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(何この状況……)


リディアは呆然として立ち尽くす。


「リディアを助けて頂き感謝致します、殿下」


あの後直ぐにリュシアンとシルヴィが飛んできて、凄い勢いで心配された後に、凄い勢いで謝罪された。二人は何も悪くないのに寧ろ騒がせてしまった事で申し訳なく思う。ただその後、何故かリュシアンとマリウスに不穏な空気が流れ出した。


「別に君にお礼言われる筋合いはないから、結構だよ」


ニコニコとしながらさらりとそんな事を言うマリウス。悪気はないと思う、多分。ただ言葉選びが下手なのだと思う、多分……。


リュシアンは妹の友人を助けてくれたと言う意味で言っているのだが、マリウスはきっと関係のない他人からお礼を言われたと解釈しているのだろう、多分。


「いえ、リディアは私にとって大切な人ですから」

「赤の他人なのにかい?」

「……妹の大切な友人ですから、赤の他人ではありません」


マリウスは飄々としているが、リュシアンは明らかに笑顔が引き攣っている。頗る居心地が悪い。

この二人余り接点はなさそうだが、仲良くはないみたいだ。話の中心にいるのは自分だが、リディアは一歩引いて見守る他ない。


「リディアちゃん、本当にごめんなさい。まさか元婚約者が現れるなんて……招待なんてしてないのに。勝手に入り込んだのね。もう信じられないわ! 警備を見直さないと」


シルヴィは深刻な面持ちで、項垂れた。

ラザールはあれでも侯爵令息だ。知人なども沢山いる筈で、多分正規の参加者に紛れて一緒に入ってきたのだろう、多分。


「シルヴィちゃんの所為じゃないわ。寧ろ騒がせてしまって、どうお詫びしたら良いか……。折角の二人の大切な日だったのに……水を差してしまって、ごめんなさい」

「リディアちゃん‼︎ リディアちゃんは、悪くないわ! 寧ろ被害者よ‼︎」


シルヴィはリディアに徐に抱きつくと「怖い思いさせて、ごめんなさい」そう謝る。婚約者には恵まれなかったが、こんな優しくてこんなにも心配してくれる素敵な友人達がいる。自分は幸せ者だ。リディアは胸がいっぱになった。


「さて、じゃあそろそろ僕はお暇するよ。リディア嬢、またね」


満面の笑みで、手をひらひらさせるマリウスに、リディアは苦笑する。

マリウスはリュシアンとまだ話の途中にも関わらず話をぶった切りると、踵を返しそれだけ言い残し去っていった。リュシアンを見遣ると唖然としていた……。


(嵐が去った……)


相変わらず読めないし、自由な方だ。本当、変わっている。だが、助けて頂いた事に感謝はしている。


優しい方なのに、色々残念すぎる人だと乾いた笑いが出た。











「そう言えばシルヴィちゃんも、リュシアン様もどなたか素敵なお相手は見つかりましたか」


瞬間二人は笑顔のまま固まる。そして徐に目を逸らす。二人同時にため息を吐く。息はバッチリだ。流石、兄妹……。


二人の様子にリディアは戸惑う。

もしかして触れてはいけなかっただろうか……空気が重苦しく、暗すぎる……。


シルヴィもリュシアンもかなり異性から人気がある故、言い方は良くないが相手など掃いて捨てる程いるだろう。だが二人の様子からして今回は見つからなかった様だ。

余程理想が高いのだろうか……若しくはやはり裏の顔が……ないかと思い直す。


これまで夜会など社交の場数を踏んでいるのに、未だお眼鏡に叶う人間がいないなら今更探した所で見つからないのは当然かも知れない。

他国から客を招かない限り、面々などそう変わらない。後は、妥協して諦める他ないだろう。そうなるとどこまで妥協出来るかが焦点となる。家柄、容姿、人柄……。


そもそも、公爵家なのに政略婚ではないのかと普通ならば疑問に思うのだが……。

シルヴィとリュシアンの父であるエルディー公爵の方針で自分の伴侶は自分で探す、としているらしい。その理由は、公爵自身が貴族社会において珍しい恋愛結婚をしたからだ。社交界ではエルディー夫妻はおしどり夫婦で有名である。それ故に、子供達にもと考えたらしい。

因みにリディアは父がもういない故、家長である兄ディオンの方針に従う事になるのだが……。

もしも、兄が自分に結婚話を持ってきたら……想像しただけなのに苦しくなってしまう。何故なのか理由は分からないが。



私だけに優しい貴方

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