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その日の放課後。
輝之輔は、あえて人がほとんど来ない、図書室の奥の席にいた。
一人の時間を楽しもうと本を開いていたのだが、どうにも集中できない。昼間の裕也の態度が、どうしても頭に引っかかっていた。
「はぁ……。本当に、嫌な男だ……」
「誰が嫌な男だって?」
「うわっ!?」
突然、すぐ耳元で声がして、輝之輔は椅子から飛び上がりそうになった。
振り返ると、いつの間にか背後に裕也が立っていた。カバンを肩にかけ、ニヤニヤと笑っている。
「な、何でここに……!」
「いや〜お前が昼間、えらい怖い顔して睨んできたからよ。ちょっとツラ貸せよって思って探してたら、こんな暗いところにいやがった。」
裕也はそう言うと、輝之輔の向かい側の席に座った。
長い脚を組んで、机に肘をつく。
「……用がないなら帰ってくれないか。僕は読書中なんだ」
「つれねーこと言うなよ。あの時はあんなに俺に甘えて、泣き言言ってたのによ〜?」
「なっ……! あれは、事故で……」
輝之輔の顔が、怒りと恥ずかしさで一気に真っ赤になる。
そんな輝之輔の反応を見て、裕也は楽しそうに笑った。
「へえ、そーかい。ま、元気になったみたいで良かったぜ。あの時のお前、マジで今にも死にそうな顔してたからな」
少しだけ本気で心配していたような、そんな口調で言う
「……君は、お節介すぎるんだ」
輝之輔は少しだけ声を落として、本に視線を落とした。
「お節介? あぁ、そうかもな。俺はカッコ悪いのが嫌いなだけだ。死にかけのヤツをほっとくとかカッコ悪りぃだろ。」
「……僕は死にかけてなどいない」
「はいはい、そーですね」
裕也は適当に返事をしながら、ふと、輝之輔の顔をじっと見つめた。
二人の距離は、机を挟んでいるとはいえ、とても近い。
「……何だ」
輝之輔が不審そうに尋ねる。
「いや……てめー、近くで見ると、結構細いなと思ってよ。」
「うるさい。君が大きすぎるだけだ。」
裕也はため息ついてやっぱりつれねーみたいな顔をする
「ま、さっきはあんな態度とっちまったけどよ。俺の後ろにいる女たちに変な勘違いされたくねーからさ。そこは理解しろよ?」
「理解している。僕も、君みたいな目立つ男と関わっていると思われるのは迷惑だからね」
「てめー、一言余計なんだよ!」
裕也はガシガシと自分の頭をかきむしると、椅子から立ち上がった。
「はぁ、もう帰るわ。気が削がれた。」
「そうしてくれ」
輝之輔はフン、と鼻を鳴らした。
裕也は図書室の出口へ歩き出す。
「……でも」
「あ?」
裕也が振り返る。
「……あの時、助けてくれたことには、一応……感謝している」
消え入りそうな小さな声。
だけど、裕也の耳にはしっかりと届いた。
裕也は一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐにニカッと白い歯を見せて笑った。
「……そーかよ。なら、今度美味いもんで奢れよ、輝之輔。」
「……気が向いたらね、噴上」
終
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#キャラ崩壊
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