最初はただの好奇心だった。
俺は弱かったから。
様々な種の中でも人間は最弱。
だからあの人にも振り向いてもらえない。
話すだけじゃ足りない。
一緒に暮らして、幸せの日々を送る。
そうではないと。
俺が”人”でなければ、簡単だっただろうな──。
? 「そこの君。」
🍌「なんですか?」
? 「人間であることが悔しい?」
🍌「まぁ…はい。」
? 「なら、ちょうどいい。」
? 「この薬を飲むといいよ。」
いかにも怪しい。
🍌「どうも…」
? 「あ、そうだ。20日までに飲んでね。」
🍌「は、はい。」
🍌「今日が17日だから…3日で飲めばいいのか。」
知らない人からもらった薬。
麻薬かもしれない怪しい薬。
それなのに、
なんで飲んでしまったのだろう──。
翌日、いつもより早く目が覚めた。
最初の違和感は体。
チラッと下を見る。
🍌「にゃ?」
なんだこのモフモフの手は。
しかも「にゃ」しか言えない。
急いで鏡を確認する。
猫だ。
どこからどう見ても猫だ。
ということで、出かけるか…
あの人のいる場所へ。
家の塀をゆっくりと歩いていく。
狭いところも高いところも自由自在。
ちょっと楽しい。
もう少しだ。
ぼんさんの家が見えてきた。
🍌「にゃっ」
🍆「?」
🍌「にゃぁ~」
🍆「猫!?」
🍆「え、かわいい。」
🍆「なんか似てんな…」
🍌「にゃ?」
🍆「そう…」
🍆「その見下したような目とその目の色が…」
ギクッ
見下してませーん。
🍆「ずるいって…」
🍌「にゃぁん?」
🍆「ハァー…おんりー元気かな…」
🍌「!?」
🍆「最近会えてないんだよね」
俺はここにいますけど。
何?俺が好きなのかよ。
🍌「にゃ、にゃー…」
🍆「つい目で追っちゃうんだよねー…」
🍆「ニット萌え袖とかまじでやめてほしい」
🍌「にゃ?」
🍆「かわいすぎてヤバいから」
🍌「にゃっ」
きもっ。
🍆「ねぇ!お前も可愛いと思うよな!」
🍌「にゃー」
知らねぇよ。
🍆「おっ!よく分かってんじゃん。」
いや言ってねぇし。
通じねぇな。
🍌「んにゃ」
もう眠い、帰る。
🍆「あれ、帰っちゃうの?」
🍌「にゃ」
🍆「そっか、また来てよ!」
🍌プイッ
帰りの事はよく覚えていない。
たぶん疲れてたから。
そのまま俺は何事もなかったように、深い眠りに落ちた。
翌日、いつもより早く目が覚めた。
昨日より目線が高い。
え?
急いで携帯を確認する。
「7月18日」
その表示を見て思考が停止する。
昨日なんて…なかった?
え?
昨日が7月18日じゃないの?
次いで鏡を確認する。
犬??
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!