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世利里🗝️🫧🖤(サブ垢)
チャクラ宙返り
──イタチが一族を滅ぼしてから5年
火影の側にいても怪しまれないよう”やかぜラン“はヒルゼンからの勧めで、火影側近の暗部に入隊し任務をこなしながら、修行を続ける日々を過ごしていた。
──里の外れの修練場
次々と忍術を放っているラン。
額をつたう大量の汗が頬をぬらし、呼吸は荒く、肩が上下を繰り返す。
「はぁ…はぁ…まだ!!全然足りない!
このままじゃ、助けられない…!」
その声を少し離れた場所でヒルゼンが黙って聞いていた。
皺の刻まれた顔に、ランを思う複雑な色が浮かぶ。
「お前はもう十分強い。
この5年間でわしの知る全ての術を教え、習得した。
里の中でも、間違いなく優秀な忍じゃ。」
ヒルゼンの褒める言葉にも、ランの表情は沈んだまま。
心の奥では影が揺らめいていた。
(優秀…?イタチお兄様はもっと強い。
私は追いついてもいない、このままじゃ暁と戦っても…)
ランは顔を上げ、強い眼差しでヒルゼンを射抜く。
「ヒルゼン様、まだ教えてもらっていない術があります。
口寄せの術です」
ヒルゼンは短くを息を吐いた。
「なぜ急に…。口寄せの術は、相手に認められて契約し、初めて口寄せできるのじゃ。
口で言うほど容易いことではない」
「認めさせてみせます!!どんな相手でも!
私は早く強くなりたいんです!
ヒルゼン様と口寄せの契約をしている猿魔と契約できませんか?話をさせてください!!
何を言われたとしても、絶対に諦めません!」
その瞳に宿る執念におされ、ヒルゼンは大きく首を振る。
「猿魔は気難しい…どうなるかはわからぬぞ」
ヒルゼンは親指を噛み、口寄せの印を結んだ。
白煙と共に現れたのは、長年の契約獣の”猿魔”
だがその隣に地鳴りを伴い、猿魔の何倍もあろうかという大きな影が立ちすくむ。
ランとヒルゼンは驚き、その大きな影を見つめていた。
「一体、こやつは誰じゃ…?」
「孫の猿鬼(えんき)だ。勝手について来おった…」
猿魔によると猿鬼は問題児。
度々事件を起こしている為、説教していたところを口寄せされ、猿鬼もついてきてしまったらしい。
猿鬼は好奇心に輝く目で、周囲を見回し、辺りを歩き回っていた。
彼が歩くたびに地面が大きく揺れる。
しばらくするとつまらなそうに呟いた。
「なんだよー、面白そうだと思ってじじぃについてきたのに…何にもないじゃねぇか。うまそうな食い物も…」
と言いながらふと下を見るとランと目が合う。
しばらくじっと見つめられ、ランは眉をひそめた。
「な、なに?私は食べ物じゃないけど…」
猿鬼は巨体を屈め、彼女と視線を合わせた。
「おお…!!お前、俺の好みだ!!!」
突拍子もない言葉にランは瞬きをする。
「好み…?」
「おい!じじぃ!俺こいつと契約する!一目惚れした!!」
と嬉しそうに飛び跳ねている。
揺れる地面の上で、なんとかバランスを保ちながら、ランは怪訝そうな顔をして呟いた。
「一目惚れ……?」
(なんか、想像と違って変わった契約獣だけど…大丈夫なのかな。見た目は強そうだけど…)
心の中で少し不安を抱く。
ヒルゼンと猿魔は呆然としていた。
猿魔は頭を抱えている。
「おい!猿鬼!いい加減にしろ!なにを訳のわからん事を!大体な、そんなふしだらな理由で簡単に…」
すると、猿鬼の体毛がざわりと逆立った。
物々しいチャクラを全身から放つ。
次の瞬間、地を裂くような衝撃音──
激しい炎が巨体を包み、荒れ狂う風が、あたりの木々をなぎ倒す。
「やめろ猿鬼!!暴れるでない!!
口寄せの契約はそんなに簡単なものではないのだ!!!
まず相手の力を見極め…!そして…」
猿魔の声すらも炎に飲み込まれた。
「口うるさいじじぃが…」
巨猿の目が赤く光り、さらに激しく炎と風が舞い上がり始めた。
吹き飛ばされそうになりながらも、ランは冷静に思考を巡らせている。
(すごい…こんなに激しい炎とチャクラ。
思ってた流れと違うけど、彼から契約をしたいと言っている。この機会逃すわけにはいかない)
両足を踏み締め、猿鬼の前へ一歩踏みだした。
力強い瞳で彼を見つめ、訴える。
「猿鬼、私は強くなりたいの!
あなたの力を貸して欲しい。私と口寄せの契約をして」
炎が揺らめく中で、巨猿は口角を吊り上げた。
「さすが、俺が惚れただけあるな、いい瞳だ!!
ますます気に入った!」
すると自身の懐から古びた巻物を取り出し、ランの前へ投げる。
「ここにお前の血で、名前と指5本の指紋を」
ランは躊躇なく自分の手を噛み、血を契約書に刻む。
(これは私自身への誓いでもある。お兄様を救うための…)
「出来た…これで契約成立だね」
──その瞬間、炎は消え、風も止んだ。
猿鬼は満足げに巻物を受け取りながら、ランに問いかける。
「さっきから気になってたんだけどよ。お前、なんで術で変装してんだ?まぁ俺には本当の姿が見えてるから別に良いけどよ」
ランは質問には答えず、目線を逸らした。
猿鬼は気にせず契約書に目を通している。
「ふーん、名前はミズノっていうのか!いい名前だな!!」
そう言って豪快に笑いながら、猿鬼はランを抱き上げた。
「ちょっと!離して…!」
ランは猿鬼の顔をぐいっと押しながら、語気を強める。
「これから私に口寄せされても、絶対にその名前では呼ばないで。私には…姿を偽る理由があるから。…とにかく契約を結んだことだし、これからよろしくね」
ミズノは少し微笑んで猿鬼に手を差し出し握手を求めた。
「その笑顔!!たまんねーぜ!!」
と猿鬼が顔を近づけようとすると、ランの蹴りが巨体を吹き飛ばした。
「いい蹴りだぜ、ハニー……」
頬をおさえた猿鬼はなぜか満足そうだ。
ヒルゼンと猿魔はあきれた様子で、同時に深いため息をついていた。
猿魔と猿鬼が煙と共に消えた後、ランは修行を終え、帰路につく。
その途中、一楽の暖簾の奥で、ナルトやサクラと並んで座るサスケの姿があった。彼は素知らぬ顔で箸を進めていたが、穏やかな目をしていた。
(相変わらず素直じゃないな、サスケは)
胸の奥が暖かく、そして少し痛む。
(本当はサスケと話したい。私は生きてるよって伝えたい。だけど今は…まだ…)
ぎゅっと握りしめた拳には契約の傷が残っていた。
(イタチお兄様…大丈夫、サスケは私が見守る。いつかまた…あの頃みたいに笑顔で過ごせる日まで)
夜風が髪を揺らし、ランは背を向けた。
自分を見つめていた彼女に気づくことはなく、サスケはナルトとサクラ、三人の時間を過ごしていた──。
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