コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
◆元貴 side
風磨くんのベッドって広いのに、
なんでか“逃げ道ない感じ”する。
別に掴まれてるわけじゃないし、
腕回されてるわけでもない。
ただ“距離の取り方”が絶妙すぎる。
あの人、管理職かな?ってくらい距離感うまい。
「今日、さ……一緒に寝る?」
その声が、耳の奥に落ちてくる。
“ここにいてほしい”ってこと?
流石にないか笑
でもなんだか
逃げれないというか、逃げたくないというか。
その中間をわざと歩かされてる気分。
「……別に、いいけど」
そう言ったら、
風磨くんが小さく息漏らして笑う。
なんなの、その安心した顔。
ずるいよほんと。
「お前さ、ほんと俺のこと甘やかすよな」
甘やかしてないし。
けど、嫌じゃないし。
でも、これ以上踏み込んだら
ほんとに戻れないかもしれない。
…いや、もう遅いのかも。
風磨くんの家の匂い、
ベッドの沈み方、
距離の近さ。
全部、もう僕に“染みついちゃってる”。
「元貴」
「なに?」
「寝るまでいて」
その言い方がさ、
お願いじゃなくて“当たり前みたい”で。
逃げれないじゃん、そんなの。
でも僕も、
その当たり前を否定したくなかったから。
「……うん」
小さく返したら、
風磨くんの肩がほんのちょっとだけ緩んだ気がした。