし、
「俺ァ、あんたに用があんだよ」
「俺にィ?」
不思議そうな顔をして、少し首を傾げる。
「あっ、先生分かっちゃった!悩み事の相談ね?あの4人にも言えないような思春期丸出しの悩みとか抱えてんでしょ?」
冗談半分で笑いながら言った。
これはもう、アホ丸出しの回答だった。
だが高杉は───
「まぁ、そんなもんだ」
と簡単に首を縦に振った。
流石の銀八も、「えっ?」と驚愕していた。
「……ほんとに悩み事なわけ?」
「だからそうだっつってんだろ。教師が生徒の悩みを聞く、当たり前のことじゃねーか」
高杉も低く笑う。
すると高杉は立ち上がり、銀八の座るパイプ椅子に手をかけ、体を寄せる。
「先生も、溜まってんだろ」
耳元で小さく言う。
本編の銀魂で一向にボケやしない高杉がこんなことをいうなんて、と銀八は一瞬目を見開いたが、すぐに無表情を装い、
「へぇ?……”も”ってことは高杉くんも溜まってんの」
高杉は黙ったままだった。それでも銀八は続けて聞く。
「悩み事ってそれ?性処理さがしてたの?」
目の前にいる生徒は逆光で見えずらいが、目は逸らさない。
「そう、って言ったらどうなるんだ?」
澄ました顔は変わらぬまま、問い返す。
「まぁ別に手伝ってあげてもいいよ、としかねぇ。それとも見てほしい?そういう趣味があるんならそれは尊重するけど」
と銀八が言うと、「驚いた」と言わんばかりに高杉は固まり、その次に片手で腹を抱え笑う。
「はっ、教師がんなセクハラ発言すんのもどうかと思うが」
それに銀八はむっと顔を顰めて、
「聞いたのはそっちだろーが」
「あぁそうだな」
悪びれもなく、否定するわけでもなく。
高杉の曖昧な反応にイラつきが芽生え始めたか、銀八は立ち上がり高杉の横を通り過ぎざまに、
「オナニーもろくにできん高3がいるとはね」
高杉の方には振り返らず、手をひらひらとさせながら入ってきた扉の取っ手に指をかける。
高杉は何も言わない。止めようとはしないし───行かせようともしなかった。
「───残念だな、先生」
高杉がなにかを呟いたことには銀八も気づいていたが、よく聞き取れなかったから放っておくことにした。
……が。
ガチャガチャと扉を何度も横にスライドさせようとしたが、鍵がかかっているのかそれとも壊れたか、全く開く気配がなかった。
「あれ、おかしいなぁ、なんでだろ」と笑いながら懲りずにスライドさせようとするが、開けようとする音が大きくなる一方で扉に隙間は1ミリもできなかった。
「え?高杉くん、なんかした?」
「いや?俺ァなんもしてねぇさ。あんたが壊しただけじゃねーのか?」
「えっ?うそ?俺が壊したのこれ?!」
焦りと動揺でテンパる銀八を、高杉はその場で見ている。
高杉のことだから、多分、小細工はしていないだろう。
そういうまどろっこしくて陰湿なことはやらないというこ とは、すでに十分知っている。
じゃあなんで?となる銀八に高杉は、
「一回だけでいい…ヤらせろよ」
銀八はここにきて一番大きく顎が開き、目を見開き、掠れた声で驚いた。
まさか、こいつが、俺よりもすごいセクハラ発言を……。
固まる銀八に一歩、また一歩と近づく高杉。
驚いて動けない銀八は自分よりも少し背の低い生徒に壁まで追い詰められ、いわゆる───壁ドンをされる羽目になった。
「あーえっと、あの、高杉くん? これは一体…」
「ん?なんだよ?」
高杉は首を20度か30度か、それくらいの角度で傾げる。
この男、狙ってやがる、と思い始めた頃には時すでに遅しの状態で、銀八はその整った綺麗な顔立ちと仕草が掛けられたあざとさに胸を打たれた。
つい頬が赤くなってしまいそうなほどに、今の状況が恥ずかしくなり、情けなくなり、そして…。
と、いろんな感情が混ざりに混ざったところで、銀八の目はぐるぐると回る。
「えっと、その…」
両手をすっと前に出し、抵抗しようとはしたが、それはいとも簡単に高杉に阻止される。
高杉は目の前にある片手をにぎった、というところか。
これはさすがに意図してやってんな。と気づいた。
「なぁ先生、答えは?」
ドクンドクンと物凄いスピードで心臓が脈打つ。
ここでイエスと答えてしまえば、社会的な立場とプライドが結構やばいし、だとしてもノーと言ったところで逃げられる訳もない。
でもそれなら、逃げられなくても社会的地位が保証されるならということに気づく。
「あー、それな?…うん。まぁ先生にちょっとは無r」
「いいのか?」
「うん?」
噛み合わない会話につい。
そして嵌められたことに気づくのに時間がかかる。
「あ…」
「いや、いまのなしな。あれ条件反射だから」
「へぇ、言い訳すんだ」
「え?だからちがうって言ってん───」
言葉は続かなかった。口を塞がれたから。
「んっ、?!」
乾いてるようで温かい、何かが唇に触れる。
おっかなびっくり銀八は力が抜けたのか、口が緩む。
それを見逃さなかった高杉が、すかさず舌を入れてきたのだ。
「っん、ぅー!」
高杉から離れようと腕を振り払おうとするが、力が抜けきったままで力んでも子鹿みたいにぷるぷるするだけ。
おまけに銀八の両腕は、ともに高杉に頭上で手で一括りされている。
高杉と銀八以外誰もいないプレハブ小屋に閉じ込められるし、助けなんて来ないだろうし、高杉一派も今は外出中だし、教え子には──それも男──キスされるし、もうなにもかもがめちゃくちゃだ。
「…っは、はぁっ」
息が荒くなり、肩で呼吸をする。
酸欠で頬は赤くなり、目元も涙でうるんでいる。
やっとの思いで高杉のキスから逃れられたものの、距離は縮まる一方だった。
「っ!…なにすんだ、よぉ。俺のファーストキスがぁ 」
赤面で泣き顔。高杉は無意識に性癖が、ずばんと刀で斬られたような感覚に陥る。
「……やば、それ」
手で口を覆う高杉は、蹲って、はぁとため息を吐く。
解放された銀八もまた酸欠のせいで力が入らなくなっているのでその場にへたり込んだ。
「…なぁ、おい、高杉くん。どう責任とってくれんだよぉ」
頭がぼーっとしてる最中でも、問い質す。
「これが学校側にバレて、PTAか教育委員会とかにもバレ たら俺やばいんだけど。どーすんだよ…おい」
不安と心配で少し焦る銀八の顔は、まだ火照っていた。
だがそれでも高杉は俯いたままで無視している。
「………おいコラ、聞いてんのか」
「十分聞こえてらぁ。ぐちぐちうるせぇなテメェはよぉ」
「は?いやいやおいおい、俺、先生だからね?
一応君の担任なんだけど?!」
知ってるとでも言わんばかりにてをひらひらさせて、
「なんか、もうヤるとかヤらねぇとかどうでもよくなった。あんたのせいで」
「うん、いや被害者俺ね?!なに勝手に意気消沈してんの?!」
ツッコミをいれるが高杉はうんともすんともそれ以上は何も言わなかった。
「はぁ、もうまじ、なに?そういうお年頃なの?!」
ため息まじりに言う。
「担任教師と密室でこんなことして、禁断の恋にも程があるでしょーが!」
いつもツッコむよりボケる方が多い銀時だが、銀八のときは意外にもツッコミをすることの方が多い。
「へーへー」と軽くあしらう高杉に一発拳骨をいれる。
「痛てぇだろクソが」
「だから俺先生だって!もっと言葉遣い選んで!!」
みたいな高銀を書いてみたかったんです。
マジで自己満すぎるし、万事部延長したあとの話にこういうの組み入れる妄想しか頭にありませんでした。
まじ教師と生徒っていう最高の関係性を作ってくれてありがとうございました、空知先生と公式さま。
銀八先生第2クール待ってます!!
コメント
1件
うわぁ…これ、めっちゃ重くてエモいやつだ…(小声) プレハブ小屋に閉じ込められて、高杉があざとく首傾げるところからもうヤバかった…「一回だけでいい…ヤらせろよ」って、あの高杉がそんなこと言う?!って衝撃だったよ😳💦 銀八がツッコミ役になってて新鮮だし、でも最後泣き顔で火照ってる銀八先生、なんか守ってあげたくなる…。 教師と生徒の禁断感、めっちゃ刺さりました…第2クール待ってます!!🤍🥀