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「―――おーい。鈴木桜楽さ〜ん。おきてくださ〜い」
私はどうやら寝てしまっていたらしい。
「………何?」
「みんなもう帰っちゃったよ?学校もうとっくに終わったからね?30分くらい寝てたじゃん。」
「先に帰ればよかったじゃん。」
「いや、だって、いつも帰ってるのに一人で帰ったらサラ泣いちゃうかなっ…」
「もうこんな時間!?やばっ!バスが行っちゃう!」
どうしよ!今日好きな声優さんの配信あるんだった!夜までには宿題終わらせないとだった!
「…はあ…無視……だから起こしてあげたんだよ?感謝しろよ」
「そんなこと言ってる時間もない!行くよ!」
「はいはい」
私はダッシュでバス停に向かった―――
ようやく海近くのバス停につくと、バスがもう停まっていた。
「ま、間に合った……つがれだ……」
「ふう………急いで入るぞ」
私達はバスに入ると自分の特等席である一番後ろの席に座った。
……いつものラノベを買いに行く時間も昼寝の時間に変わってしまったし、今日は頑張って宿題をやらなきゃ癒やしを神様は与えてくれないらしい………
私が落ち込んでいると、
「久しぶりにこんなに走ったわ…てか、人全然いないな。なんでだろ?」
そう言って隣に座ってきたのは幼馴染でもありご近所でもある佐々木 晴。昔からいつもこの席に座って一緒に帰っている。
「さ、さあ…?ふう……今日別になにかあるわけでもないのにね……あれ?」
運転手を見ると、いつもの人とは違った。
「今日は運転手さん違うんだね。初めてみた人だけど」
「ほんとだ、俺もはじめてみた人だわ」
………なんかあの人うとうとしてる……?気のせいか?いや、流石に、ね?ま、大丈夫か
「……………なんか話のネタない?私今日も授業受けて休み時間は空眺めていつも通り一人で過ごすだけだつたから、何も話すことないんだよね、ラノベも今日買えなかったし」
「そ、そうか……話のネタ?そんなこと言われてもなあ……う〜ん、サラの発育の具合とか?」
「なっ!…さ、最低!私最近そのこと気にしてるのに!!二人きりだからって調子乗らないことだよ!」
気まずいから話振ってるのに!こいつ!
私がハルに襲いかかろうとしたところで……
「………あれ?なんかこのバス、加速してない?」
「ほんとだ……だ、大丈夫か?」
私は運転席の方へ向かうと………!?
「運転手さん!?ちょっ!?意識失ってない!?顔赤っ!どうしよ!お母さ〜ん!!」
「ここにおばさんはいねぇよ!お、おお落ち着け!一体どうすれば……!?てか、このおっさん飲酒運転してんぞ!酒隠してる!」
「え!?嘘でしょ!?……待って、このまま行くと崖から落ちて海にドボンしちゃう!!やばいよお…と、とりあえずブレーキを踏まな……!?」
バスは勢いよく白いガードに突っ込んで、海に飛び込み、その大きな衝撃で頭をぶつけ――
気がつくと私は、洋風の街並みが広がる見知らぬ街に突っ立っていた。
「イタタタ……あれ?何ここ?え、どこここ!瞬間移動した!?すごっ、やばっ、私そんな能力あったんだ……!」
呆然と立ち尽くす私を、道行く人が痛い子を見る目で見てくる。
……私、目立つの嫌いなんだけどなあ…
っというか、そんなことより私、バスでたしか衝突したときに……そこから私、どうしたんだ?ほんとに瞬間移動した…?……あと、何か忘れているような?…ま、たいしたことないか。
「とりあえず、なんかよくわからないけど、この街ってどんなとこなんだろ?よーし!探索してみよっと」
正直、頭の整理ができていないけれど、とりあえずこういうシュチエーションはそういうの大事だもんね!
「おーい!サラーー!」
振り返ると、ハルが私を探して……
「あ!ハルーー!ここだよお!そっか!なんか忘れてると思ったら、ハルか。なあんだ」
「……結構傷ついたんだけど。合流できてよかった…てか、お、お前、髪の毛…」
「ねえ、ハルここどこかわかる?なんとなく私シュチエーション的に異世界転生とか召喚とかだと思うんだけど、これ私頭狂ってないよね?」
『よくぞわかりましたね』
二人で話していると、頭の中に直接声が聞こえてきた。………天の声的なやつなのかな?
「もしかして天使とか女神とかそういう感じっスか?」
どうやらハルも同じことを思ったらしい。
『……なぜ分かったのかはわかりませんが、そうです。私は天の使い。あなた達が乗っていたバスは崖から落ち、海に飛び込んでしまいました……そして…』
「俺たち溺れて死んだんですね」
『はい……』
ほんとに死んだんだな、私
「じゃあもしかして、俺チートもらえたりしたんですか!?なんの能力ですか!教えてください!」
『そんなこと言われても……チート与えることは私の権力ではできないので……』
「ふざけんなよ!!異世界転生といえばチートだろ!?相手が天使だって構わねえ!ちょっと上から降りてこい!」
『あ、あの、サラさん?この方を落ち着かせてもらって……』
そんなこと言われても、私もチート欲しかったしなあ……しょうがないか…
「一旦落ち着こう」
「いっった!!何すんだ、頭叩くなよ!てか、お前もほしかねえのかよ」
「私だって欲しいよ?ラノベの主人公みたいに無双したいよ?……でも、ねえ?しょうがないよね〜?」
『…くぅ、私だって!成り上がってチート与えるのが余裕になれるようになりたいですよ!しょうがないじゃないですか!そんな下っ端の状態でなぜか今回仕事与えられて!こうやって文句言われて!もう嫌なの!!』
この天使さんも苦労してんだな…ちょっと反省。
「……しょうがないか…じゃあ、チートはいいんで、いろいろ説明してくれません?ちょっと話についていけないので」
『は!すみません……取り乱して…そうですね。そのために私呼ばれたんですもんね、それじゃとりあえずここの近くにある喫茶店にでも入ってください。道端で存在しない人と話してるヤバい人と思われちゃいますもんね』
………………。
(……もしかして、これ普通に他の人に声聞こえてるんですか?天使さんとはなすときだけ仮想空間的なのは…)
私は小声でそう言うと
『ないですよ?』
「うわっ!めちゃ見られてる、どうしよう、転生してから早速変な目で見られてる!第二の人生もう終わっちまったじゃねえか!」
……天使って、もっと仕事できるのかと思ってた。