━━カツ、カツ…
薄暗い森に足音のみが響く。
「…1x1x1x1?」
聞き慣れた声がする。やはり来た。
……少しでも嬉しいと思ってしまった自身にとてつもなく苛立ち、拳にグッと力を込める。あくまで、今は冷静を装う。
「…telamon。
…何故ここにいる?私はお前をもう父親だとは思っていない。」
いっぱいの憎しみと、一筋の希望を込めてそうつぶやく。
彼に父親だとは思っていないと言ったところで、特別気にしはしないだろう。どうせ、周りの目を気にして私を止めに来ただけだ 。
アイツが、分かりやすく悲しい顔をする。今更都合のいいように父親面しやがって。気持ち悪い。気持ち悪い!!
あまりの怒りに噛んだ唇に歯が突き刺さり、血が滲む。
「…私はお前の父親だ。私には責任がある。必ずお前を元に戻さなければならない。」
責任だと?ふざけるな。その責任を負ってこなかったのは誰だ?
「…ほう。」
私は考え込む素振りを見せる。今は攻撃してこないようだ。どうせ、私を弱いと思っているからだろう。話し合いで解決できるような雑魚とでも思っているのだ。
「ならば、お前は父親として…子の頼みを聞いてくれるよな?」
ニヤリと、口元に笑みを浮かべる。アイツはゆっくりと、唾を飲み込みながら頷く。
「…言ってみろ。私の可愛い子。」
話を終えた瞬間、一瞬のうちに彼の背後に現れ、首に剣を突きつける。
私は歓喜に震えた。追いつけなかったアイツの背後を私はとっている!!!
━━━━私は耳元で囁いた。
「死んでくれ。私はお前のことが嫌いだ。」
アイツは目を大きく見開き、一瞬息を止める。そして低い声で言った。
「…………私に勝てると思っているのか?」
ああ。やはり、私はお前のことが嫌いみたいだ。
「…いまはもう前の私ではない。たしかにお前は強いが、やってみないと分からないだろう。で、死んでくれる気はあるのか?」
前の私のような、貼り付けた笑みを浮かべてそう言う。
アイツは気づきもしないし、気にしもしないだろうがな。
私も、アイツに期待しすぎているみたいだ。
今更。そう、今更だ。今更なのはアイツだけではなく、私ものようだ。
彼は胸が痛むような表情をして、拳を握りしめながらこう言う。
「…いや、お前の父親として、簡単に死ぬ訳にはいかない。…私は━━━━
アイツの醜い言葉を全て言わせる前に、私はアイツの胸ぐらを掴む。剣は思わず捨ててしまったが、まあいいだろう。
剣をtelamonの首から離し、冷たい眼差しを向ける。
「さっきから父親、父親と。よくそんなことが言えるな。私がこうなった理由は分かっているのか?検討もつかないだろう。私はお前を父親だとは思っていない。今すぐに消えて欲しいくらいにはな。」
telamonは目を伏せ、優しい声で呟く。
「私がお前を愛しすぎていたからかもしれない。厳しくするのがお前のためだと思っていた。
…すまなかった。1x1x1x1。」
…愛しすぎていた?よくそんなことが言えるな。
怒りに手が震え、思わず掴んだ胸ぐらを離す。
私のため、だと?気づいていたなら尚更だ。
今更謝るのはやめろ。お前にはもうとっくに失望しているんだ!!!
…お前が、少しでも優しくしてくれれば… くそ。違う。私はそんなことは思わない。私はあいつが憎い。憎いんだ。憎しみを、簡単に手放してはいけない。アイツの思うつぼだ。
自分を奮い立たせ、アイツにハッキリとした声で答えてやる。
「愛しすぎていた?私が消えてから何年経ったと思っている。今更気づいたのか!?」
怒りを抑えきれずに、私は顔を歪ませた。
目の前の憎き存在を見据えた。
顔をtelamonから背け、肩の力を抜く。
「…この姿はお前への想い生まれた。そう。お前への憎しみでできているんだ。
………謝罪はもういい。消えろ。目障りだ!!」
怒りに身をまかせ、力を込めた斬撃をtelamonに向かって飛ばす。斬撃は、telamonにとっては初めて見る攻撃だろう。
私はアイツに隠れて訓練もしていた。本人は何も気づいていなかったみたいだが。……………全て無駄だった、今までの人生は消す。コイツを殺して、私は生まれ変わってやる。最大限の復讐をコイツにぶつけてやる。
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