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3 - 第2話 どうして?

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2025年08月31日

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第2話 どうして?



まずは、どうして君が記憶を失ったのか。

ここから教えないとだよね。

君は2週間ほど前に、みんなでご飯を食べに行く為に駅に向かっている時に、大型トラックに撥ねられたんだ。

運転手は飲酒運転をして、一般道にも関わらず90㎞/hを出していた。


君は、この事故で意識不明の重体になった。

そして、昏睡状態がいつまで続くかわからない、と僕達は病院の先生から言われたよ。


その時からかな。

明らかに、4人の間に暗い空気が漂い始めたんだ。


おんりーやmenは、君ととっても仲良しだったから、とても悲しんでいた。

ぼんさんは、君の事を弟のように可愛がっていたから、とても辛そうだった。

僕は…受け止められなかった。このメンバーがバラバラになって、君はどうなっちゃうのかな。って、心配してばかりだった。


この件について悲しんでいたのは、僕達だけじゃなかった。

他の、君が仲良くしていた配信者仲間の皆んなや、職場のみんなも。


君は、記憶がなくなっている。

どうしてなのかは医者でもわからないって。


君を轢いたトラックを運転していた運転手は、過失運転致傷罪で逮捕されて、裁判に向けて拘置されているんだ。


君がいなくなってから、みんな壊れ始めた。




「おらふくんが…俺達のことを覚えていないなんてさ、俺、どうすればいいの?」

「教えてよ…」


涙が止まらなくて、苦しくて、自室の中で泣きじゃくるしかなかった。

視界がぐちゃぐちゃで、頭が痛い。

吐いても吐いても、胃液しか出ない。

苦しかった。こんなの嫌だった。


「おらふくん、おらふくん…‼︎」

「もう俺…死にたいよ」

君は写真の中で、笑みを浮かべていた。




「俺が弱音吐いちゃいけないなんてわかってんだけどさ」

「大切な…仲間を失うっていうのはさ、やっぱ辛いもんだよ…」

貴方はタバコを吸い、外の景色を眺める。


「ドズさんもさ、そう思うだろ?」

「俺達”先輩組” は、あの子達にどう接すればいいんだろうね。」

ぼんさんは、悲しそうな目をして呟く。

携帯灰皿にタバコを擦り付け、蓋を閉めて鞄に放り投げる貴方の動きを、じっと見つめていた。


僕は、このグループのリーダーとして、常にその事を問い続けなきゃいけないと思う。

あの子達に、また笑ってもらって、昔の日常を取り戻すために。




「あ゛〜…やる気が起きない…」

「仕事しなきゃだけど布団から出れねぇ…」

おらふくんは、どうして俺たちの事を忘れてしまったのだろう。


ふとそんな事を考えた。

君の笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。

それは、多分ドズルさんも、ぼんさんも、おんりーも、そうだと思う。


部屋は蒸し暑かった。

冷房を付けて、再び布団に潜り込む。




ひとりぼっちの病室。

小鳥の囀りだけが聴こえる。


僕は大切な事を忘れたらしい。

そんなの知らない。

洗面台の前に立って、いつも問い掛けるんだ。

「君は誰?」

って。

自分の顔なんてよくわからない。

僕の年齢は?趣味は?好きなものは?

自分に訊いても、わからない。

どんな人と話していたっけ。何をしていたっけ。





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