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生徒会長とヤンキー
「……えとさん」
「げっ、生徒会長」
朝の昇降口。
えとが嫌そうな顔をすると、ゆあんは呆れたようにため息をついた。
「まず、スカート」
「また?」
「短い」
「いいじゃん、別に」
「ダメ。あとネクタイ」
「はいはい」
「それからピアス」
「……」
えとが耳を隠す。
「見えてるよ」
「……細かすぎ」
「校則だから」
「生徒会長って、あたしのこと嫌い?」
「なんで?」
「会うたび注意するじゃん」
「逆。気になるから目につくんだよ」
「……え?」
一瞬、二人の間に沈黙が落ちた。
ゆあんも、自分が言った言葉の意味に気づいて少しだけ目を逸らす。
「……いや、校則違反が気になるって意味」
「……ふーん」
えとはなぜか少しだけ頬を赤くした。
「じゃ、行くから」
「ピアス外してからね」
「……やっぱ嫌い」
「はいはい」
そう言いながら笑うゆあんを見て、えとは小さく舌打ちした。
――最近、生徒会長の笑った顔が妙に気になる。
そんなこと、本人には絶対言えなかった。
放課後。
生徒会室に呼び出されたえとは、机の前に座っていた。
「なんで呼び出されたの?」
「今日、ピアスつけてたから」
「……バレた?」
「バレるよ」
ゆあんはえとの隣に座る。
「ちょっと見せて」
「何を?」
「耳」
「……なんで?」
露 亜
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の ぱ る 🎐
1,061
「ちゃんと外せるか確認する」
「自分でできるって」
「いいから」
ゆあんが顔を近づける。
「……っ」
えとの肩が跳ねた。
近い。
いつもなら何とも思わない距離なのに、今日はやけに心臓がうるさい。
「えとさん?」
「……何」
「顔赤くない?」
「暑いだけ!」
「今日そんな暑くないけど」
「うるさい!」
えとが勢いよく立ち上がる。
ゆあんはきょとんとしたあと、少し笑った。
「もしかして照れてる?」
「照れてない!」
「ほんと?」
「……生徒会長、嫌い」
「またそれ?」
「嫌い!」
えとは生徒会室を飛び出した。
放課後の廊下。
えとは一人で歩いていた。
「……最悪」
頭に浮かぶのは、さっきの生徒会室でのこと。
近かった。
近すぎた。
「……なんであんなに心臓うるさかったんだし」
自分の胸元を押さえながら、えとは小さく呟く。
そのとき。
「えとさん」
「……げっ」
振り返ると、そこにはゆあんが立っていた。
「またそれ?」
「だって生徒会長じゃん」
「何それ」
ゆあんが苦笑する。
「さっきはごめん」
「……何が?」
「ちょっと近づきすぎたかなって」
「……!」
えとの顔が一気に赤くなる。
「べ、別に!」
「そう?」
「全然気にしてないし!」
「ならよかった」
ゆあんはそう言って、えとの横を通り過ぎようとする。
けれど――
「……待って」
えとが制服の袖をつまんだ。
「ん?」
「……もうちょっと、いて」
「え?」
「……なんでもない!」
慌てて手を離すえと。
ゆあんは少し驚いた顔をしたあと、優しく笑った。
「うん。いいよ」
「……ほんと?」
「うん」
二人は並んで歩き始める。
いつもなら鬱陶しいはずの生徒会長。
なのに今日は、不思議と隣が嫌じゃなかった。
「……ねえ、生徒会長」
「何?」
「明日も……注意する?」
「校則違反してたらね」
「……そっか」
えとは少しだけ笑った。
――明日も会える理由ができた。
放課後。
いつものように、生徒会室。
「えとさん」
「なに?」
「今日、校則違反してないね」
「……当たり前じゃん」
えとは少し得意げに笑う。
「ちゃんとネクタイしてるし、スカートも長め」
「うん」
「ピアスも外してる」
「偉いでしょ」
「偉い偉い」
ゆあんが笑う。
その顔を見て、えとは少しだけ目を逸らした。
「……ねえ」
「ん?」
「最近さ」
「うん」
「生徒会長に会うの、嫌じゃなくなった」
「……それはよかった」
「むしろ……」
えとは言葉を止める。
顔が熱い。
「……会いたいって思う」
「えとさん?」
「だから!」
えとは勢いよく立ち上がった。
「好きってこと!」
生徒会室が静まり返る。
「……」
「……何か言ってよ」
ゆあんは驚いたようにえとを見つめていた。
「ごめん。ちょっとびっくりした」
「……やっぱ忘れて」
「無理」
「なんで!」
「だって俺も、ずっとえとさんのこと気になってたから」
「……え?」
ゆあんが少し照れながら笑う。
「校則違反してるから目につくんだと思ってた」
「うん」
「でも違った」
ゆあんが一歩近づく。
「えとさんだから、目で追ってた」
「……っ」
えとの顔が真っ赤になる。
「じゃあ……」
「うん」
「……あたしと付き合う?」
「俺から言おうと思ってたんだけど」
「遅い」
「ごめん」
「……じゃあ、今日から」
「今日から?」
「うん。あたしたち、付き合うの」
ゆあんが嬉しそうに笑う。
「よろしく、えとさん」
「……よろしく、ゆあんくん」
少し照れながら、二人は顔を見合わせる。
その瞬間――
「……あ」
ゆあんがえとの耳を見る。
「何?」
「ピアス」
「……」
「今つけてるよね?」
「……」
「校則違反」
「今それ言う!?」
「生徒会長だから」
「彼氏でしょ!」
「彼氏でも生徒会長」
「……やっぱ嫌い!」
「はいはい」
そう言いながら笑うゆあんを見て、えとも笑った。
――だけど。
今日からは、その「嫌い」が少しだけ特別な意味になった。
「付き合ったら、甘くなる」
「えとさん」
朝の昇降口。
いつものように、ゆあんがえとの前に立つ。
「……何、生徒会長」
「ピアス」
「……」
「外して」
「はいはい」
付き合う前と、何も変わらない。
えとは渋々ピアスを外し、ゆあんに見せる。
「これでいい?」
「うん。あとネクタイ曲がってる」
「自分で直せる」
「知ってる」
ゆあんはそう言いながら、えとのネクタイを手に取った。
「……ちょっとじっとして」
「近いって」
「動くと直せない」
「……生徒会長、学校ではほんと厳しいよね」
「生徒会長だから」
そう言って、ゆあんはいつものように真面目な顔でネクタイを直した。
周りの生徒から見れば、いつもの光景。
けれど――。
放課後。
誰もいない生徒会室。
「……えとさん」
「なに?」
「こっち来て」
「?」
えとが近づくと、ゆあんは椅子に座ったまま、えとの手を握った。
「今日、全然話せなかった」
「学校ではずっと注意してたじゃん」
「それは生徒会長として」
「じゃあ今は?」
ゆあんは少し笑う。
「今は、えとさんの彼氏」
「……何それ」
「だから甘えていい?」
「もう甘えてるじゃん」
ゆあんはえとの手を引いて、そのまま肩に頭を乗せる。
「……疲れた」
「生徒会長がそんなこと言っていいの?」
「ここではいいの」
「ふふっ」
「えとさん」
「ん?」
「好き」
「……急に言わないでよ
「えとさんは?……」
「…好きだよ//」
「…可愛い、可愛すぎ」
「黙れ!……」
コメント
3件
読み終えたわ〜!めちゃくちゃ甘くてニヤニヤが止まらなかった! 生徒会長×ヤンキー百合、この組み合わせ強い。最初は「校則違反注意」って真面目モードで近づいてたのに、実は気になってたから目についてたんだよねって後から分かる展開がすごく良い。100点満点のすれ違いからの両片思い。 特に「逆。気になるから目につくんだよ」の台詞は心臓に悪かった。すき。ラストの「ピアスつけてるよね?」「今それ言う!?」の掛け合いも最高。デレた後にまた注意し始める生徒会長のギャップにやられた。 こういう「付き合っても変わらないけど、変わった意味になる」って関係性、本当に好きだわ。続きも絶対読みたい🔥