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嘔吐ネタ


ヤマなしオチなし











「う゛」


同期との宅飲み後、トイレにて星導は強烈な吐き気に襲われていた。



思い当たる節がありすぎるあまり何が直接的な原因なのか分からない。




あんまりにも楽しくて飲みすぎた。ウェンの料理が美味しすぎてたらふく食べた。記憶が曖昧だけれどシャワーを浴びてすぐに横になった気がする。




おそらく、全部原因。




数時間前の自分を恨みながらえづく。

どうせ自分の家だし、と調子に乗ってこの様だぞ、と。


胃から込み上げる不快感に目を覚ましてから30分が経過しているにも関わらず、出てくるのは唾液だけ。




口に指を突っ込んでも何をしてもだらだらと涎が指を伝うだけで何も吐き出せない。




「るべ?」

「……リト」




途方にくれていると後ろから声がかかる。振り返ればいつの間にドアを開けたのかラフな格好をした彼がいた。


眠気眼をこすりながらこちらを見下ろしている。


「大丈夫?」

「……全然」


「だよな」


言いながら後ろに寄ってくる。何を、という前に彼が先に口を開いた。



「背中さするよ」

「え、悪いよ」


「だってきついでしょ。もう大分前からおぇおぇ言ってるし」

「ごめん…起こしちゃった…?」


「まぁ起きたけど、るべは自分の心配してよ」

「……ごめん。ありがと」



起こしたのは申し訳ないが、一緒に居てくれるとなるとありがたかった。


背中を丸くして便器に顔を近付ける。数分間、彼に背中をさすられても結果は変わらず。



「っはぁ、だめだぁ」



半ば泣きそうになりながら体を起こす。

胃に溜まった不快感はいつまでたっても外に出て行かない。


「るべ、口に手突っ込んでいい?」

「え?」


「自分でやって上手くいかないんだったら人にやってもらった方のが良いんじゃないかなって」

「いや、さすがに悪いって。それに汚いでしょ」


「でもこのままも嫌でしょ」

「そうだけど…」



心配な顔をした彼に優しく諭されるようにそう言われ、思わず頷いた。申し訳なさはあったが体調の悪さも相まって色々と限界だった。


「とりあえず屈んで口開けて」


彼の言葉に従って便器の前に膝をつく。覗き込むような体勢になると口元に手が添えられる。


「ごめんね」



そう声が聞こえてから口内に指が侵入してくる。空いた方の手は背中におかれていた。


彼の指が自分の涎まみれになるのが後ろめたくて、それなら早く吐き出そうと焦る。


「大丈夫だから」


それを察してか彼が落ち着かせるように背中をさすってくれる。



途端。



喉の奥へと指が入ってきて背中を丸める。足が震えて食道あたりを行ったり来たりしていたものがようやく外へと出た。


びちゃびちゃ汚い水音がして酸っぱい味がする。せり上がってきた固形が呼吸を妨げる。苦しくて涙が出た。


全部終わる頃にはぜぇぜぇと息切れを起こしていた。


「ごぇん、汚くしちゃって」

「大丈夫だよ。偉い、偉い」



慰めるようにして彼が背中を撫でた。

なんだか子どもにするみたいに言うものだから無性に恥ずかしかった。



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