テラーノベル
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「んっ、はぁっ、!あっ、! 」 カメラに向かって嬌声が出される。白肌の顔は頬が火照り、目は涙ぐんで蕩けていた。体は自らの手により縛られ、縄が擦れるたびに、その白肌には赤いツタのようなアザが広がる。
「あっ、んぅっ、ぁ、あっ!!」
やがて、腰に小さな電流のようなものが流れ、ピークになって、白濁が縛られた自身のモノから噴き出る。
「きょうは、ここで終わり…また、みてください」
モニターを蕩けた目で見つめながら、配信終了ボタンにマウスカーソルを合わせて押す。画面は暗くなり、コメント欄の野次や投げ銭は静まり返った。
平凡な生活。菊にはそれがあれば十分だった。それなりの大学を出て、それなりの企業に就く。そして今、菊は予備校の講師をしている。きっかけはバイトからだった。元々勉強が好きで頭もそこそこ良かったため、友人から勧められ、始めた。そこから、教えることが楽しくなってきたり、やりがいを感じるようになった。それから約8年が経ち、菊ももう三十路になった。
「くぁ、あ、」
時刻は11時を過ぎた頃。配信もあり職業柄もあり、昼夜逆転生活になっていた。
下半身の下着のみを着用して寝ているため、朝は空気が痣を刺す。髪は寝汗や配信時の汗のせいで所々ハネている。
1DKの菊の部屋は、縄や玩具が床に散乱している。一人暮らしなのをいいことに、何も隠されていない。
冷蔵庫からゼリー飲料を取って、機械的に飲み込む。そこからはルーティンと化した身支度を整え、1時頃に出勤する。
駅まで歩いて10分、電車で15分ほど、そこから更に5分歩く。
出勤照明のために、社員証のQRコードをモニターにかざす。
その日の授業の範囲や前日の課題の範囲を確認したり、質問対策のためさらに細かく調べたりする。見ていないところでやることが多い。
そうこうしている間に、数時間が立ち、空は橙色になっていた。
これでいいのだ。こんな風に、衣食住も揃えて、3大欲求も満たして、十分だ。この‘’平凡‘’な生活──のはずだった。
「先生、質問したいところがあるんですけど」
アーサーがそう言った。
「はい、どうかしましたか?」
ドンッ
鈍い音を立てて菊の体が地面に倒れた。
「あっ、だめっ、イッちゃう、」
「は「バイブ、きもちぃ、あぅっ、!」
菊の嬌声がアーサーの持つスマホから流れる。
「なん、で」
「ねえ先生、俺にも教えてよ───
「自縛オナニーの仕方♡」
動けなかった。何故?どうして?どこで?いつから?そんな疑問詞ばかりが頭の中で這い回る。顔から血の気がどんどん引いていった。
その時、シャツがペロリと捲られる。
「やっぱり、なあ、これ縄の跡だろ?」
「どう、して」
声が震える。平凡とかけ離れた生活が今にも訪れようとしているというじじつに、声帯が痙攣しているかのような、恐怖から絞り出されるような声が発せられる。
「まさか先生が、こんなマニアックなド変態性癖晒してる奴とは思わなかったわ、せんせー♡」
「待ってください、止めてくださいっ!」
スマホを取り上げようと起き上がる。しかし躱され、菊の耳元にアーサーの口元が近づく。
「ばらされたくなかったらさ、ホテル来てよ♡」
「っ……」
こうして、菊の平凡は崩れ落ちた。
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コメント
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好きな商業BLのオマージュ作品です。やばかったら消します。