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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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俺は日頃からプレイしているオンラインゲームで、同じ高校に通う同級生の友達とボイスチャットを繋いでいた。

しばらく友達とゲームをした後に、友達がこんな質問を投げかけてきた。


「真無人ってさ、小さい頃はどんな子どもだったの?」


俺は答えるか迷った。

だけど「覚えてないこともあるけど…幼少期から話してもいい?」と言ってから話し始めた。

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ある日、幼稚園児だった僕は習い事の空手から帰ったあと、公民館で開かれる地域の集まりに父と参加していた。

だけど、なにもすることがなくてすっごく暇だった。


「僕以外に小さい子っているのかな〜」


そう思いながら公民館を見渡したら1人の女の子を見つけた。

僕以外に小さい子はその子だけだったから、遊び相手が欲しかった僕は声をかけた。


「僕ね!まなとって言うんだ!あっちの公園で遊ぼ!」


そう言って、僕は女の子の手を引いて公民館から外に出た。


「かすみちゃんは公園でなにがしたいの〜?」


近所の幼稚園の制服に名札が付いてたから名前を呼んでから公園でしたいことを聞いてみた。


「私は、お部屋で絵本読みたい…」


小さな声で答えてくれた。

いつもなら聞こえないような小さな声だったけど、かすみちゃんと仲良しになりたいと思っていたからかハッキリと聞き取れた。

そのあとは公園に着いて、かすみちゃんとブランコをしたりかくれんぼをしたりしていっぱい遊んだ。

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小学校の入学式から数ヵ月後、僕のクラスの前でかすみちゃんを見つけたから嬉しくて声をかけてしまった。


「かすみちゃん!この前遊んでくれてありがと!また遊ぼうね!」


僕はかすみちゃんの手を握ってそう言った。

そのあとにまだ話したいことはあったんだけど…かすみちゃんは小さく頷いたらすぐに手を離してしまった。

寂しかったけどチャイムが鳴ったから僕は自分の席に戻った。


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それから3年後、僕はかすみちゃんと話すことが恥ずかしくなった。

あの頃はかすみちゃんと話せることが嬉しくて、学校の中でも1番楽しみなことだったのに最近はかすみちゃんの姿を見ると顔が熱くなってしまっていつもの僕じゃなくなってしまう。


「どうしてかすみちゃんと話すのが恥ずかしいんだろう…」


考えながら廊下を歩いていたらかすみちゃんとぶつかってしまった。

その拍子にかすみちゃんは床に座ってしまったのだけど… かすみちゃんのスカートがめくれていてパンツが見えていた。

それに気づいた僕は、咄嗟に横を向いて見ないようにした。


「かすみちゃんのパンツ…可愛い…」


そんなことを考えながら平然を装った。

僕はかすみちゃんの方を見ないまま手を差し出した。

そのあとにかすみちゃんが手を握ったことを感覚で確かめてから起こそうとしたら、僕が強く引っ張ったせいでかすみちゃんの唇が僕のほっぺに当たってしまった。


初めての感触に僕は固まった。

その間にかすみちゃんは勢いよく走り出して5年生の教室の方へ行ってしまった。


その日の夜、僕は偶然見えてしまったかすみちゃんのパンツが頭から離れずにいた。

このことだけでも頭がいっぱいになりそうなのに、ほっぺには柔らかい感触が残っていた。

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あれから2年、俺は小学校を卒業して佳澄先輩と同じ中学校に入学した。


入学式が終わって数分後、俺のクラスに聞き覚えのある声が響いた。


「すいませーん!真無人くんは居ますか〜!」


俺を含めたクラスメイト全員が時間が止まったように静かになった。

声の出処の教室の入口には見知った顔が立っていた。


「ちょ、ちょっと、佳澄先輩!そんなに大きい声出さなくてもちゃんと聞こえますよ!」


佳澄先輩の方へ歩きながらそう言ったら「私と話す時は敬語は禁止!」なんて意味のわからないことを言われてしまった。

ふと、佳澄先輩の手元に目がいった。

何やら紙を持っているようだ。

その紙を俺に見せながら佳澄先輩はこう言った。


「真無人くんには私と同じ部活動に入ってもらいます!」


俺は戸惑った。

だって、すでに入部する部活を決めていたのだから。


でも、佳澄先輩が持っていた入部届けには「帰宅部 入部届け」の文字が書かれていた。

しかも手書きで。


「え、でも、俺すでに入りたい部活が…」


そんな言葉を無視して俺に手を合わせて頼み込んでくる佳澄先輩。


(これ、俺が頼まれごとに弱いことを知っててやってるな…)


と、思ったけどあまりにも深々と頭を下げられたから結局俺が折れてその入部届けに名前を書いた。


それから数ヶ月後、俺は勉強の息抜きに図書館に来ていた。

膝を曲げて少し屈んで、本棚の下の方にある本の背表紙を読んでいたらいきなり耳に暖かい空気を感じた。


「ここ、よく来るの?」


佳澄先輩が耳元で囁いていた。

思わず俺は本棚に背中を打ちながら驚いてしまって、その上に大きな声まで出してしまった。


(やば、係の人に注意されそう…)


そう思っていたらやっぱり係の人が近づいてきて注意をされてしまった。

そのあと後ろを振り返ったら佳澄先輩が小声で謝っていた。


数分後、俺は先輩の隣に座って本を読んでいた。

と、ここでさっきの仕返しをしてやろうと思った俺は先輩の耳元で囁いてみた。


「何読んでるの〜?」


すると、先輩は体を大きく跳ね上がらせた後に口を手で塞いでこちらを見ていた。

何か文句でも言いたげな視線。

だけど、そんな先輩の表情を初めて見れて嬉しかったからクスッと笑ってしまった。

そのあとは俺の質問に答えることなく先輩は目線を本のページに戻していた。


数分後、椅子から立ち上がる先輩に気づいた俺は後を追って図書館を出たところで声をかけた。


「佳澄先輩!仕返し大成功っす!」


そう言ってピースをしたら佳澄先輩にクスクスと笑われてしまった。

その顔がいつになく可愛く見えた俺は、佳澄先輩への想いが高まっていることに気がついた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

時は過ぎて、今は2月。

卒業式が近づいているから、俺は佳澄先輩に想いを伝えるか迷っていた。

そんなある日、佳澄先輩と仲良くしている同級生の女子から告白されてしまった。

当然ながら佳澄先輩が好きな俺は告白を断った。

すると、告白してきた女子がいきなり、佳澄先輩の悪口を挟みながら「絶対私の方が真無人くんに釣り合ってる!」と主張してきた。

その同級生が佳澄先輩と仲良くしていたこともあって、佳澄先輩の悪口を言われて頭にきた俺は「俺と釣り合いが取れるのは佳澄先輩だけだ」と言い放って教室から出た。


教室から出てから数分後、いつの間にか佳澄先輩が隣を歩いていた。

さっき「俺に釣り合ってるのは佳澄先輩だけ」なんて勝手に言ったから声をかけるのが気恥ずかしかった。

そんな俺に気づいているのかいないのか、佳澄先輩はただ静かに俺の隣を歩いていた。

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月日は経って、卒業式の日を迎えた。

俺は佳澄先輩が卒業ソングを歌っている間は笑顔でいようと決めていたのに、曲の中盤あたりには泣いてしまった。

だけど口元は笑うように意識した。

曲の終盤あたりになって、佳澄先輩と目があった。

そのタイミングを逃さないようにして俺は声に出さずに口を動かした。


「佳澄先輩、ずっと好きでした。付き合ってください!」


俺は佳澄先輩に想いを伝えた。

その直後からは佳澄先輩も泣きながら口元だけ笑っていた。

卒業ソングも終わり、それから先は予行演習の通りに式が進んで卒業式は終わった。


その数分後に俺は佳澄先輩を誘ってツーショット写真を撮ってもらった。

写真を撮った後に佳澄先輩が「真無人くんの連絡先知らないな〜」と言っていたのでLINMを交換した。

「よろしくね」と佳澄先輩がお気に入りだというスタンプを送ってくれた。

俺もまた、お気に入りのスタンプで返信してから少し話して解散した。


その日の夜、俺はリビングでご飯を食べながら佳澄先輩の言葉を思い返していた。


実は、写真を撮っている時に佳澄先輩から「私も好き。付き合ってください」と小声で告白のOKを貰っていたのだ。

その時の嬉しい気持ちの余韻が残っていて勝手に顔がニマニマしてしまう。

その時、母さんから「あんた、頭でも打ったのかい?」と言われてしまった。


翌日からは佳澄先輩が居ない学校生活が始まって、とても寂しい1年間がスタートを切った。

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俺は友達に幼少期の出来事を全て話した。

かなり長い話だったけど友達は静かに聞いてくれていた。

その友達がある質問を投げかけてきた。


「お前って、若年性アルツハイマーだったよな?どうしてそんな、過去の出来事をスラスラ話せるんだよ…?」


そう、俺は中学校を卒業する2日前にトラックと軽自動車に巻き込まれて交通事故にあった。

命に別状はなかったけど、退院する時に若年性アルツハイマーと診断された。

それなのに過去の出来事をこれだけスラスラと話せるのは、今でも俺の隣で毎日「真無人のことが好きだよ!」と笑顔で伝えてくれる佳澄の存在のおかげだ。

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「期待してもいいんじゃない?」完結です!

ここまで読んでくれてありがとうございました!

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